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□ Q1-01 家の中にLANを引いて何をするのですか?
□ Q1-02 有線LANと無線LANどっちがいい?
□ Q1-03 将来性を考えれば、ケーブルは光ファイバでは?
□ Q1-04 LANを有線で構築するコストはどの程度かかりますか?
□ Q1-05 家庭内LAN工事に資格は要るのですか?
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Q1-01 |
家の中にLANを引いて何をするのですか? |
A1-01 |
なんでもかんでもデジタル化、ということで、今まで家の中で楽しんでいたテレビやビデオはデジタル放送、デジタル録画になってしまい、音声放送(FM,AM)もデジタル化が検討されています。(アナログ)レコードはとうの昔にCDという形でデジタル情報になっていますね。 また、変化として見逃せないのが、これらが電波だけでなくネットワーク経由で配信されるようになったことです。音楽も、ビデオも「お金を払って、ネットワークでデータを買う」時代になってきた、ということなのです。 これは同時にそれらのコンテンツを入れておく記憶媒体(メディア)にも変化をもたらしました。これまで、映像はビデオテープに音楽はCDに、というように、今まではテープやディスクという「実体のあるもの」に入れて持ち運んで再生していたわけですが、それが進んでハードディスクやフラッシュメモリに保存するようになったのが現在の姿です。 さらに進んで、将来は(ユビキタス環境が実現すれば、ですが)、ネットワークに繋がれた大容量のディスクなりメモリなりがどこかにあって、そこにあるデータが有線・無線のネットワークで流れてくる、という形態になるのではないか、と思うのです。 こうなった時、家庭内に目をやると、現時点で不足しているのが、ネットワークのインフラです。外からは光ファイバで繋がっていても、家の中でネットに繋がっているのはPCと(IP)電話だけ。そういうご家庭が、現時点ではほとんどだと思います(うちもそうです)。でも、上に書いたことは現時点では「バラ色の未来」かもしれませんが、将来、少なくともネットワークの必要性だけは今より増すことは確かだと思います。これまでなら、新築の家にテレビの同軸配線や電話線が各部屋に引かれていたように、これからはLAN配線が必須になるだろう、というのが私の考えです。 ここまで書いただけでは、まだ質問に答えていません。私の場合、早い話が「こんなことができそうだ」というだけで、まだ具体的に何をやるのかは決めていないのです。どんどん進歩するこの世界で、何をやるかも決めないまま投資してリスクがないのか?と思われるかもしれません。 でも、元来インフラの整備というものはそういうものだと思っています。ことに、ネットワークのような汎用性(何でも可能なこと)と時代とともに用途が移り変わるような性質を持ったインフラは、「それで何をするのか」が非常にはっきりしている状態で、その用途に最適化して整備してしまうと、やりたいことが変化した時に対応できなくなってしまうリスクがあります。ですから、「こんなこともあんなこともできそうだ」というネットワークを最初に引いてしまおう、というわけなのです。 これは私の考えであって、一般のご家庭でこのポリシーでLANを計画しなければならない、ということではありません。 |
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Q1-02 |
有線LANと無線LANどっちがいい? |
A1-02 |
一長一短があります。トレードオフといってもいいでしょう。
- スピード(伝送速度)
無線LANも技術の進歩に伴い速度が上がってきていますが、有線LANにはまだかないません。それと、無線LANは周囲の電磁環境(電気的なノイズが多いか少ないか)や同時使用台数によって速度が低下する度合いが大きいと言われています。(使ったことないんで、実感がありません…)
- 接続台数
無線LANでは台数が増えると急激に速度が落ちますが、有線LANではネットワークの設計で、ボトルネックが生じないようにハブを増設すれば、速度低下を避けながら台数を増やすことが可能です。
- セキュリティ
有線LANでは物理的にネットワークに接続しなければデータを盗む、改ざんすることができませんが、無線LANではどうしても空間に電波をばら撒くため、離れた所からの盗聴・なりすましのリスクが消えません。 マンションで言えば、隣戸が壁一枚ですから、窓から漏れた電波が、隣の部屋で受信されてしまう可能性は十分にあります。
- 「ユビキタス(どこでも)」性
