目次
集合住宅室内まで光ファイバ
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 ■ 光導入準備編1
 ■ 光導入準備編2
 ■ 光導入工事編1
 ■ 光導入工事編2
 ■ 光通信運用編1
 ■ 光通信運用編2
 ■ 光通信運用編3
 ■ Q&A ファイバと通信
 ■ Q&A 集合住宅に光
 ■ Q&A 導入準備と工事
宅内に家庭内LAN敷設工事
 ■ 家庭内LAN編1
 ■ 家庭内LAN編2
 ■ 家庭内LAN編3
 ■ 家庭内LAN編4
 ■ 家庭内LAN概要(別窓)
 ■ Q&A 家庭内LANとは
 ■ Q&A ケーブルと配線
 ■ Q&A 配線工具と材料
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家庭内LAN編3 住戸北半分の敷設
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 光ファイバが切れるという大事故はありましたが、いよいよ本格的に家の中を配線して行きます。まずは、天井裏にアクセスが可能な、住戸の北半分です。
 天井裏はスペースがあるので、後のことも考えて、一部にCD管を通しています。天井裏から埋込みモジュラーまでは壁内を通しますが、その経路確保にどこも苦労しています。浴室の天井裏には、ハブ用の電源コンセントを設置しました。[06/07/31]時点で、全部の経路を隠蔽配線で引くことができ、各モジュラーに番号シールを付け、仕上げとしました。
(南北を結ぶバックボーンは4編に移しました。)

 「記事の分量が多すぎて、どの場所で何をやっているのかわからない」という方のために、家庭内LAN工事の概要を作りました。

[ご注意下さい]
 家庭内LAN編で行なっている、屋内の電力線や電話線の工事にはそれぞれ、電気工事士・電気通信工事担任者の資格が必要です。ご自分で工事される際は法令違反のないよう、ご注意ください。私はペーパーライセンスですが両方保持していますので、自分で行なっています。
 お約束、ですが、本ページの情報は自己の責任において御利用下さい。特に、白熱電球や換気扇ダクトなど発熱体、高温体の付近へのネットワーク配線、風呂場など高湿となる場所への電力線の配線などを行なっています。埋込みモジュラー設置のため、壁にも穴をあけています。ご自分で行なわれる際は、相応のリスクを負うことを御承知置き下さい。
 また、古い住宅では、アスベストにご注意下さい。

「家庭内LAN編3」の目次

1 廊下への通線工事
  □ 1-1 廊下のコンセントから通線
  □ 1-2 浴室の点検口でたぐる
  □ 1-3 浴室側からケーブル通線
  □ 1-4 ぐっとす接続と仮仕上げ
  □ 1-5 絶縁隔壁の取付け
2 天井裏へのCD管敷設工事
  □ 2-1 ダウンライト2からトイレ天井裏まで
  □ 2-2 トイレ天井裏から浴室点検口まで
  □ 2-3 経路チェックと通線確認
3 トイレへの通線工事
  □ 3-1 トイレのコンセントから通線開始
  □ 3-2 ダウンライト2までCD管敷設
  □ 3-3 トイレからダウンライト2まで通線
  □ 3-4 ぐっとす接続と仮仕上げ
  □ 3-5 絶縁隔壁の取付け
  □ 3-6 ダイニング用ケーブルと浴室までの通線
4 電話モジュラー口への経路確保
  □ 4-1 コンセントプレートを外すのに一苦労
  □ 4-2 なかなか通らなかった天井裏への通線
  □ 4-3 本格運用開始までの仮通線
5 ハブ用電源コンセントの設置
  □ 5-1 AC電源の取り口がない!
  □ 5-2 洗濯機用コンセントにから配線
  □ 5-3 浴室点検口上部にボックス設置
6 北西柱(レンジ裏)への通線工事
  □ 6-1 壁内の状況確認と経路の検討
  □ 6-2 ジョイント呼び線が天井裏まで貫通
  □ 6-3 フックで引っ掛けてたぐり寄せろ!
  □ 6-4 通った!風呂場まで一気に通線
  □ 6-5 レンジ裏に埋込みボックスを付ける
7 ダイニング西側壁への通線工事
  □ 7-1 運良く呼び線が引けて通線
  □ 7-2 埋込みボックスの設置
8 電話台周りへの通線工事
  □ 8-1 モジュラー[12]と[13]への通線
  □ 8-2 パネルボックスを付ける位置とケーブルの迂回
  □ 8-3 パネルボックスの加工とぐっとす接続
9 CD管両端の後処理
  □ 9-1 将来の作業用の紐を通線
  □ 9-2 パテでCD管の両端を塞ぐ

