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部屋に戻ると、まず担当者の一人がNTT(収容局?)に携帯で電話してワン切りする。すると向こうから電話してくる。「x番、ジャンパーお願いします」と言っている。多分これを受けたNTTの担当者が、端末で設定すると、光スイッチが切り替わって、信号が流れるようになるのだろう。現状では、物理的には電話局と繋がっているが、信号は来ていない状態だが、この設定が終われば信号が流れ出す。 しばらくすると、また電話がかかってきて、どうやら接続が完了した様子だ。担当者はピストル型のパワーメータを取り出してパワーを測っている。-13dBmちょっとを指していたと思う。約50μWだが、思ったより小さいパワーだ。
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Fig.1-1
室内引込み完了
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Fig.1-2
ピストル形パワーメータ
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お次はいよいよお約束の速度測定だ。ノートPCを立ち上げて、フレッツスクエアに接続して速度測定のページに繋ぐと…なんと70Mbpsオーバーだ。ルータを繋いだら、こんなに出ないだろうとか、夜になれば(これを測定していたのは昼の11時ちょっと前)落ちるんだろうとか思いつつも、今の(ISDNの)スピードの1000倍以上のスピードに改めて感激する。 この時点では「数値上での驚き」であるので、実感を伴っていないが、すべてのデータがキャッシュ上にあるように動作するのだろう、と想像したりする。今までの苦労を忘れさせてくれる一瞬だった。
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Fig.1-3
いきなり70Mbps超
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速度測定した担当者から、書類にサインするように求められたので、工事完了のサインをした。担当者はそれで帰った、これでNTT側の工事は完了である。ONUと(余長の)光ファイバは特に固定せず放置しておいてもらった。すぐに自分のマシンで、早くセットアップしたかったが、すぐに出かけなければならず、帰ってきてからやることにした。
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帰ってきてONUの固定方法と余長の処理について思案した。実は、ONUとファイバの余長をそのままにしてもらっておいたのには理由がある。ONUは光ファイバはもちろんのこと、ACアダプタからのDCのコネクタさえ筐体内にある。光のコネクタは外せない(物理的には外せるが、メカスプの前後に芯線が出ている部分があるので、素人がいじるのはきわめて危険)のだ。(余長の範囲で)自由に移動するには、どうしてもファイバの接続余長処理とONU本体を一体化して保持する必要がある。その保持方法をゆっくり考えたかったのだ。 ONUには付属品として壁掛け用のフックがついている。これを壁に直接取り付けると、移動ができなくなってしまう。そこで考えついたのが、今まで廃材として取って置いた板材に、ONUの壁取付け部材をネジ止めし、ファイバの余長は買い置きのヒートンで丸めて保持する方法だ。その板自体は、壁に(石膏ボード用の)フックを2箇所つけて、吊るせばいい(Fig.2-2)。
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Fig.2-1
ONUのふたを開けたところ
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Fig.2-2
あり合わせの材料で作った固定板
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ちょうどいいチェーンがあればいいが、無かったので、前に風呂桶の栓を交換した時に取って置いた、数珠のようなチェーンを使った。少し長すぎたが、両端に取り付けられているリングの外しかたが分からないので、そのまま使うことにした。 フックの位置から板の位置までずいぶん下がった格好になって、イマイチであるが、そのうち見栄えのいいチェーンを買ってくることにする。などと書いておきながら、LAN工事で光ファイバを切ってしまうまで、2年ほどそのまま使っていた。実用に差し支えがないから、出費する気にもならなかったのだ。 板はちょうどONUが縦に入る程度の材料があったので、\1も余分に使わず1時間ほどで作ってしまった。
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Fig.2-3
ONUのふたをする
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Fig.2-4
使用風景
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いよいよルーター(MN8300)の電源を入れ、PC(自作 PenW 2.4CGHz)の電源も入れて、自分の環境でテストだ。今まではISDNルーターだったので、そのままネットワークケーブルをMN8300につなぎ替えれば、いきなりブロードバンド…なはず。 まず、ルーターのログイン設定をASAHIネットにしてリブートする。ところが、ルーターのPPP接続ランプが赤の点滅のままである。要するに、ASAHIネットにログインできていない。設定は間違っていないはずなのにおかしいな、と思ったが、こういうときはとりあえずの再起動だ。何故か分からないが、今度は難なく繋がった。これでやっとNTTから先のインターネットの世界に繋がったわけだ。 速い、驚異的に速い。ブラウザのキャッシュや履歴を全部消去してから繋いでみるが、どのページもあたかもキャッシュに入っているような速さだ。ISDNやアナログモデムからADSLに乗り換えた方々が味わったような感激を、やっと味わえたような気がしてくる。 フレッツスクエアの速度測定では、60Mbpsくらいはコンスタントに出ている。全く問題ない。ここまでで満足しておればいいのだが、やり始めると止まらないのが技術屋のサガである。ルーターのPPPoE接続設定の、「セキュリティ優先」と「速度優先」の差やMTUの調整で速くならないものかと、いじり始めた。
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ところが、設定を入力した後、それを確定する「登録」を押すと時々ルーターがハングしてしまう。このルーターは、リセットスイッチのようなハード的な再起動手段はない(工場出荷設定戻しのスイッチはある)ので、ハングさせてしまうと、パワーオンリセットしかない。 ところが、ルーターは電源を切ると一部設定を忘れてしまう上にリンクが切れる。リブート後は、ホスト側(PC)もリブートしなければならないから、設定を変えながらいろいろ試すには、極めて面倒だ。
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Fig.2-5
開通4日後 朝6時2分に測定
