目次
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 ■ 光通信運用編2
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 ■ Q&A 集合住宅に光
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宅内に家庭内LAN敷設工事
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Q&A 隠蔽・露出配線と工法 タイトル
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 ここでは、配線を壁内・天井裏に隠す方法や、露出配線でも目立たなく引く方法について、私が引いた経験を元にお答えしています。

「隠蔽・露出配線と工法」の目次

  □ 1 配線工事・工法全般
  □ 2 埋込み(隠蔽)配線工法
  □ 3 モールによる露出配線工法



配線工事・工法全般
  □ Q1-01 既存の集合住宅で工事が困難な理由は何ですか?
  □ Q1-02 きれいに配線するには、どうすればいいですか?
  □ Q1-03 ケーブルを通せるかどうか、調べる方法を教えて下さい
  □ Q1-04 家を傷付けないでLANを引く方法はありませんか?
  □ Q1-05 光ファイバとLANケーブルは同じ経路を通せますか?
  □ Q1-06 ケーブルが硬くて通線できないことはありませんか?
  □ Q1-07 工事にはどの程度の時間がかかりますか?
  □ Q1-08 工事に失敗してしまいました。どうすればよいでしょう?
  □ Q1-09 LANモジュラーの場所はどう決めればよいでしょう?
  □ Q1-10 母屋と離れなど屋外にケーブルを引いても大丈夫ですか?

Q1-01 既存の集合住宅で工事が困難な理由は何ですか?
A1-01  端的に言うと、(LANに使える)配管がないことと、天井裏や壁裏に簡単にアクセスする方法がないことです。
 最近のマンションは浴室の点検口あたりから、各部屋に向けてCD管が埋め込まれていたりします(スター状の配管ですので、明らかにLAN用です)が、うちのような築10年ほどのマンションではLAN用の配管など元々ありません。TVの同軸はCD管の中に入っていましたが、細い管でしたので、通線ワイヤのヘッドが入らず、断念しました。かろうじて使えた既存配管は、台所の電話台と洋室1を結ぶ電話線用のCD管だけでした。ここは我が家の南北を結ぶ唯一の「バックボーン」経路となっています。
 天井裏にアクセスする方法は、天井に開いている穴を何でも良いので利用するしかありませんでした。通常、浴室には点検口があり、天井裏にアクセスできるようになっています。ところが、我が家の場合はこの点検口から見渡せる範囲が極めて限られており、ここを起点にしての工事は諦めざるを得ませんでした。
 部屋と部屋の間の壁は、中空になっているため、アクセスはしやすいのですが、ケーブルを横に通そうとすると状況が一変します。我が家の場合は、壁裏には軽量鉄骨が縦に延びているため、横方向にケーブルが通せないのです。一旦天井裏か床下に出して回り込ませるしかないのです。しかも、ところどころに横方向にも軽量鉄骨が渡してあるようで、そうなると天井裏方向にもアクセスできません。
 コンクリート壁に面した石膏ボードも要注意です。この部分は、石膏ボードが軽量鉄骨で支えられているのではなく、コンクリート壁にセメントの玉をボードで押し付けたようになっていたのです。このため、ケーブルを天井裏に上げようにも、まっすぐ上には上がらず、ジョイント呼び線など、ある程度剛直性のある通線工具で、セメント玉を避けながら上げていくという、アクロバティックな作業をしなければなりませんでした。
 上で述べたことは、すべての集合住宅に当てはまるわけでもないですし、「どんな状況でも知恵を絞れば隠蔽配線できる」というつもりもありません。実際、私も露出で配線せざるを得なかった部分も多くあります。工事されるときは、構造をよく観察して、慎重に事故や失敗のないようにされて下さい。
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Q1-02 きれいに配線するには、どうすればいいですか?
A1-02  まずは、「線を隠すこと」を考えます。「線を隠す」とは、LANケーブルを天井裏や壁の中に通すことですし、もし、それができなくても、ほとんど目立たない入れ物(カバー)の中を通すことです。これができれば、LANケーブルが引かれていることなど気づかなくなるほどにできるでしょう。
 次に、新築する場合は全く問題ないのですが、既存のコンセントやスイッチと製品の系列を揃えることです。例えば、我が家なら(生産中止となってしまった)松下電工のニューコスモシリーズですが、化粧パネルさえ足せば、現行のコスモシリーズワイド21が使えるので、LANもそれに統一しています。築10年も経ってしまっているので、既存のコンセントパネルが「日焼け」してしまっているのに、LANのパネルは真っ白、なところがちょっとトホホ、ですが…
 最後に、なるべく既存のコンセントとLANコンセントを同居させてしまうことです。コンセント穴がいくつも開いているのはちょっとイマイチなのでこう言っているわけですが、これは物理的に難しい場合があるので、できたらこうしたい、という程度です。
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家庭内LAN編2 2-3 「埋込みコンセント・パネル等」
家庭内LAN編3 2 「天井裏へのCD管敷設工事」
家庭内LAN編3 6 「北西柱(レンジ裏)への通線工事」
家庭内LAN編4 2 「和室への通線工事」
家庭内LAN編4 5 「洋室2への通線工事」
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Q1-03 ケーブルを通せるかどうか、調べる方法を教えて下さい
A1-03  通線工事の中で私が感じたのは、このプロセスが一番重要で一番難しい、ということです。そもそも「通せるかどうか分からないのに、材料と工具を揃えてやる気にはなれない」というのが本音ですよね。逆に、「通せることが分かっているなら、今すぐにでも(工事を)やってしまいたい」のも分かります。でも、慌ててやると失敗するので、じっくり経路を見極め、やり始めたら一気に通してしまう、という方法で行きましょう。
 (集合住宅を想定し)各部分の調査方法を書いてみましょう。但し、我流ですのでご承知を。