廊下への通線工事
□ 1-1 廊下のコンセントから通線

 ここで、廊下のコンセントと言っているのは、家の中の見取り図で言うと、洗面の右下にある(17)のことだ。
天井石膏ボードの施工方法の違い
Fig.1-1

天井石膏ボードの施工方法の違い

 ここは、掃除の時に掃除機を繋ぐぐらいしか使用頻度がないのだが…。まずは初めての壁内の通線ということで、腕試しとしてやってみることにする。
 まず、事前に調べておかなくてはならないのは、天井の石膏ボードの施工方法の違いだ。Fig.1-1の左のように、天井の石膏ボードが梁の横面や他の壁を構成する板材などに突き当てられている場合、中空壁が天井裏に通じる経路が封じられていることになるので、通線工具では通線できない。
 埋込みコンセントには、AC100VのVVFケーブルも来ているので、どこかに経路があるはずだが、天井(上)から来ているとは限らないので、あてにならない。
 だが、ACケーブルが天井に出ていれば、ひとまずやってみる価値はある。
 実際のところ、最初は洗面台にあるコンセント(18)に出そうと思ったのだが、ここがまさにFig.1-1の通線できないケースであり、天井裏に抜けられなかった。確認するには、実際に通線ワイヤまたはジョイント呼び線を上方に向かって上げてみるのが最も確実だ。
 この廊下のコンセントの場合、ACケーブルは上方に引かれていたが、出ているところが直接浴室の点検口からは見通せなかったため、ダメモトでFig.1-2のようにして確認してみた。壁裏が天井裏につながっていれば、どこかにワイヤが出てくるだろう、という全くもって素人考えだ。
 通線ワイヤやジョイント呼び線がなければ、適度にコシのある線状のもので、手近にあるものでやってみるのは良いが、ACラインの近くを通すことになるので、むき出しの導線など、感電の危険のあるものは避けるべきだ。ジョイント呼び線があれば、それが最適だ。
コンセント(17)側から通線する
Fig.1-2

コンセント(17)側から通線する

 コツは、先頭が下を向かないようにワイヤを操ってやることと、多少の途中の引っかかりがあっても押し込んで行くことだ。極端に長い距離を押し込むと、複数の場所に引っかかって抜けなくなるが、ヘッドが1ヶ所下を向いてしまった程度の引っかかりなら、逆U字になって天井裏に出てくる。
 ある程度の長さを送ったら、ワイヤが出てきたかどうかを浴室の点検口まで確認しに行く。天井までの高さの倍の長さも送って、何度やっても何も出てこなければ、諦めた方が良い。
 どうしても引きたければ、専用工具を使う手もある。工具のページで紹介したマルチジョイント呼び線だ。これなら、元々直進性が高いので、コンセントの高さから天井裏までくらいなら、曲がらず出てくる。
□ 1-2 浴室の点検口でたぐる

 何度か押し込んでいるうち、通線ワイヤが天井裏の軽量鉄骨に当たる音が聞こえてきたので、点検口に急いだ。
 見ると、すぐに通線ワイヤが運良く洗面台(浴室に近い方)に倒れかかるような格好で出て来ているのが分かった。ただ、手の届くほど近くには来ていなかったので、曲尺(さしがね)で通線ワイヤを引っ掛けて手元にたぐり寄せた。
 たぐり寄せる道具は、特に準備しなくても曲尺でも良いし、それがなければ、柄の終端に壁掛け用の引っ掛けの付いたモップでも何でも良い。
 Fig.1-3はたぐり寄せたあとの写真である。最初は奥の排気管あたりに出てきていた。通線ワイヤさえ手元まで来てしまえば、通線作業の8割は終わったといえるくらいだ。見てのとおり、ACケーブルが縦横に走っているので、ノイズを避けるため、また、変な経路に通してしまわないよう、なるべくACケーブルからは遠ざけて引く。
洗面台の天井裏に出てきた通線ワイヤ
Fig.1-3