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動作が安定するまでの辛抱、と我慢してやるが、幼稚園から帰ってきた子供は「遊ぼう」と寄ってくるし、晩飯には呼ばれるしで、落ち着いてできない。 結論から言うと、MTUを「自動設定」から手動で1454にすると、60Mbps→70Mbpsに速くなった。全く同一時刻に試したわけではないが、数回やっても同じ傾向だったので、信用できるだろう。速度向上に血眼にならなければならないほど、低速でもないので、適当なところでやめにしておく。 これで、やっと完全な接続ができた。導入を決断してから、約5ヶ月かかった。正直言って、長かった…
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ここでの内容は、我が家のニューファミリーの工事とは関係なく、マンションタイプの工事が本年(2004年)2月に行なわれたのを受けて、管理人さんにお願いして、後日写真撮影のみを行なったものです。
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管理組合総会の時に、NTTのH課長から「マンションタイプも導入可能ですが、申し訳ありませんが工事は来年の2月になります」という話があった。その後、自分のことで頭がいっぱいになっていた私は、2004年2月上旬に、工事の連絡がマンションの掲示板に張り出されるまで、てっきり忘れていた。H課長は契約者がいなければ工事をしない、とも言っていた(アタリマエか…)ので、申し込みがあったのだろう。2月の中旬に行なわれたその工事は、予定では2日間+半日だった。3日目は予備だったらしく、妻の証言によれば、工事は見かけなかった、とのことだ。 私が工事に立ち会ったわけではないし、全くの第三者なので詳細な工事の内容は不明だし書けないが、導入された装置自体は、「共存可能」という事例として、是非見ておきたかった。そこで、管理人さんにお願いして、MDFとIDFを開けていただき、見せてもらった。
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まずはMDF内に設置された、マンションタイプ関連の配線&装置だ。全体を見ると、「VDSLローカル」「VDSLライン」と書かれた端子台が追加になっている。「ローカル」「ライン」がそれぞれ元々ある電話線と、どのような接続関係にあるのかは分からないが、2階のIDFから降りてきているケーブルがそれぞれに繋がれているようだ。 PDSSには光ファイバが1本追加されていた。 配線の様子を見ると、電話局側からの既存の電話線(マンションタイプ契約者のみ)を「ライン」で中継して2階のIDFに上げ、VDSL装置でディジタル信号を重畳して「ローカル」に降ろしてきて、契約者各戸への既存の屋内配線に繋ぐ、となっているのだと想像する。 2階に上がってくる光ファイバと、MDF←→IDFの銅線が追加になっている。
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Fig.3-1
マンションタイプ導入後のMDF
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Fig.3-2
PDSSには光配線が1本追加
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Fig.3-3
追加された端子台
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2階に上がってIDFの中を見る。H課長とマンションタイプ導入時のVDSL装置設置場所について話した時に、「MDFはスペースがないが、2階以上のIDFなら何台でも置けますね」ということだった。他のマンションなどでの導入記を読むと、15インチラックサイズのかなり大きな装置だったので、「そんなにたくさん入れられるんですか?」と聞いた覚えがある。H課長は、「最近のVDSL装置はかなり小型になってます。それにそちらのマンションのIDFは、端子台や(CATVの)分配器が収められた箱の上はガラ空きですよね。そこに取り付けるんです。」と言っていた。確かに、箱の上は1m以上の高さにわたって、ガラ空きだ。
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開けてみると、目に飛び込んでくるのは、言われた通り、既存の端子箱の上部に取り付けられたVDSL関連の装置だ。壁に直接木の板が取り付けられていて、その上にうちのと同じONUとVDSL装置が取り付けられている。 木の板はアンカーを打ってあるようだ。写真には写っていないが、これらの電源は、下の端子箱の中にあるコンセントから、テーブルタップで引っ張ってきていた。VDSL装置はH課長が言っていたように、幅は15インチラックサイズと思われるだけあるが、高さが約8cm程度の薄型で、このIDFになら重ねて取り付ければ2台は楽に入るサイズだ。
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Fig.3-4
2階のIDFの上部に取り付けられた装置群
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Fig.3-5
ONUとVDSL装置の接続
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ONUとVDSL装置はCAT5eのツイストペアで結ばれている。マンションタイプは研究不足でよく分からないのだが、ONU-VDSL装置間の速度が100Mbpsということは、最大16人でシェアすると、6Mbps程度になってしまうのだろうか? そんなに遅いはずはない。実際には同時に全員が使うことはないだろうから、ここまで遅くはならないだろうが。 もしそうでないとすると、実はここの速度はもっと速く(規格上はギガビットイーサ)て、各戸には最大50Mbps出るのだろうか? だとすると、ONUは元々Gbitの口を持っていることになり、将来ONUの取替えなしに、高速サービスが開始可能なのだろうか? 等と勝手にいろいろ想像してみる。(このあたりのことに詳しい方、おられませんか?) 最近では、100MbpsのVDSL装置も出てきて、日進月歩のこの分野だが、空いている時はいいが混んでくると極端に速度が落ちる、というのでは、あまりありがたくない。
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メタル配線側のコネクタは、大きなものが2つついており、それぞれMDFの「ライン」と「ローカル」の端子台と対応しているものだと思う。 VDSL装置はNTT仕様のもので、ロゴにNTTマークが入っている。私はギョーカイ人ではないので、どこの製品かは見ただけでは分からなかった。住友電工あたりかな? LEDは収容数分の16個がついていた。不思議なことに、契約者数は1か2しかないのに、LEDはいくつも点滅していた。(上流側からのARPのようなプロトコルが流れているのかも。) いよいよこれでうちのマンションも、ニューファミリーとVDSLが共存する段階に入った。
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Fig.3-6
VDSL装置の表示部
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