 まず、天井裏です。天井裏にアクセスする方法は、ダウンライトを外す点検口から覗く、等の方法があります。ダウンライトは頭が入りませんから、直接見ることはできず、デジカメで写真を撮ったり、手鏡などを入れて見ることになります。ただ見るだけでなく、実際に通線工具を通しているところを想像して、工事の手順をイメージをしながら、経路や方法を考えます。工具についても、ただ買ったり借りてきたものをそのままでは目的を達しないこともありますから、補助材料を工夫するなどして、何とか諦めないで済むように考えます。
 次に壁の中は、いきなり新しい穴を開けるわけには行かないので、あらかじめ「ここにモジュラーをおきたい」という場所の近くのコンセントを開けて壁の中へのアクセス性を調べてみたり、下地探しで障害物がないか、パネルボックスが設置できる深さはあるか、等を調べてみることです。特に、既存のコンセントを開けてみて、壁の中の状態がどうなっているか(特に、ケーブルが通せる空間はあるか、コンクリートの場合は表面がどうなっているか)に注目します。
 天井裏でも壁の中でも、家中を調べて「何とか通せそうだ」ということになったら、実際に配線図を描いてみることをお勧めします。大規模な場合はもちろんのこと、小規模の場合でも複数箇所に通線するでしょうから、経路図を書いておきます。本命が引けなかった場合の代替経路や、ケーブルの本数、モジュラーの個数などを明確にしておきます。
 それができたら、実際に通線工具を通してみることをお勧めします。このとき、「ここが引けないと、全体の計画が狂ってしまう」というような経路から、先にチェックします。ここで、実際にケーブルを引いてしまってもいいですが、紐などで仮通線としておいて、後日まとめてケーブルを通してしまうのもいいでしょう。
 最後に、これだ、と思った経路がダメでもめげないコツをお教えします。それは、最初に「こっちがダメなら迂回になるけれど、あっちを通してから」とか、「隠蔽がダメだったら露出でも何とか」などと、複数の「逃げ道」を用意しておくことです。物理的にそれが許されない経路もありますが、何とか頭の中だけでも複数の経路を用意しておきます。こうすることで、気持ちに余裕ができて、慌てたりイライラすることなく作業ができ、仕上がりもきれいになるでしょう。
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Q1-04 家を傷付けないでLANを引く方法はありませんか?
A1-04  「傷つける」というのが、釘一本いけないということだとほとんど無理に等しいですし、壁に(モジュラー用・ケーブル通し用の)穴をあけてはいけない、ということだとすると条件が揃わないとなかなか難しいですね。
 後者だとすると、全く方法が無いわけではありません。既存のコンセント(TVや電話等)のスペースを空けて、そこにLANモジュラーを取付け、配線は全て隠蔽にするのです。こうすれば、コンセントパネルを交換するだけで、元に戻せますし、傷も付きません。但しこれは、コンセントスペースに余裕があって、なおかつ全て隠蔽配線で通せなければなりませんから、なかなか大変だと思います。
 何を隠そう我が家も、最初はこれをやろうと思って検討したのですが、始めてみると、コンセントのスペースも足りなければ、隠蔽配線できない所も出てきて、とてもじゃないが無理だ、ということで後はなし崩し的に部屋中穴だらけになってしまいました。
 多分、資産価値をご心配されてのことだと思いますが、隠蔽で引けている限りは、それだけが原因で、そんなに下がることはないと思います。むしろ、この世の中、家中どこでもLANが引けている方が価値があると思うのですが…
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Q1-05 光ファイバとLANケーブルは同じ経路を通せますか?
A1-05  光ファイバとLANケーブルは電気的に影響しあうことはありませんから、原理的には同じ経路を引いても伝送特性的には問題は起こりません。問題は、LANケーブルを引く時に光ファイバに掛かるストレスです。
 管の中でないなら、一向に同じ経路でも構いませんが、光ファイバにストレスを加えないような形(理想的にはLANケーブルが触れたりしない)で引くことです。
 一方、管の中に両者を共存させるケースで、光ファイバが先に引かれていて、後からLANケーブルを引くのは、ファイバ切断の危険がありますので絶対に止めた方がいいです。これは経験から申し上げます。光ファイバにどんな力が働くか、素人には予想もできません。
 管の中に引くなら、最初にLANケーブルを引いておき、動作を確認して絶対に引き直すことはない、という状態になってから、光ファイバを契約(工事)するといいでしょう。両者を引いてから相対的に動かさない限りは事故は起こりません。
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Q1-06 ケーブルが硬くて通線できないことはありませんか?
A1-06  カテゴリ6の単線仕様のケーブルは(カテゴリ5eや撚り線仕様のケーブルに比べれば)かなり硬いです。それでも、テレビ用の5Cの同軸ケーブルよりはずっと軟らかいですし、太さも細いです。配管には同軸ケーブルが普通に引いてあるわけですから、いくらカテゴリ6のケーブルが硬いと言っても、引けないほどではありません。よほどたくさん束ねて引かない限りは、硬くて通線できない、ということはないと思います。
 たくさん引かなくてはならないのなら、手数ではありますが1本ずつ引くことです。CD管の中などでは、2本でも一度に追加通線することはできませんでしたが、1本ずつなら楽々と可能でした。私の場合、22mmφのCD管に5本のカテゴリ6ケーブルを入れることに成功しています。
 しかし、「できる、大丈夫」という情報ばかりお伝えしたのでは、不親切ですね。(普通の)室内で使っているLANケーブルより硬いことは確かですから、注意すべきこともあります。
 例えば、パネルボックスに収納する時です。線が硬いので、急激な曲げは避けた方がいいことは確かです。ところが、LANモジュラーの奥行が結構長いので、パネルボックスの深さが足りないと、ケーブルが折れてしまうのです。この場合、パネルボックスの底部をカットアウトして、ケーブルの曲がりが十分緩やかになるように注意する必要があります。特に他の配線(TVや電話)コンセントと共用する場合、パネルボックスの中で、LAN系がかなりスペースを取るので、いざやってみたら入らなかった、ということのないように、十分チェックしておく必要があります。
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Q1-07 工事にはどの程度の時間がかかりますか?