洗面台の天井裏に出てきた通線ワイヤ

 手元に届いたら、ヘッドに今まで通りケーブルを取り付けて、コンセント側から引っ張る作業に移る。
□ 1-3 浴室側からケーブル通線

 浴室に十分な長さのケーブルを置き、点検口から入れてゆく。
廊下のコンセント通線完了
Fig.1-4

廊下のコンセント通線完了

 途中、軽量鉄骨など、金具に引っかかって引っ張ってもケーブルが下りて来なくなることがあるが、ここで無理して引っ張ると、ケーブルが抜けたり被覆が剥け(軽量鉄骨や金具類は面取りしていないシャープエッジなので、擦るとすぐに切れる)たりするので、注意する。
 引っかかってしまった時は、一旦、送り側から引いたり、ケーブルを揺らしてみたりと、微妙に経路をずらすように動かすとうまく通る。光ファイバの時のように、イライラして無理に引っ張るなどしてはいけない(と自分に言い聞かせて慎重にやる)。
 廊下のコンセントは、AC100Vが渡り配線になっていた。コンセントボックスには2.0mmφのVVFが2ペアも通っていて、通線ワイヤのヘッドが通るのがギリギリだったので、ヘッドがボックスの穴を通る時も慎重にやる。無理にやるとボックスを止めているネジ部が破損する。
□ 1-4 ぐっとす接続と仮仕上げ

 仮運用開始で浴室天井裏にハブ3を設置したので、早速ここもぐっとすを接続してみた。
 ここ(廊下)は、新たにパネルボックスを設けると大掛かりになって目立つので、AC100Vコンセントと共存にしてある。壁の中はどうなっているか分からないが、コンセント付近では(避けたいことだが)ACラインと近くなってしまっている。
AC100V×2口との同居
Fig.1-5

AC100V×2口との同居

[15]同居取付け完了
Fig.1-6

[15]同居取付け完了

 今まで付いていた2口用のコンセントを取り外し、1個口のコンセントを2つにして、その下にぐっとす6を持ってきた。
 本来ならば、AC側とぐっとすの間に、プラスチック板等の絶縁隔壁を設けることが内線規定で勧告されているが、手ごろなものがなかったので、手に入るまで仮配線として、この写真撮影と動作確認の後はぐっとす6をボックスの中に収納し、コンセントは元に戻した。
□ 1-5 絶縁隔壁の取付け

 ここでは、AC配線と弱電計配線を同一ボックスに収納する場合の内線規定3107-2(AC系など電力線と電話・インターホン・TV・LANなどの弱電配線の絶縁の規定)に従って、ボックス内に絶縁隔壁を設ける。
(但し、内線規定で材質や構造が規定されているかどうか調べていませんので、現時点ではありあわせのもので隔壁を作っています。後日調査しますが、不適切なら材質・構造を見直します。)
絶縁隔壁を作る(樹脂板+両面テープ)
Fig.1-7

絶縁隔壁を作る(樹脂板+両面テープ)

 まず、ボックス内の寸法を測る。ACとLANがそれぞれボックス内で通るように、かつ、両者がなるべく触れない構造と絶縁板の形状とする。今回は、40mm角の大きさがあれば、問題ないことが分かったので、この大きさの絶縁板を作ることにした。
 理想的には塩ビ板などの難燃性素材で作るべきなのだろうが、内線規定の詳細な記述が分からないので、仕方ない。100円ショップなどで適当な大きさのケースを買ってきて、その一部分を切り取り、材料とした。厚さは1.5〜2mm程度である。
 両面からカッターで十分切れ目を入れて、折り取るようにすればよいが、エッジが鋭利なので注意する。切り取れたら、両面テープを張っておく。
 次に、これをACコンセントの上面に貼り付ける。あまり手前側(コンセントの前面)まで入れてしまうと、ぐっとすが付かなくなるので、貼り込む位置に注意する。
 なお、今回は、先に書いた配列から変更している。すなわち、上ではぐっとすを最下部に持って来ているが、このように板を途中に挟むとなると、ぐっとすの上部に張り出している青いプラスチック部分が、上のACコンセントと当りそうだった。このため、ぐっとすの方を最上部にもって来て、板はACコンセントの上面に貼り付けた(Fig.1-8)。
隔壁をコンセントの上面に貼る
Fig.1-8