圧倒的に「線の無い」無線LANに軍配でしょう。家の中でノートPCを好きな場所で使いたいなら、無線しかありません。
- 周囲の(電磁波)環境の影響
電波を使う無線LANは、周囲の電磁波環境の影響を大きく受けます。電子レンジや無線機の電波は無線LAN通信にとって「有害な混信」となり得ます。無線LANが他の通信に及ぼす影響は、出力が弱いのであまり無いでしょう。 一方の有線LANも、LANケーブルを家庭内のAC配線(電力配線)と近づけると影響を受けます。他のTV同軸ケーブルや電話線には影響をほとんど与えません。
- お手軽さ(価格・工事の要/不要)
お手軽なのは断然無線です。アクセスポイントを買ってきて、ルータなりハブなりに繋げば、最近のものは設定も簡単ですぐ使えます。価格もそんなに高価ではありません。 一方、有線LANはなんと言っても工事が必要です。ケーブルを放り出しておくわけには行きませんから、壁の中を通したり、天井裏を通したりしなければなりません。自分でできなければ工事業者に頼むしかありません。
というわけで、お手軽なら無線LAN、どうしてもスピードが欲しい、あるいは将来のことまで考えるなら有線LANでしょう。
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家庭内LAN編1 1-2 「無線LANではダメなのか?」 |
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Q1-03 |
将来性を考えれば、ケーブルは光ファイバでは? |
A1-03 |
電線(ここでは普通のカテゴリ6のLANケーブルを考えます)と光ファイバ(Bフレッツ等で引いてこられるもの)の伝送容量は100倍以上違います。それに、光ケーブルの方が細いし、軽い。将来を考えたら、光ケーブルを引きたいですよね。 ところが、現時点では光ケーブルを家庭内LANに引いている家庭はほとんど無いと思います。それは、光LAN機器がべらぼうに高価だという理由もありますが、カテゴリ6の伝送容量(1Gbps)があれば、フルスペックハイビジョンを数ch分伝送してもまだまだ余裕があるほど、スピードには余裕があるからなのです。 本当は家の中でギガの伝送容量などオーバースペックも甚だしいところですが、さらにその上を行く光ファイバを、家庭内に引いたところで高価な機器が無駄になるだけ、という状態なワケです。 技術の進歩は速いので、いずれどうなるか分かりませんが、少なくとも4〜5年先までは、「銅線」でネットワークを構築しても、家庭ではなんら不都合は生じないと思います。 |
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家庭内LAN編1 1-3 「光ファイバか、カテゴリ6か、5eか?」 |
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Q1-04 |
LANを有線で構築するコストはどの程度かかりますか? |
A1-04 |
電気工事屋さんに頼むと、見積もりはピンキリでしょうし、自分でやるにしても、LANの構成や取出し口(埋込みモジュラー)の数、カテゴリ5eかカテゴリ6か、それに住戸の大きさ(引廻しの距離)にも依りますので一概にお答えできません。ただ、そうは言っても目安になるものが欲しいですよね。\1万でできるのか、\100万かかるのか… 私が使った材料でよろしければ、以下の価格(ここでは、自分で工事するものとし、工事費は計算しません)を参考にして下さい。 まず、一番高価なのは埋込みモジュラーです。私は埋込みには松下電工の「ぐっとす6」とコスモシリーズワイド21を使用しました。最も高価なのはこのぐっとす6で、1個\1,300前後で売られています。そのほかに、壁に埋め込む「パネルボックス」や化粧パネルなどが必要ですが、これらは一般建築資材なのでどこでも売られていて、非常に安価です。一そろいで\400程度でしょう。ですので、埋込みモジュラーを1箇所、1個口で設けると、\1,700程度かかります。 これとは別に、必須なのがケーブルです。カテゴリ6ケーブルは一般に高価ですが、秋葉原の愛三電機のケーブルは100mで\6,000程度です。天井裏や壁内にCD管(配線用配管)を入れるなら、1mで\50程度のものがホームセンターなどで切り売りされています。露出配線するなら、モール(配線カバー)が必要で、これは2mモノで\600程度です。自分でやるなら工賃はタダですが、専用工具がないと施工できない部分があると、購入するか借りるかしなければなりません。この他に、機器としてハブやブロードバンドルータが必要な場合もありますが、これらは配線ができてから揃えてもいいでしょう。 工具を購入しないで済めば(LAN配線だけなら)、埋込みモジュラーを10個(経路は5本)設けて配線が100m以内に収まれば、2〜3万円で済みます。但し、これは個人で行う場合、失敗のリスクを含まない価格(失敗せずにうまくいった時の価格)ですから、その点ご注意下さい。 |