A1-07  素人工事で、しかも一人でやるので、かなり時間がかかります。ケーブルの長さや天井裏の構造にも依りますが、目安として、私のケースを書いておきます。全て、材料や工具は十分に揃っている状態であるとして、工具や材料の下準備を含む作業開始から終了までの時間です。
 まず、CD管の配管作業壁の穴開けについてです。5〜6mのCD管の敷設なら、途中大変な引っ掛かりがなくても、2〜3時間かかります。天井裏を見ながら作業するためのビデオカメラのセット問題なく通線できているかの確認も必要だからです。壁に穴をあけてパネルボックスを設置するのは、場所の選定(壁裏のチェック)から穴あけ、パネル付け、散らかった石膏ボードの粉の掃除までで約30分。もしセメントの塊や間柱などが出てきてしまったら、倍以上かかります。LANモジュラーの配線は別です。
 次に、各隠蔽配線の所要時間です。
 壁内から天井裏に通線ワイヤやジョイント呼び線を通して、ダウンライト穴や点検口まで持ってくるのは、簡単なケースなら15分ほどですが、天井裏に出た通線工具を引っ掛けるのに、道具が簡単に届かないと、手法の開発からはじめますので、延べ10時間以上かかったこともあります。
 CD管の中を通すのは、管の曲がり具合や全く新規の通線か、すでに多数のケーブルがあるところに追加するのか、通線ワイヤを使う/使わないで大きく異なります。曲がりが多くなく、全くの新規であれば通線自体は数分ですが、曲がりくねっていたり、既存のケーブルがたくさんあると、30分以上かかることもあります。
 露出配線は以下のようです。
 露出配線の場合は、実は一番大変なのは家具をどけることだったりします。箪笥や本棚など、中身が重いものは中身を全部出して移動させますから、それだけで軽く30分、元に戻すので30分…。ここでは本題の配線だけに着目します。2mのモールに、壁内への引込み用の穴を開けたり、モール自身を取付けたりで、約1時間です。もちろん壁の側にも引込み穴をあけたりケーブルをコンセント穴まで通したりするにはさらに20分程度かかります。
 最後に、ケーブルの接続関係と動作確認です。
 LANケーブルの自作は両端にモジュラープラグを付けるなら、慣れてきた状態で1本15〜20分程度、また、線が通っているとして、埋込みモジュラー(ぐっとす)の接続は1箇所につき10〜20分程度です。
 また、通線確認ということで、両端にギガビット機器を置いてスループットを確認するには、1箇所10〜15分程度です。
 もちろん、ここに挙げた工事の正味の時間の他にも、資材の調達にかかる時間や、各住戸の構造などにも大きく依存するため、一概にどの程度時間がかかるかは断言できません。参考までに書けば、私のページに書いた内容が全てで、ほとんどが週末1日だけ2〜3時間、たまに土日2日間かけて延べ10時間の工事で、調査から始めて8ヶ月かかりました。毎週毎週やっていたわけではありませんが。
関連記事 家庭内LAN編3 「住戸北半分の敷設工事」
家庭内LAN編4 「住戸南半分の敷設工事」
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Q1-08 工事に失敗してしまいました。どうすればよいでしょう?
A1-08  冷たく「(LAN工事の)専門家に診てもらいましょう」というのは簡単ですが、何かできることはないか、冷静に考えてみましょう。具体的な例を挙げてみましょう(私も実際経験していないものがありますので、一部は推測です)。
 まず一番考えられるのは、壁の穴関係のトラブルでしょう。開けてみたらケーブルなど通りそうもない場所だったとか、セメントの固まりが出てきた、とか、石膏ボードが割れてしまった、などのトラブルが考えられます。
 まず、「ケーブルなど通りそうもない」というのは、本当に全く通る余地がないのか、確認して下さい。というのは、私の場合、ある場所で開けてみたら、こんなひどい状態だったのですが、中の侠雑物を丹念に砕いたり除去していったところ、ケーブルが通ってしまいました。あまり乱暴にやると、石膏ボードが割れて、本当に取り返しがつかなくなりますから、慎重にやって下さい。セメントの固まりが出てきた場合も同様です。私の場合、プライヤーで鋏むと割れてしまうほど柔らかかったので、鋸とヤスリで削ってしまうことができましたが、普通そううまく行くとばかりは限りません。いろいろやってみてダメなら、ブランクパネル(左側)というものを買ってきて、穴をふさぐしかありません。もちろんパネルボックスは入らないので、挟み金具で固定します。見栄えはイマイチですが、穴が開いたままよりいいでしょう。石膏ボードが割れてしまったら、多少ひびが入る程度ならそのままでも大丈夫でしょうが、大きく割れてしまったら内装屋さんに相談です。
 壁が原因のトラブルの他にも、通線作業中に、通線工具が軽量鉄骨に引っ掛かって取れなくなった、とか、深刻なものでは、予定していた経路が実は通せなくて、代わりになる経路もない、といったトラブルがあります。発生したら、よく考えて個々に判断するしかないのですが、工具が引っ掛かったようなトラブルは、最悪工具を切ってしまうことで何とかなります。経路が見つからないのはどうしようもありませんので、自分での工事は諦め、LAN工事業者に頼むか無線LANに切り替えるしかなくなってしまいます。
 このようなことにならないためには、事前に、自分の住戸(住宅)の内部がどのようになっているのか、どこを通せるのか、を「修復可能な形で」徹底的に調査することです。「修復可能な形で」というのは、壁に穴を開けたりすることなしに、という意味です。この調査でNGなら、後戻りが利きますが、「何とかなるだろう」と、工事を始めて壁に穴を開けたりしてしまったら、もう後には引けません。
 DIYでやる工事では、安上がりですがリスクが伴います。そのリスクを理解した上で、慎重に、かつ覚悟を決めてやる必要があります。
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Q1-09 LANモジュラーの場所はどう決めればよいでしょう?