隔壁をコンセントの上面に貼る

全て取付けた様子
Fig.1-9

全て取付けた様子

 この状態で全部を組付けたのがFig.1-9だ。構造としては、一応用をなしていると思う。この後、最終仕上げのテプラ貼りも一緒に行なってしまったので、出来上がった様子はこんな感じになる。

天井裏へのCD管敷設工事

 住戸北側のエリアは、南側と異なって天井裏にアクセスが可能だ。ここに同じ経路に複数のLANケーブルを引きたい。しかし、軽量鉄骨が入り組んでいて、単なる転がし配線では、相当苦労しそうだ。また、同じ経路を引くのに、何度も同じ苦労をするのはいやなので、思い切ってCD管を通すことにした。CD管は、一度引いてしまえば、通線ワイヤさえあれば、ほとんど苦労することなしに通せてしまうからだ。

[ご注意]
 家庭内LAN編全てにおいて、「CD管」と称する物は本来、コンクリート埋込みでの使用を前提としたものであって、露出(転がし)配管用のものではありません。すなわち難燃性の素材ではありません。露出配管で、難燃性を必要とする場合は「PF」管という、難燃性の規格を満たしたものがあります。
 但し、電力線に用いない(管にAC100Vのケーブルを通さない)場合は、法的にはPF管である必要はないようです。価格もCD管よりは高いものの、使うのを控えるほど高価ではないですが、近くのホームセンターでは売っていなかったので、今回はCD管を使っています。
□ 2-1 ダウンライト2からトイレ天井裏まで

 いろいろ準備していた照明やビデオカメラの出番である。Fig.2-1のように、ダウンライト3(ダイニングの廊下)にビデオカメラ、ダウンライト5(トイレ)に照明をセットして、CD管の行方を追ってゆく。
天井裏をビデオでモニタ
Fig.2-1

天井裏をビデオでモニタ

CD管の挿入口はダウンライト2
Fig.2-2

CD管の挿入口はダウンライト2

 CD管は6m購入したが、まずは切らずに入れてゆく。モノにも依ると思うが、CD管はかなり硬いので、買ってくるまでについている「巻きグセ」をそのままに挿入すると、思う方向に向いてくれなかったりして、不便なので、なるべく入れる前に巻きグセを取っておく。
 挿入は、ダウンライト2から行なった。ここは上階スラブまでの高さがないが、南側領域につながる電話モジュラー(電話台の下)に最も近いからだ。
 東に向かってどんどん入れて行くが、まずは障害となるのが、ダイニング換気扇ダクトとトイレの間の障壁だ。換気扇ダクトが下に下がってきている部分で、ダクトや石膏ボードと上階スラブに付いている鉄骨の間(上記リンクの写真で言うと右側)をすり抜けさせなければならない。
 この部分はビデオカメラにも映らないので、CD管の硬さを利用して、手で上下に振りながら通るところを探るしかない。
 10分ほど、あーでもない、こーでもない、とやっていると、やっとトイレの側に進んだ手ごたえがあった。トイレのダウンライト穴から覗いてみると、蛍光灯に照らされたオレンジ色の管が出て来ているではないか。
トイレを過ぎて下に支えてしまう
Fig.2-3

トイレを過ぎて下に支えてしまう

 今度はトイレに移動して、浴室まで通す。ここは、トイレから東側の室内天井の高さが廊下・玄関・浴室、と、それぞれ違っていて、今まで以上に軽量鉄骨が入り組んでいる。とても狙ったところを通せるような空間ではない。ここでもCD管の硬さを利用して、なるべく通りそうなところを中心に探っていく。
 Fig.2-3の画面左奥から右手前に延びるトイレの排気ダクトの上を通したい。ダウンライト穴から、思い切り手を伸ばしてCD管を送って行くが、どうしても曲がりグセのためにトイレの前の廊下の天井で、CD管が下を向いてしまって、つかえてしまう。下向きになってしまうなら、管を180度回転させて、上向きで天井に押し当て気味にすればよい。
 頭で考えるのは簡単だが、なかなか思うように行かない。これも何度かやるうちに、つかえていたのが外れて浴室の方向に進み始めた(Fig.2-4)。では、その「何度かやるうちに…」の具体的な方法はというと、なかなか文章にできない。手探りなので、CD管を押し込んで行く時の手ごたえや、音や振動がしてくる方向、といった視覚以外の感覚を鋭くしておくしかない。
 とは言え、やはりここは非常に時間がかかった。30分以上かかったと思う。外は涼しいのにトイレで汗だくになりながらの作業だ。途中で「もうこんな作業はやめよう、家の中にLANを引くのもやめよう」と、何度も思った。だが、ここまで来てやめるのは悔しいし、どうせまたウズウズしてきて同じことをやりだすに決まっている、俺は、と思うと、やめられないのだった。
何とか浴室方向へ前進!
Fig.2-4

何とか浴室方向へ前進!