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家庭内LAN編2 2 「材料の準備」 |
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Q1-05 |
家庭内LAN工事に資格は要るのですか? |
A1-05 |
電気通信事業法という法律の細則を定める「省令」に、モジュラージャック/プラグ方式で接続する事業者の回線(Bフレッツで言えばONUのRJ-45ジャックまで)とそれより宅内側の「端末設備等」(今回の場合は家庭内LAN側)の接続には、資格は不要です。関東総合通信局に問い合わせて得た回答なので、間違いありません。 ところが、電気通信工事担任者の資格試験を行うデータ通信協会のホームページには、「家庭内LAN工事などに活躍する工事担任者」等という記述があり、私も混乱したのですが、結局、法令解釈では前記のように、プラグ/ジャック方式での接続には、資格は不要です。 但し、私のように家庭内LANを引くのに、電話線のモジュラーを付け替えを行ったり、浴室の点検口の裏にハブを置くためのAC100Vのコンセントを設置したりするには、それぞれ工事担任者と電気工事士の資格が必要になりますので、ご注意を。 |
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□ Q2-01 どのようなLANを構築すればいいでしょう?
□ Q2-02 「使える」ネットワークを構築したいのですが?
□ Q2-03 外からの不正アクセスを防ぐにはどうすればいいですか?
□ Q2-04 ネットワークストレージって何ですか?
□ Q2-05 外は100Mbpsなのに中はギガビットないとダメですか?
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Q2-01 |
どのようなLANを構築すればいいでしょう? |
A2-01 |
LANで何をしたいか、住宅の構造はどうかによって大きく変わってきます。ここで考えるのは既存住宅についてですが、新築の方も同様に考えることができるでしょう。 観点としてはまず、自分がLANを引いたら「今やりたいこと」と「将来やりたいこと」に分けて考えてみましょう。単にパソコンを複数台繋ぎたい、ということでしょうか? あるいは、テレビが複数台あって、どのテレビにも光ファイバ経由あるいは地上デジタルのフルハイビジョンの映像をガンガン受信したいですか? はたまた、個人で小規模なレンタルサーバ業を開きたいですか? それぞれに繋ぎたいものの台数や配置を考え、とりあえずケーブルの経路(天井裏を通すとか露出配線にするとか)は考えずに、配線を絵に描いてみましょう。 すると、配線が密集しそうなところや伝送スピードがネックになりそうな部分が見えてくるでしょう。ハブやブロードバンドルータの設置台数や位置も見えてくると思います。 次に、工事のしやすさ(ケーブルの引き直しが容易にできるか、できないか)を考えてみましょう。「考えてみる」といっても壁の中や天井裏がどうなっているか分からないと、工事がしやすいかどうかなんて分かりません。ですから、点検口やダウンライトの穴、壁コンセントの穴などから普段見えないところを覗いてみましょう。 上で考えた配線が実現できる経路がありそうかどうか、そこは工具が通せて通線可能かどうか? もしダメなら、代わりの経路は検討可能か、という観点で見てみます。その結果、工事がしやすいのなら、具体的な計画に入ればいいし、ダメそうなら専門家(工事ができる電気店・LAN工事業者)に相談です。 ここで、自分のやりたいことと工事の難易度で進む方向が変わってきます。というのは、工事が容易なら、「今やりたいこと」をとりあえず優先して必要な部分だけ工事をして、「将来やりたいこと」が増えたら、それに合わせて工事をやり直すということができます。反対に、工事が困難なら、「将来やりたいこと」を優先にして、高速なLANを多数の箇所に引いておき、多少やりたいことが変わっても「何でもできるLAN」にしておけばいいわけです。後者は多少リスクを伴いますが、工事をやり直すよりはいいでしょう。 本文を読んでいただければ分かりますが、私の場合は集合住宅で壁も天井裏も見たときから絶望の連続でしたので、「将来性優先」で「何でここまでやるの」なスケールになってしまいましたが、もう2度と配線をいじる気にはなれません。でも、知恵を絞れば素人でもここまでできる、というものを示したつもりです。時間はかかってもいいので、経路をとことん探ってみて下さい。 |