A1-09  家の中にLANを引いて、何をやりたいかをまず決めましょう。映像系のデータを流すのなら、テレビと同軸ケーブルの取出し口のそばに複数のモジュラーを、家族のパソコンを繋ぎたいなら勉強部屋や居間に、という具合に重点的に配置する場所が決まるでしょう。
 また、ADSLモデムやONUを設置する場所、ハブを設置する場所の近くには配線が集中しますので、多数のモジュラーが集中することになるでしょう。IP電話(光電話など専用アダプタがあるものはを除く)を使う場合には、IP電話アダプタ用にモジュラーが必要になります。天井裏などにハブを設置すれば、このような大きなパネルは必要ありませんが、AC100Vのコンセントが必要になります。
 LANモジュラーをどこにいくつ設置するかは、最初に書いたようにLANで何をやりたいかを優先しつつ、実際に通線可能かどうかも調べながら、決めて行くのが実際的なところです。注意しなければならないのは、AC100Vのように1本のLAN配線から(ハブなしに)複数のモジュラーに分岐はできませんので、モジュラーの必要な数だけケーブルを引かなくてはなりません。このため、新築とは違い、経路の調査結果によっては、経路がなくて妥協せざるを得ないことも出てきますが、「1本でも通れば、あとはハブで分ければいい」と考え方を変えてみるのも挫折しない手かもしれません。
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Q1-10 母屋と離れなど屋外にケーブルを引いても大丈夫ですか?
A1-10  これは一戸建てであるケースですね。無線LANが使えればいいのですが、距離や家屋の構造によっては電波が届きませんから、有線にせざるを得ないケースもあるでしょう。
 工事の経験がないので、参考程度にしていただきたいのですが、まず、(ケーブルを)空中を通すのはやめた方がいいでしょう。理由は雷害です。直接雷が落ちるわけではなくても、両端にある機器(PCやハブ)が危険にさらされますし、ケーブルに直接張力がかからないような工事が必要です。
 工事をするなら、CD管を地中に埋設して、その間を通線した方が、雷害の危険はぐっと減ります(ゼロにはなりません)。地球は良好な導体なので、雷に対してシールドとなるからです。ケーブルを直に地中に埋めずに、CD管を埋設してからケーブルを通します。普通屋外用として売られているケーブルはほとんど直埋め用ではないと思われるからです。通常、電話線でも何でも、直に電線を地中に埋めることはなく、ほとんどの場合、管の中に入っています。
 地中ですので、あまり深く埋めると管が潰れてしまいます。どの程度までなら大丈夫なのかは私にも分かりません。4〜50cm程度は大丈夫とは思いますが、自信がないので専門家に譲ります。
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埋込み(隠蔽)配線工法
  □ Q2-01 管のない天井裏や壁裏はどうやって通線すればいいですか?
  □ Q2-02 天井裏にアクセスするにはどうしたらいいですか?
  □ Q2-03 既存住戸にCD管はどうやって通せばよいでしょう?
  □ Q2-04 CD管には何本のケーブルが通せますか?
  □ Q2-05 他の電気配線と近くなってしまうのですが大丈夫?
  □ Q2-06 余長の処理はどうしたらよいですか?
  □ Q2-07 埋込みボックスの中でケーブルが折れてしまいます
  □ Q2-08 他のコンセントとLANモジュラーを同居させる方法は?
  □ Q2-09 埋込み穴を開けたらボックスが入りません!
  □ Q2-10 床下は通せますか?

Q2-01 管のない天井裏や壁裏はどうやって通線すればいいですか?
A2-01  既存の集合住宅ではいろいろな制約から、CD管など、配管が敷設できない部分がほとんどだと思います。それを何とか通してゆくわけですが、普通の経路は、埋込みモジュラーから壁内→天井裏→壁内→埋込みモジュラーという経路をケーブルむき出しで(=CD管などの管に入れずに)配線します。
 まず、壁裏ですが、石膏ボード等の裏は通常いくらかの空間が空いているので、ここにケーブルを通します。ケーブルを通す前に、壁の裏はどうなっているかわかりませんから、既存のコンセントを開けて見てみたり、叩いて障害物がないか、あるとすればどのあたりにありそうか、などをチェックします。
 次に、問題がないようならば、モジュラーを付ける位置の近くにある既存のコンセント穴から、ジョイント呼び線など、呼び線となるものを天井方向に上げて実際に天井裏まで通るか調べます。この後で書くような、通線できないリスクもあるため、新しく穴を開けないで調べるほうがよいでしょう。そのリスクとは、天井の石膏ボードが壁や梁に突き当てになっていることです。これでは、ケーブルを天井裏に通すことができません。この場合は、諦めざるを得ません。
 ならば床下を、と考えるのですが、床下方向は垂直方向には距離が短くて良いのですが、床下はほとんどの場合アクセスする手段がありませんので、非常に近い距離の通線しかできないでしょう。
 次は、天井裏の通線です。天井裏は、マンションの場合天井高が高いことをウリにしている場合が多いため、通常はほとんど高さ方向にスペースがないのが実情だと思います。また、アクセスするにもダウンライト等の小さな穴しかないことも多いでしょう。こうなってくると、頭や手はもちろんのこと、長い棒はつかえて入りませんので、せっかく壁裏から出てきた呼び線を引っ掛けて手元に持ってくることができません。
 そんな状態でも、何とか通線したいと思い、ジョイント呼び線をモールの中に入れて、先端で引っ掛けるようにした道具を作ってみたりと、工夫してみます。
 このようにして、呼び線を壁裏と天井裏に通し、後は呼び線にケーブルを結び付けて、壁の穴側から引っ張れば通線します。通線した後、天井裏ではケーブルが転がし配線となりますが、ネズミがかじりでもしない限り、これで問題ありません。
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Q2-02 天井裏にアクセスするにはどうしたらいいですか?