 とにもかくにも、あとは浴室の点検口から、オレンジ色の管が見えているか、押し込んではチェックする、の繰り返しだ。
□ 2-2 トイレ天井裏から浴室点検口まで

 トイレから管を揺さぶりながら押し込んで行くが、一向に思ったところに出てこない。
 オレンジ色など、影も形も見えない。その、「思ったところ」というのは、Fig.1-3の廊下から引き出したケーブルが来ているあたりのことだ。ここに出てきてくれれば、と思ってその方向に押しているハズなのだが…
 そんなことを考えながら、見通しが利かないので、デジカメでそこかしこをパシャパシャ撮っていた時のことだ。わずかにオレンジ色が写った(Fig.2-5)のだ。これに気付かなければ、諦めていたかもしれない。
 ただ、曲尺(さしがね)などを使ってもまったく届きそうにないところだったため、さらにトイレ側から押し込んで撮ったのが、Fig.2-6だ。出てきた場所は、なんと玄関の上あたりからだった。随分北側に湾曲したことになる。
ついに見えた!CD管
Fig.2-5

ついに見えた!CD管

さらに押し込んで顔を出したCD管
Fig.2-6

さらに押し込んで顔を出したCD管

曲尺で引き出したCD管
Fig.2-7

曲尺で引き出したCD管

 この状態でも手が届かないため、曲尺で引き出した。それがFig.2-7である。最終的にはさらに少し南側に曲げて、Fig.1-3で写っている位置あたりに引き出した。
 ちなみに、Fig.2-7でも分かるように、CD管が浴室の天井裏に出て来ているところは、玄関を入ってすぐの天井近くにある、ブレーカーボックスの上だ。AC配線が近いので気になる。速度が問題になったら、ここの経路を疑うとして、今はとりあえず引いてしまうことに注力する。
□ 2-3 経路チェックと通線確認

 ダイニングのダウンライト2から浴室点検口まで、CD管が通った。だが、途中でキンク(折れ)や急な曲がりができていたりして、通線できないと困るのでこれらができていないことを確認する。また、どこを通っているのか、危険な状態はないか、経路を確認しておく。
経路チェック1 トイレ上
Fig.2-8

経路チェック1 トイレ上

経路チェック2 玄関上
Fig.2-9

経路チェック2 玄関上

 Fig.2-8はダウンライト3から見たトイレの上の様子だ。CD管はまっすぐにトイレ排気管の上を通っている。CD管に重量のあるケーブルを通すと、排気管に曲げ力がかかるからマズイが、そんなに重いケーブルは通さないので、これで良しとする。(気になる場合は、天井板の軽量鉄骨の上を通して下さい。)
 トイレの先は玄関廊下の上だ。Fig.2-9がダウンライト穴4から見た玄関上の様子だ。特に曲がり、ねじれなどはなく、まっすぐ伸びている。
経路チェック3 配電盤上
Fig.2-10

経路チェック3 配電盤上

経路チェック4 洗面所上
Fig.2-11

経路チェック4 洗面所上

 Fig.2-10は玄関にある配電盤の付近の様子だ。集中するACケーブルの間をCD管が通っている。こんなゴチャゴチャしたところを、良くまっすぐ通ったもんだと思うほどだ。
 Fig.2-11は、浴室の点検口から見た、洗面所上にCD管が出てきたところである。(ここには写真を出していないが、実はダウンライト穴2から、トイレ方向を観察した写真もあって、ここもまっすぐに引かれていた。)ここまで来て、経路上、配管の外見には異常はなかったことが分かった。
通線確認作業中
Fig.2-12