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Q2-02 |
「使える」ネットワークを構築したいのですが? |
A2-02 |
ソフトウェア工学の世界でいう「要求定義」の問題ですねぇ。要するに「あなたにとって『使えるネットワーク』とは?」ということを具体的にイメージしないとお答えしづらい質問です。ここでは、あるケースに沿って解答してみましょう。 まず、あなたにとって『使える』というのが、スピード(高速であること)を意味する場合。例えば、家中でどんどん動画を流したい、光ファイバで契約しているコンテンツも、地上波デジタルの番組も、衛星デジタル放送も、オンラインゲームも、とにかく動画コンテンツをアクセスするのが家庭内ネットワーク化の目的である場合です。 この場合は、まず無線LANではダメです。速度がイマイチですし、複数台通信が始まると急に速度が落ちます。それに、有線LANでも1000BASE-T等の、現時点で個人で手に入れられるギガビットのLANにしておいた方がいいでしょう。ハブなどの機器もギガビット対応しているものを選ぶ必要があります。 次に、スピードはいらないから、家族みんなでパソコンをつなぎたい、1台しかないプリンタを家族で共有したい、という場合には、無線LANでもかまわないでしょう。ただ、私の家のように集合住宅で軽量鉄骨造の場合、あるいは一戸建てでも鉄筋コンクリート造など、壁に金属が入っている場合には、無線LANでは離れた部屋同士は通信できない可能性があります。その場合は、有線のLANで100BASE-TXなど、普及しているシステムで安価に構築することができます。 但し、後者(スピードはいらない)の場合は、後であれもやりたい、これもやりたいとなって来た時に対応できませんから、配線のやり直しになってしまいます。工事が容易ならそれでもかまわないでしょうが、難しい場合はリスクが伴います。「今使える」ということと、「将来も使える」という観点で検討しましょう。 |
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Q2-03 |
外からの不正アクセスを防ぐにはどうすればいいですか? |
A2-03 |
ここでは、メールに添付されてくるウイルスや、Winnyでこちら側から勝手に情報を発信してしまうものは説明の対象としていません。 完全に防げるかどうかは分かりませんが、有効なのはルータ(お店では「ブロードバンドルータ」と呼ばれて売られているもの)のセキュリティ機能を利用することです。デフォルトの設定でそこそこの機能を発揮してくれますが、細かい設定は内容をよく理解した上で行ないます。下手をすると、必要な通信まで止めてしまいますからね。 ちなみに、私のルータは、1時間に数10件程度の不正アクセス(外側から「どこかあいている口はないか」を探す「ポートスキャン」がほとんど)を受けていますが、こちらから頼みもしない「通信の開始」を検知してブロックしてくれているので、全てこれらには応答していません。通常、ブロードバンド接続すると、この程度の不正アクセスは日常的に受けることになります。 ONUやADSLモデムにパソコン1台の場合は、これらのアクセスをパソコンがブロックしなければなりませんので、パソコンにセキュリティの穴が開いていると、侵入されてしまうことになります。ブロックするにはパソコンのパワーを多少なりとも食ってしまいますから、その点でもルータを使うのは有効です。 |
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Q2-04 |
ネットワークストレージって何ですか? |
A2-04 |
ストレージというのは、データをためておくもののことです。パソコンの内部の部品で言えば、普通ハードディスクのことです。ハードディスクはパソコン内部の基板とケーブルで繋がれていて、外に出して使う場合でも何mも離して使うことはありませんし、Windowsの共有設定などをしなければ、他の人が勝手に使うこともできません。 これでは、そのパソコンを使っている人しかそのハードディスクにアクセスできないので、ネットワークに繋いでみんなで使えるようにしよう、というわけです。会社などで「ファイルサーバ」と呼ばれているサーバの機能を個人用途あるいは少人数用にしたもので、中身はハードディスクにLinuxなど動作の軽いOSと消費電力の小さなCPU、それにネットワークインタフェースを積んだものです。 これがあれば、各々のパソコンに大きなハードディスクを積む必要もなくなります。また、どの部屋に置いたパソコンからでも同じファイルが見られますから、テレビを録画したものをネットワークストレージに貯めておき、パソコンで見たりTVで(再生機が必要ですが)見たりできます。家の中だけでなく、モバイルパソコンでカフェや駅などから無線LAN接続したり、会社のPCのLANからでもアクセスするようにできます(もちろん他人がデータを盗めないようにセキュリティは設定しなければなりませんが)。 最近では、ギガビットのLANインタフェースを積み、一定時間アクセスがない時はハードディスクやファンを停止する機能を持ったものがあるので、24時間運転しっぱなしでも問題ありません。 私の場合、家の中にネットワークを引く目的の中に、このネットワークストレージを導入したいから、というのがあります。 |