A2-02  天井裏にアクセスするには、天井に開いている穴をどんな小さなものでも良いので探します。普通の集合住宅(一戸建てでもそう?)には、浴室に点検口があり、天井裏にアクセスできるようになっています。また、ダウンライトは小さいながらもれっきとした天井裏へのアクセス口となりますから、利用します。
 ただ、これらが全くない場合もあります。我が家の場合は、南側半分がこのケースで、しかも南北が梁で仕切られていたため、北側から南側の天井裏へアクセスすることもままなりませんでした。このような状況になってしまったら、何とか既存の配管を利用するか、最後の手段として露出配線にするしかありません。
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Q2-03 既存住戸にCD管はどうやって通せばよいでしょう?
A2-03  CD管は一度引いておけば、あとから同じ経路を通線する際に非常に楽ですので、できれば通しておきたいところです。しかしながら、既存の集合住宅においては、壁内はよほど天井へのアクセスと埋込みコンセントの位置関係がうまくないと、まず通せないでしょう。それでも、天井裏への設置は、何とかできる可能性があります。
 まず、ケーブルの通線経路の計画を立てます。これがないことにはCD管も設置できません。次に、CD管の太さを決めます。これは、そのCD管に何本のLANケーブルを通せるかということに他なりません。配線計画では3本でも、後に拡張することを考えて、スペースや作業性(管が太くなれば硬くなりますので、曲げづらくなります)の許す範囲で、太めのものを選んでおきましょう。私の選んだのは22mmφのものですが、これで直径6.2mmφのカテゴリ6が5本は入りました。
 CD管を購入するときは、太さのほかに通線用に針金があらかじめ通ったものもあります(価格は高い)から、必要に応じて検討します。ちなみにCD管の呼び径は、内径です。
 いよいよCD管を天井裏に通して行きます。ダウンライト穴など天井裏へのアクセス口からCD管を入れてゆくわけですが、天井裏は軽量鉄骨や石膏ボード壁の「縁」など、引っ掛かりがいっぱいです。CD管をその硬さを利用して上階スラブに押し付けながら押し込んでゆくとうまく行きます。起点から目的地の途中に、ダウンライト穴等いくつかの「アクセスポイント」がないと、長い距離を一気に通すことは難しいです。
 それから、CD管を途中のアクセス口や到達側で引っ張ると、起点側のダウンライト穴等の周囲の石膏ボードが削れてしまうので、穴の縁をボール紙などで養生しておくことをお勧めします。
 管が通ったら、まず最初に通線ワイヤ等で通線可能か確認し、問題なければCD管を必要な長さに切断します。また、このままでは多くのケーブルが入ったときや、通線ワイヤを強く引いた時などにCD管がずれてしまう可能性があるので、ケーブルタイなどで管の両端を固定します。これでCD管の敷設作業は完了となります。
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家庭内LAN編3 2 「天井裏へのCD管敷設工事」
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Q2-04 CD管には何本のケーブルが通せますか?
A2-04  管を手に持ってケーブルを詰め込める本数と、実際に敷設された状態で通線ワイヤを使って何本通せるかは、全く別ですので注意しなくてはなりません。なぜならば、通線ワイヤはヘッドの部分が一般にケーブルよりも太いですし、CD管がまっすぐ素直に引かれているケースばかりとは限らないですから。
 私の場合、直径6.2mmφのカテゴリ6が5本入りましたがこれもCD管の曲がりがあまりきつくないから可能だったともいえます。また、5本入るとはいっても一気に5本はほとんど不可能です。普通は工事の進展とともに、1本ずつ通してゆくと思いますが、2本一度に通すのも厳しいことがありますので、時間はかかりますが、1本ずつにした方が無難でしょう。
 このような事情があるので、店でCD管を選ぶときには、なるべく太目のものを選びましょう。但し、あまり太過ぎても曲げづらかったり、細い隙間は通せなくなりますので、もっとも通すのがきつそうな場所を基準に「ほどほど」のものにしましょう。
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Q2-05 他の電気配線と近くなってしまうのですが大丈夫?
A2-05  まず、電話やTVの同軸、光ファイバには近づけても問題は起こりません問題はAC系です。一般にLAN配線とAC系の配線は近づけてはいけない、と言われていますが、実際施工してみると分かりますが、AC配線と全く近づけないで配線することなど、ほとんど無理です。では、どの程度までなら問題がなく、どの程度からは問題なのでしょうか?
 実験したことがないのでよく分かりませんが、ぐっとす6の箱書きには、次のような注意文書が書かれています。
 「1000BASE-T伝送の配線は電力配線と15cm以上の離隔距離を設けて下さい。伝送不良が発生する原因になります。」
 では、ここで書かれている15cmよりも近づけると、突然通信ができなくなってしまうのでしょうか? そうではありません。
 LANのようなパケットにデータを入れて送る通信の場合、通信速度が落ちるというのは、ノイズによりパケットが受信側で壊れる確率が上がる、ということです。確率ですから、0でない限り低速ではありますがデータは送れます。いきなり一切の通信が不能になるわけではありません。あまりにもノイズが多いと、システムの側でタイムアウトにしてしまうことがあるので、このような場合は通信できなくなります。
 したがって、電力系の配線に15cm以下になるところがあっても、ある限度までは通信はできますが、速度は出ませんよ、ということになります。ところで、同じ15cm以下といっても「並行」に長く引くか、一箇所だけAC系の配線と「直交」するか、で速度の落ち方が異なります。影響が大きいのはもちろん前者ですから、なるべくAC配線とは並行にならないようにします。
 別の視点からですが、ケーブルの品質もACからのノイズの受けやすさに影響します。安価なケーブルは芯線の「撚り」のピッチが粗く、これはノイズが乗りやすいことを意味します。きちんと作られたケーブルは、撚りピッチが密です。あまり安価で製造元が信用できないケーブルは使わない方がいいでしょう。
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Q2-06 余長の処理はどうしたらよいですか?