通線確認作業中

CD管を切断する
Fig.2-13

CD管を切断する

 次に、通線可能かどうかを確認してみる。これは簡単で、実際に通線ワイヤを通してみればよい。Fig.2-12はその最中だが、途中引っかかることもなく、アッという間に通線できてしまった。これまでの苦労が報われた実感がする。
 続いて、CD管を必要な長さに切断する。モールカッターなどの刃渡りの長い鋏か、よく切れるナイフがあればベストだが、ニッパで切込みを入れて行ってもかまわない。但し、切り口は多少ギザギザと汚くなる。
浴室側は2箇所固定
Fig.2-14

浴室側は2箇所固定

ダウンライト2側のCD管固定
Fig.2-15

ダウンライト2側のCD管固定

 最後に、CD管を固定する。固定と言っても束線バンドで両端を軽量鉄骨に留めるだけだ。これをしっかりやっておかないと、たくさんケーブルを通線する時に、ケーブルとの摩擦でCD管が動いたり、ケーブルの重みでCD管がたわんで、その分どちらかの端が動いたりして、手の届かないところに行ってしまったりする。そうなったら、何のために管を敷設したのか分からなくなるからだ。
 今回は経路の途中は、手が届かなかったので、固定しなかったが、できれば固定した方が良い。敷設した時は問題なくても、地震などで位置がずれないとも限らない。また、CD管の端末処理として、空いている部分をテープやパテなどで閉じておいた方が良い。これは、虫や動物(ネズミ?)が管の中に入り込まないようにするためだ。今回の作業中は、毎週のようにいじるので、両端の封止はしていないが、長期に作業しない時は必ず封止するようにする。自分が敷設した管の中に、ネズミやゴキブリが入り込むなど、絶対に許さない! ということだ。

トイレへの敷設工事
□ 3-1 トイレのコンセントに通線開始

 次はトイレのコンセントに通線する。本当にトイレにRJ-45が必要なのかを言い出すとナンセンスなのだが、「どこでもネット」のネタと考えていただきたい。
 まず、廊下の通線と同様に、コンセント側から通線ワイヤを挿入する(Fig.3-1)。すると、ここも運良く中空壁と天井裏がつながっていたので、通線ワイヤが天井裏に出てきた(Fig.3-2)。
コンセント(16)側から挿入
Fig.3-1

コンセント(16)側から挿入

トイレの天井裏に出た通線ワイヤ
Fig.3-2

トイレの天井裏に出た通線ワイヤ

 廊下の通線のところでも書いたが、ここでも通線ワイヤが曲がってしまっているので、逆U字になって出てきている(この時はまだジョイント呼び線という便利な選択肢を知らなかったし、もちろん購入もしていなかった。)。Fig.3-2で言うと、逆U字の手前側が通線ワイヤのヘッドになっていた。通線ワイヤは、管の中を自由に曲がるように作られているので、単独で直進できるのはたかだか1mかそこらで、上方に上げていけばこのように曲がってしまう。
 これは致し方ないので、どんどん下から突っ込んで行き、このような形になったら曲尺などで、ワイヤを引っ掛けて手前に持ってくる。
□ 3-2 ダウンライト2までCD管敷設

 トイレへの配線は、先の節で引いたCD管2に入れるため、ダウンライト2まで持っていかなくてはならない。この経路は、押し込んでいけるようなものでないと通せないことが分かっているから、通線ワイヤのような柔らかい線では、またまた苦労しなければならない。運良く、前の節で切落としたCD管が十分届くぐらい余っている。
 そこで、この経路は短距離だが、CD管を引いてしまうことにした。
2本引いたCD管
Fig.3-3

2本引いたCD管

CD管に通線ワイヤを挿入する前
Fig.3-4

CD管に通線ワイヤを挿入する前

 要領は先に引いたCD管と同じなのに、今度はなぜだかここに時間がかった。たかだか1mちょっとなのに、15分以上かかった。鉄骨に引っかかって、トイレ側に一向に出てこない。ガチャガチャやって、やっと引けたところが、Fig.3-3だ。右側に通っているのが、先に引いた管で、後から引いたのが左側だ。
 この管も固定するが、ダウンライト側は固定できたものの、トイレ側は固定する場所がうまく見つからなかったので、そのままブラブラさせてある(Fig.3-4)。ここに通線ワイヤを入れて、ダウンライト2まで通す。
□ 3-3 トイレからダウンライト2まで通線