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Q2-05 |
外は100Mbpsなのに中はギガビットないとダメですか? |
A2-05 |
「外」というのはもちろんBフレッツなら光ファイバの回線(ONUの出力)、「中」というのが家庭内LAN側のことです。まず、誤解がないようにしておかないといけないのですが、外が100MbpsというのはONUの出口での速度です。光ファイバ自体には1Gbps(ハイパーファミリーの場合)が流れていますが、ONUで速度変換されて出てきます。 ギガビットなければダメ、ということはないんですが、これも上に書いたように、どんなネットワークを構築したいか、で決まってきます。ネットワークの規格上は、100Mbpsの機器に(100Base-TX等)に1Gbpsの機器を繋ぐことは(途中でスイッチングハブなどの速度変換機能を持った機器が入っていれば)可能です。 動画などの高速のデータをガンガンやり取りしたり、PCや機器の台数が多くて家庭内でLANが混雑しそうな場合(よほどの大家族でないとないですが)は、ギガビットで構築しないと速度が遅くなることがあって困るでしょう。でもこれだって、「100Mbpsだから、即、使えなくなる」ワケではなく、「遅くて困ることがある」程度の不都合です。 ウチは将来動画を流すことを想定してカテゴリ6(1000BASE-T)+ギガビットハブで構築したのですが、機器は高価なので、実用本位でやりたい、あるいは、今すぐ必要ない、ということであれば、ケーブルだけはカテゴリ6で引いておき、高速なネットワークが必要になってからハブなどの機器を取り替える、という選択肢があってもかまわない、と思います。機器が二重投資になりますが…。 |
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□ Q3-01 工事屋さんに市販の家庭内LANシステムを薦められたのですが…
□ Q3-02 新築時に組み込んでおくべきハードウェアは?
□ Q3-03 スイッチングハブはどんなのがお薦め?
□ Q3-04 カテゴリ6とカテゴリ5eどっちがいい?
□ Q3-05 速度が異なる機器が混在しているのですが大丈夫ですか?
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Q3-01 |
工事屋さんに市販の家庭内LANシステムを薦められたのですが… |
A3-01 |
松下電工などからは、電力系(AC100V,200V)の分電盤と同様に新築時に組み込んでしまう、ネットワークの盤を製品化しています。製品名でいうと、「まとめてねット」「ひらいてねット」シリーズです。電話線やLANをひとまとめにして分配するようになっています。ADSLでも光ファイバでも使用可能なものもあります。ADSLモデムやブロードバンドルータが近くに設置できるように、AC100Vのコンセントも付いています。 このような配線盤を中心として、各所に配線するようになったシステム一式を薦められたのだと思います。集合住宅ではあまり聞きませんから、主に新築一戸建て用かと思いますが、既存の家屋でもスペースがあれば取付け可能です。ただ、(我が家の場合)スペースがない上に、価格も結構するので、素人工事にはちょっと失敗のリスクが大きいと判断して使いませんでした。分配容量(接続先のLANモジュラーの数)は普通の家庭でしたら問題ないと思いますが、今回の私の計画にはちょっと少なかったのも諦めた理由です。 上に書いたように既存の集合住宅に設置は難しいと思いますが、新築の一戸建てはもちろんのこと、すでに建てられた一戸建てでもスペース(盤の設置と配管)さえあれば、設置可能です。但し、AC100Vを引く場合、ご自分で工事するには第2種電気工事士以上の資格が必要となりますので、ご注意下さい。 |
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家庭内LAN編1 4-3 「経路全体の再検討」 |