A2-06  埋込み配線で、LANモジュラーを取付ける時には、取付け作業のためどうしても2〜30cmの余長を取る必要があります。この余長は、モジュラーを付けた後は壁の中に押し込んでしまいます。しかし、あまり無造作に無理やり押し込むと、ケーブルが折れたりぐっとすの根元のケーブルを挟んでいる部分が外れてしまうので、自然な曲がりで壁の中に入ってゆくようにします。
 このため、ケーブルが大量にある場合は、通線の際にモジュラーのどちら側からケーブルが入ってくるかを考えておくなどの配慮が必要になります。
 また、非常に長距離のケーブルを引く場合、途中で何度も通線工具を繋ぎ換えて、アクセス点からアクセス点までリレー式に通線して行くことになりますが、ここでも1回毎に十分ケーブルの「よじれ」を取っておかないと、「キンク」と呼ばれるループができてしまい、力を掛けて引いた時に、芯線が切れてしまう可能性があります。どうしてもよじれが取れない場合は、無理にまっすぐにしようとしても無駄ですから、その場である程度余長を持たせて、壁内なり天井裏に収納してしまうことです。
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Q2-07 埋込みボックスの中でケーブルが折れてしまいます
A2-07  埋込みモジュラーを設置するのに、パネルボックスを使います。これにケーブルの余長を収納する時に線が硬いので、無理やり押し込むと折れてしまいます。これは、LANモジュラーの奥行が結構長いのと、それに対応するパネルボックスの深さが足りないためです。
 これを防ぐには、余長をあまり長く取らないことと、パネルボックスの底部をカットアウトしてしまうことです。こうすれば、ケーブルの曲がりが十分緩やかになるので折れにくくなります。また、パネルボックスなど箱状の物を使わない(挟み金具などでコンセントパネルを固定する)場合は、中空の部分の深さが十分あるかどうかを確認してから壁に穴を開けるようにします。この作業は、パネルボックスをカットアウトする場合でも必要(カットアウトしただけでは、必要な奥行きが取れない可能性もあるから)です。
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Q2-08 他のコンセントとLANモジュラーを同居させる方法は?
A2-08  新たに壁に穴を開けてパネルボックスを設置してまで、LANは引きたくないですよね。できれば既存のコンセント(TVや電話モジュラーも付いている)にLANも同居させてやれば、壁に穴を開けなくて済みますね。また、スペースがなければ、穴を広げてやれば見栄えがよくない別コンセントにする必要もなくなります。
 スペースが許せば全く問題はありません。LANケーブルはTVの同軸ケーブルや電話配線とは干渉しません。但し、注意することがいくつかあります。
 始めに、構造をよく確認して下さい。特に、埋込みボックスがコンクリートに直接埋込まれている場合は、穴を広げて増設する方法は取れません。
 次に、LANケーブルの余長処理のスペースが取れるか、確認して下さい。私の例ですが、同居させようと思っていたコンセントにはTVの同軸が上下方向2本もとぐろを巻いており、とてもモジュラーはもちろん付けられる状態ではありませんでしたし、LANケーブルが何本も余長を含めて入るスペースはありませんでした。
 最後に、AC100Vとはなるべく離すことです。これは、ACラインからのノイズを避ける、という意味と、混触(ACラインと電話など弱電系の配線が接触してしまうこと)を避けるという意味を持っています。内線規定(AC配線の法規)では、同じコンセント内に強電と弱電のコンセントを同居させる場合は、絶縁隔壁を設けることが勧告されているので、これを守って下さい。
 これらがクリアされれば、穴を広げるか、コンセント内の位置を変えてやるだけでLANモジュラーが取付けられるでしょう。
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Q2-09 埋込み穴を開けたらボックスが入りません!
A2-09  注意して壁の裏に障害物がないか調べたのに、たまたま見つからなかったものが、穴を開けてみたら出てきた、なんてことがあります。自分のミスもありましたが、私もそんな「ハプニング」の連続でした。「もうLAN工事なんかやめだ!」などと考えず、落ち着いて対処しましょう。工夫すれば解決策が見つかるかもしれません。
 まず、障害物の種類は何でしょうか? 軽量鉄骨(間柱)? (LAN以外の)電線配管? それともセメントの塊? それによって対処可能か、できるとすればどんな方法で逃げるかが分かれます。
 電線配管の場合なら、配管が動かせて経路を避けられるならば避けてしまいます。それができない場合は下記の「パネルボックスが付かない時」の方法を参照して下さい。
 軽量鉄骨の場合は動かせませんから、諦めるしかありません。ただ、穴のド真中に出てきてしまった場合(こんなときはそもそもパネルボックスの穴が開かない)は諦めるしかありませんが、穴の縁の方に出てきているなら「パネルボックスが付かない時」の方法が使えることもあるかもしれません。
 セメント塊も厄介です。私の家の場合は、セメントが軟らかく、なんと廻し挽き鋸で切れるほど軟らかかったため、出てきたペンチでこそげ取ったり大きなもの鋸で切り取ってしまいました。要するに割って取ってしまうわけですが、この時に力の掛け方を注意しないと、石膏ボードを割ってしまいます。十分に気をつけて下さい。やわらかいセメントではなく、硬いコンクリートの場合はあまり大きいと絶望的ですが、ハンマーとタガネで割ってしまう、という過激な手もあります。
 但し、ここで書いたようなことは、家の壁を破壊することでもあります。あまり派手にやると壁にひびが入ったり、支えを失った石膏ボードが危険な状態になりますので、構造をよく見て、危険なようならば作業を中断して下さい。
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Q2-10 床下は通せますか?
A2-10  結論から言うと通せますが、床下はほとんどの場合見ることができません。このため、私の腕では短距離の通線しかできませんでした。床下がよく見える道具さえあれば、障害物も少なく、通線には好都合だと思ったのですが、いかんせん全く見えなくては勘に頼るしかありません。
 唯一、床下を1m以上通線できた経路がありましたが、このときは主に音を頼りにジョイント呼び線を振っていたら、たまたま出てきた、という感じでした。その後も、似たような経路で試みましたが、床板のフローリングがコンクリート壁に突き当てになっており、音はそれらしい場所からしていたのですが、断念せざるを得ませんでした。結局ここは露出配線となってしまいました。
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モールによる露出配線工法
  □ Q3-01 露出でなければ引けないと判断する基準はなんですか?
  □ Q3-02 目立たせない良い方法を教えて下さい(色彩編)
  □ Q3-03 目立たせない良い方法を教えて下さい(施工編)
  □ Q3-04 隠蔽配線と露出配線をうまく混在させる方法がありますか?
  □ Q3-05 モールには何本までケーブルが入りますか?
  □ Q3-06 極細のケーブルをモールに入れず配線したいのですが?
  □ Q3-07 壁に穴を開ける時の注意はありますか?
  □ Q3-08 モールが剥がれないようにするには?
  □ Q3-09 幅木や床面に配線するモールはありますか?
  □ Q3-10 穴があけられないのでモジュラーも露出にできますか?

Q3-01 露出でなければ引けないと判断する基準はなんですか?
A3-01  隠蔽で経路が確保できない、という時です。当たり前と言えば当たり前ですが…。では、隠蔽で経路が確保できないというのはどうしたら分かるのでしょうか? 専門的な道具を使えば、何とか通線できるのでは?と期待ができる状態で、安易に「露出でいいや」と諦めていいものでしょうか?
 実は私も、このことについては悩みました。「ここまでやっと隠蔽配線で引いてきたのに、最後の数mを露出配線にするなんて」という葛藤がありました。今でも露出配線を見ると、「何とか(隠蔽に)できなかったもんだろうか?」と思うこともしばしばです。
 しかし、これは答えになっていないかもしれませんが、ずっと毎週のように壁の中天井裏を覗きながら、可能性のありそうなことは、すべてやりつくしてからその経路を見直していると、「一見ダメそうだが、まだ可能性がないわけではなさそうだ」という経路なのか、「本当に何をやっても(隠蔽配線では)ダメそうな経路」なのか、の区別が付いてくるのです。
 セメントの塊などが多数あって、1方向にしかジョイント呼び線が向かない穴、経路中に立ちはだかってどうしても避けられない木の棒…こんなのは自走式のロボットでも穴の中に入れない限り、通線は無理です。何年かけてでも通してやる、という執念があるのはいいですが、実際そんなに時間がかかっていたら、いつになってもLANが使えません。その前にマンションが建替えになってしまいます。
 一方、露出配線も、最近はほとんど目立たないような配線材料が出てきて、敷居が下がってきました。もし、このページを見て「よし、俺もLAN工事をやってやろう」と思った方は、どうかバランスよく隠蔽配線と露出配線をミックスして、露出は目立たないように配線する工夫をしてみて下さい。
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家庭内LAN編1 2 「まずは住戸内の調査」
家庭内LAN編2 2-4 「その他の材料・機材」
家庭内LAN編4 2-1 「壁の穴あけとモールの工作」
家庭内LAN編4 5-1 「各モジュラーの位置決めと設置」
家庭内LAN編4 6-1 「全体の経路とモジュラー[06]位置決め」
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Q3-02 目立たせない良い方法を教えて下さい(色彩編)
A3-02  まず、色彩面から目立たなくするような工夫について書きます。
 最近はモールの上手な選び方でも書いたように、いろいろな色や模様が付いたモールが出てきました。これらを最大限利用して、自分の家のフローリングや柱、窓の桟等に使われている材料と同じような色のモールを探すことです。
 色を合わせるのはもちろんのことですが、単にそれだけではなく、元々あったそれらの材料にモールを沿わせて配置することです。このようにすれば、単独でモールだけ引いてあると目立ってしまいますが、沿わせてあると、その幅が広がったことには気づきにくいので、目立ちません。しかし、もしモールの色が一目見て壁や柱の構造物と異なるのが分かる場合は、並べるとかえって目立ってしまうので、単独で配置した方が目立たないかもしれません。今回はほとんど同じ色のモールでしたので、幅木と上下に並べています。
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家庭内LAN編4 6-2 「モールによる露出配線(洋室1内西側)」
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Q3-03 目立たせない良い方法を教えて下さい(施工編)
A3-03  色で目立たせなくする他に、施工の方法で目立たせないようにする方法を考えてみます。
 まずは、モール自体を見えにくい場所に設置することです。例えば、今回の施工では、和室の障子の桟の下に取付けてみました。桟の底面は、畳の表面からは10数cmしかないので、普通に立ったり座ったりしている間は見えません。もちろん、なるべく壁際に取付けなければ、見えてしまいますが。
 次は、ケーブルの出入りしているところが見えないようにすることです。例えば、モールが壁に突き当たった部分から壁の中に取り入れ、ケーブルを入れてモールの蓋をすると、どこからケーブルが入っているか分からないようにすることができます。また、モールが引いてある途中から壁に引き込む場合には、壁の側に小さな穴を開けるのは当然ですが、モールの底面にも引き込み穴を開けてしまいます。このようにすると、モール自体が(色を似せているので)目立たない上に、どこからケーブルが引込まれているか分からないため、露出配線であることがほとんど分からなくなります。
 この他、部屋間の壁の場合、両室にモジュラーを設けるなら引込み穴を一箇所にして、まとめて配線すれば、モールの総延長を減らすこともできます。
 これに付随した工法ですが、例えば、部屋の隅から30cmくらいの所に引込み穴を設けたとします。そうしたら、モールは引込み穴の近くで切らず、部屋の隅まで引いてしまいます。こうすれば、モールが途中で切れないので、目立ちません。モールは少し無駄になりますが…
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家庭内LAN編4 6-2 「モールによる露出配線(洋室1内西側)」
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Q3-04 隠蔽配線と露出配線をうまく混在させる方法がありますか?
A3-04  隠蔽配線と露出配線と言うのは、その変化点(壁などに出入りするところ)が不自然になりがちです。ここには一工夫しないと、「ここからケーブルが出入りしているな」というふうに見えてしまいます。
 我が家の場合、南半分が天井裏にアクセスできないため、露出配線で行なわざるを得ませんでしたが、そんな中でも、何とか隠せる経路はないか、と調べてみました。南側の壁はコンクリートでできた構造壁で、部屋間壁のへりと南側の壁の間は、隙間があいていて、ここを通せば部屋間は隠蔽で通すことができることが分かりました。現にここを通しています。洋室1−2間も同様に引けました。
 また、上にも書いたように、隠蔽配線部分から露出配線部分へはそのケーブルの出入りが見えないようにすると、違和感なく両方を混在させることができます。
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家庭内LAN編4 6-2 「モールによる露出配線(洋室1内西側)」
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Q3-05 モールには何本までケーブルが入りますか?