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Q3-02 |
新築時に組み込んでおくべきハードウェアは? |
A3-02 |
集合住宅(特に分譲マンション)の新築時には、LAN関係の配線はデベロッパー側で各戸一様に決められてしまっているケースが多いようなので、このご質問は一戸建ての場合だと考えてお答えします。 まずは配管です。CD管やPF管という配管を壁の中や天井裏に通しておきます。これさえ通っていれば、後からLANケーブルを通線したり、交換することができます。逆に通っていないと、ほとんど手探りで経路を決めなくてはならず、苦労します。通す経路は、各部屋の将来の需要も見込んで決定します。電話線やテレビの同軸ケーブルを通す経路と共用にしても問題は起こりませんから、これらもいっしょに検討してもらうようにしましょう。LAN側の経路を考える上で最も重要なのは、ブロードバンドルータやスイッチングハブなどの置き場所です。これらは、光ファイバ(FTTH)・電話線(ADSL)の引込み位置や、ネットワークトポロジー(配線形態)を考える上で、キーとなるものですし、普通AC電源が必要なので、それも引かなくてはならないからです。 その他、組み込んでおくべきハードウェアとしては、配管の行き先である埋込みボックスです。当初はLAN配線を引かない場合でも、予定するモジュラージャック数の分はボックスの大きさを確保して取りつけてもらいましょう。もちろん、当初からLAN配線をしてしまうなら、その数と位置を決めておくことは必須です。 上に書いたことの他にも、ACラインと長距離平行に引かないとか、クロスする場合もなるべく離すとか、いろいろ施工上の制約条件があります。自分の頭の中で描いている配線経路を、業者と綿密に打ち合わせて、必ず図面の上で形にすることが必要です。また、ハウスメーカーや工務店で、ブロードバンド配線に詳しい人がいない場合、電気メーカーの「標準システム」を薦められて「一件落着」、では、多くの場合自分の描いたイメージと違うものができてしまうでしょう。こういう場合は、こちらが教えてあげる立場になってしまうこともあるかと思いますが、ひとつひとつ決めて行きます。 新築時に、配管を引いて取出しの埋込みボックスに十分なスペースがあれば、後は素人でも工事できない話ではありませんので、ケーブルの通線以降は自分でやってみる(このページはそういうページです)のもいいでしょう。 |
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Q3-03 |
スイッチングハブはどんなのがお薦め? |
A3-03 |
100Base(100Mbps)の製品にはバリエーションがあり、いろいろ選択の余地がありますが、1000BASE(1Gbps)のハブはまだまだ大きく発熱もあり、種類もあまり多くありません。一般家庭で使うのですから、24時間運転するハブには発熱が少ないことや小型であることなどが求められると思います。特に、熱については、あまり発熱が多いと冷却ファンが必要になるため、騒音が気になりますし、これが連続運転で故障した場合のことも考えねばなりません。外形や発熱の観点からは、ファンレスで小型、ということになります。それから、他のネットワーク機器は大概がACアダプタ方式になっていますが、コンセント周りがグチャグチャになることを考えると電源内蔵であって欲しい、とも思います。 一方、ネットワークの動作の観点から考えると、高価なハブはストアアンドフォワードのバッファメモリを多く積んでいますが、安いものはほとんど積んでいないものもあります。バッファはなるべく多い方がいいでしょう。内部の動作もチェックしておきます。全ポートからフルスピードでデータが流入しても、内部のスイッチICでデータの流れが滞らないハブであることを「ノンブロッキング」や「ワイヤスピード」(線で直に繋いだのと同じ)と言います。この内部バスの能力をスイッチングファブリックと言いますが、これが8ポートのギガビットスイッチングハブの場合、8Gbps以上あれば、ノンブロッキングであると言います。 そんな観点で探していた所、PLANEXからこんな製品(FXG-08IM)が出ているのを見つけました。ファンレスで小型、AC電源内蔵です。バッファメモリは448kBでこの価格帯にしては多い方ですしスイッチングファブリックも16Gbpsと十分です。現時点で2ヶ月以上ほぼ連続運転していますが、発熱もあまり多くなく、気に入って使っています。 |
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Q3-04 |
カテゴリ6とカテゴリ5eどっちがいい? |
A3-04 |