A3-05  使用しているケーブルの太さやモールのサイズにもよります。今回使用したケーブルは外径が6.2mmφのものですが、これを2号と呼ばれるサイズのモールに入れた場合、無理やり押し込むと3本入りましたが、普通に入れると2本でした。3本では、ちょっと蓋が膨れた格好になります。この他の太さのモールやケーブルでは試してみていませんが、カテゴリ5eのケーブルなら2号のモールには楽に3本は入るでしょう。
 もっとたくさんのケーブルを入れたい、というのであれば、これより太いモール(壁に這わせるタイプ)や幅木タイプのモールなどもあるようですので、いろいろ検索してみるといいと思います。コツは、店頭にあるものがすべて、と思わないことです。
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Q3-06 極細のケーブルをモールに入れず配線したいのですが?
A3-06  極細のケーブルは、ドアの上下の隙間を通したりできるので便利ですね。私も使ったことがないのですが、売られているのを見ると、非常に細くてあまり目立たないので、ちょっとした隙間があれば、モールに入れない露出配線でも十分行けそうです。
 ただ、ここで注意したいのは、「それなら、便利だからこれを100m買ってきて、家中に引いてしまおう」とは行かないことです。理由は、見栄えがどうのとか、折り曲げがどうのとかいうことではなくて、基本的にこのような極細ケーブルは短距離の配線にしか向きません。元々損失(信号の減衰)が大きいのと、外来ノイズに弱いことから、長く引くとスピードが落ちてしまいます。実験で確認したわけではありませんが、ケーブルの特性を見ると定性的に短距離でしか使えないことが分かります。
 「通信できなくなるわけではないから、それでもいい」という用途でしたら一向に構いません。
関連記事 家庭内LAN編2 2-1 「カテゴリ6 LANケーブル」
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Q3-07 壁に穴を開ける時の注意はありますか?
A3-07  壁にケーブル引出し用の穴を開けるときに注意すべきことは、特にカテゴリ6のケーブルの場合ですが、穴をケーブルを引出す方向に向けて斜めに開けることです。なぜ垂直に開けないかというと、垂直に開けてしまうと、ケーブルを引出した時にケーブルが直角に曲がらなくてはならず、カテゴリ6の固いケーブルではそれだけ小さなR(曲率)で曲がるのに無理が来るからです。もし曲がりきれなければ、モールの蓋が閉まりきらない可能性もあります。
 斜めに開けてしまえば、モールへの出入り部分でケーブルのRがゆるくなりますから、スムーズに引出せます。
 上の例は、モールの横っ腹に穴を開けて引出す例でしたが、モールの底面から引出す場合でも事情は同じです。
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Q3-08 モールが剥がれないようにするには?
A3-08  モールの裏面には、両面テープが付いていて、壁に貼り付けるようになっています。この両面テープは結構強力なものが付いているようですが、どんな強力なテープでも数年経てば、接着剤が劣化して剥がれてくる恐れがあります。特に、今回の経路のように、ケーブルを2本も3本も入れる予定であれば、ケーブルの重みで剥がれるのが早まりそうです。
 そこで考え出したのが、非常に細い釘で固定することです。はっきり分かる写真がなくて申し訳ありませんが、15〜20cmごとに2本ずつ斜めにクロスするように釘を打ちます(この写真では、2本組になった釘の頭だけが見えています)。このようにすると、ただまっすぐ2本の釘を打ち込むよりは抜けにくいのですが、どうしても壁に穴が開いてしまいます。
 しかし、両面テープが数年後、モールを外す時になっていっしょに壁紙がはがれてしまったり、糊がベタベタと残ってしまうリスクを考えれば、これでもいいと考えています。もし、壁に大きな穴が残らず、しかもモールががっちり固定される方法をご存知の方が居られましたら、是非教えて下さい。
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Q3-09 幅木や床面に配線するモールはありますか?
A3-09  壁の下部に取付けられている幅数cmの木を幅木といいますが、これにそっくりの色と形をしたモールも売られています。また、床面にケーブルを這わせる部分には、かまぼこをつぶしたような形のモールも売られています。
 幅木に似せたものは、収容容量が多く、カテゴリ6が5本くらい入りそうな感じ(お店にあるものを見ただけですので、実際やってみたわけではありません)でした。この幅木タイプは、普段は力が掛かったりしないので、両面テープ取付けでも良いのですが、床面に置くものは、毎日足で踏まれたりしますので、力が掛かります。これも両面テープで貼るようになった物が多いようですが、気を付けないと、力が掛かり続けると外れてしまいます。平たいかまぼこ型だとはいえ、つまづく危険性もないとはいえないので、なるべく人や物の通行が少ない所を選んで設置するようにすると良いと思います。
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Q3-10 穴があけられないのでモジュラーも露出にできますか?
A3-10  可能です。ホームセンターには露出コンセント用にコンセントボックスも売られていますので、これを利用すれば壁に露出したモジュラージャックを設置することができます。しかしながら、このコンセントボックスを設置するのに、また壁にネジを打ち込まなければならないことを考えると、元々コンクリート壁には付けられません(コンクリートドリルで穴を開けてアンカーを打てば可能ですが)し、石膏ボードであれば四隅に穴が開いてしまいます。
 私はこのボックスを買ったものの、一時的な配線に使ったのみで、壁に埋込みモジュラーができてからは部品箱の中にしまわれていました。板壁などで条件が揃えば使えるでしょう。露出用のボックスも、底が浅いものを使うと、先に書いたようなケーブルが折れてしまう問題が出てきますので、寸法を測って、適切な深さのあるものをお選び下さい。
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