カテゴリ5eでは100Mbpsを、カテゴリ6では1Gbpsを、それぞれ通すものとします。カテゴリ5eで1Gbpsを通すとなると、話は違ってきます。いろいろな観点から見る必要があります。まずはハード的な観点から、以下のようのようにまとめてみました。
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100BASE-TX (Cat.5e) |
1000BASE-T (Cat.6) |
伝送速度(*1) |
100Mbps |
1Gbps |
エラー耐性(*2) |
中程度 |
強い |
システム価格 |
ケーブル・コネクタ(自作時)・かしめ工具ともに比較的安価。但し、あまり安いものを使うと速度が出ないリスクあり |
ケーブルはさほどでもないがコネクタ類や工具が高価。スイッチングハブなどの機器類も高価。 |
入手性 |
容易。パソコンを扱っている家電量販店でもケーブルからコネクタ、かしめ工具まで手に入る。 |
比較的困難。ケーブルは売られているが、コネクタや工具は取り寄せになることも。 |
引廻し易さ |
ケーブルに柔軟性があり、比較的容易 |
ケーブルが硬く太い。急な曲がりは無理 |
施工の難易度 |
容易。コネクタ部の撚りが多少乱れても100Mbpsなら出ることもある。 |
接続部分の施工の難易度が高い。必要以上に撚りを戻すと速度が出ない。 |
(*1) 理論上の速度です。 (*2) ケーブルに同じ信号を通したとして考えます。
次に、家庭内LANとしての観点から見ると、100Mbpsでは、いずれ機器の取替えが必要になりますが、1Gbpsなら数年間は大丈夫でしょう。自分がネットワークで何をしたいか(ネットワークのスペックとして何を要求するか)と、ケーブルの張替えは容易かどうか、などの見方も加えて決めて下さい。 現時点では、カテゴリ5eに1Gbpsという選択肢もあるので、この先カテゴリ6に将来性があるとは言っても、コストや施工性から考えれば、無理にカテゴリ6にする必要はないと思います。
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Q3-05 |
速度が異なる機器が混在しているのですが大丈夫ですか? |
A3-05 |
異なる速度に対応した機器(ブロードバンドルータやスイッチングハブ)なら大丈夫です。 現在、家庭内LANに繋がるような機器で、一般的に使われている規格としては、もう少なくなりましたが10BASE-T(10Mbps)と、最も一般的な100BASE-TX(100Mbps)、それにこれから増えると思われる1000BASE-T(1Gbps)です。これらがいっぺんに同じハブやルータに繋がると、誤動作しそうな気もします。でも、これらに対応している機器なら大丈夫です。でも、最新のPCが繋がったポートからは1Gbpsでデータが送られてきているのに、旧型のISDNルータが10Mbpsだったら、100倍も速度差があるのにデータがあふれてしまわないのでしょうか? これには、下記のような仕組みが備わっています。 これらのハブやルータには、必ずデータを一時的に蓄えるバッファ(メモリ)を持っています。1GbpsのポートAからデータが流れてくると、まずこのバッファに蓄えます。そして、データが到着した順に、10MbpsのポートBに流すのです。でも100倍も速度差があったら、あっという間にバッファがいっぱいになってしまいます。そうなったら、ポートAに「データ送信を止めろ」という信号を送ります。この信号が出ている間はデータは送られてきません。その間にバッファの中身は10Mbpsでデータが減って行き、ある程度減ったところで、ポートAに出していた「データ送信抑止」信号を止めます。するとまた1Gbpsでドドッとデータが流れてきてそれをバッファに溜めて…という動作の繰り返しなのです。 ここから分かるように、いくら送信元が高速な1Gbpsのパソコンでも、データの行き先が10Mbpsなら、トータルのシステムとしては10Mbpsのスループットしか出ないのです。考えてみれば当たり前ですけどね。 なお、ハブのポートAが1Gbps、ポートBが10Mbpsであるという設定でしたが、さらにポートCとポートDには各々1GbpsのPCが繋がっていたとすると、C-D間の通信までポートBの影響は受けることはありませんし、A-C間の通信も1Gbpsで行えます。 以下、各伝送方法の変調方式までご存知の方へ。 これら3つの伝送方式では変調方法がそれぞれ違います。速度だけでなく、これらも合わせてやらないと実際には信号のやり取りはできません。この違いは、物理層チップで自動で相手方の変調方式を認識し、吸収しているので、接続が可能になるのです。 |
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