 トイレからハブ3(浴室点検口に設置するハブ)までの配線は、一旦ダウンライト2を経由するので、通線の工程としては、まず、通線ワイヤをトイレコンセントからダウンライト2まで通し、ケーブルをトイレコンセントまで引く(Fig.3-5,6)。次に、ダウンライト2に垂れ下がっているもう一方のケーブルの端を、今度は浴室側から入れた通線ワイヤで引っ張る(この工程は次節で)。
ダウンライト2からトイレ天井まで通線
Fig.3-5

ダウンライト2からトイレ天井まで通線

トイレコンセントまで通線
Fig.3-6

トイレコンセントまで通線

 Fig.3-5では、ダウンライト2からトイレの天井裏まで通している。写真で見ると簡単そうだが、トイレのダウンライト穴5は他のより小さく、全くの手探りでの作業となる。通線ワイヤを引っ張って、ちょうどケーブルが出てきたところがこの写真の様子だ。
 Fig.3-6は更にトイレのコンセント側で通線ワイヤを引っ張っている途中だ。この時も、廊下のコンセントでやったように、無理をせず、少しずつ引っ張るようにする。具体的には、ダウンライト5で、ある程度引っ張っておいてたるませてから、コンセント側で引っ張る。これを何度か繰り返せば、コンセントに青いケーブルが出てくる。トイレを使用する時は、ダウンライトが熱くなるので、これを避けるように配線する。
 ここも、今すぐ使うわけではないので、モジュラーを取りつけるのは、住戸内のケーブルが全部引けてからにする。
□ 3-4 ぐっとす接続と仮仕上げ

 浴室天井裏にハブ3を設置したあと、ここにもぐっとすを接続してみた。
 トイレには新たにパネルボックスを設けてもいいが、そうそう頻度も多くないので、とりあえずは、AC100Vコンセント(+アース端子)と共存にした。ここは、手洗いの水がかかる可能性のあるところで、本来ならカバーのようなものが欲しい所だ。元々こういう構造になっているのだが、追々考えてゆく。今回はとりあえず配線のみだ。
AC100V+アース端子との同居
Fig.3-7

AC100V+アース端子との同居

[14]取付け完了
Fig.3-8

[14]取付け完了

 ぐっとすを取りつけたら、今まで付いていたアース端子一体型の1口コンセントの代わりに、1口コンセント+アース端子の組合せの下に、ぐっとす6を持ってきた。
 アース端子が「ホワイト」のものがなかったので、「ベージュ」色で代用しているのでちょっと格好が悪い。
 ここも、廊下と同様、AC側とぐっとすの間に、プラスチック板等の絶縁隔壁を設けることが内線規定で勧告されているが、手ごろなものがなかったので、手に入るまで仮配線としてある。この写真撮影と動作確認の後はぐっとす6をボックスの中に収納し、コンセントは元に戻した。
□ 3-5 絶縁隔壁の取付け

 ここも、廊下の[15]と同様に、AC100VとLANモジュラーを同居させるので、両者の間に絶縁隔壁が必要だ。
ぐっとすとコンセントの間に隔壁
Fig.3-9

ぐっとすとコンセントの間に隔壁

 ここで製作した絶縁板は、廊下の[15]で用いたものと全く同じなので、板自体の作り方などはそちらを参照してほしい。
 前回は「仮」として通線確認のためにぐっとすを一番下に持ってきていた。絶縁板を途中に挟むようにしてみると、ぐっとすの上部に張り出している青いプラスチック部分に絶縁板の厚みが加わるため、上のACコンセントと当りそうだった。このため、ぐっとすの方を最上部にもって来て、板はACコンセントの上面に貼り付けた(Fig.3-9)これも全く廊下の時と同じ理由だ。
 ちなみに、前回接地端子だけ色が微妙に違っていたので、正規の色のものに交換した。
 この後、最終仕上げのテプラ貼りも一緒に行なってしまったので、出来上がった様子は(後の章に掲載しているが)こんな感じになる。
□ 3-6 ダイニング用ケーブルと浴室までの通線

 トイレから来ているケーブルと、ダイニングの冷蔵庫(予定)向けのケーブルを、浴室点検口まで通線する。そのほか、この時点ではまだ通線できないケーブル(1編のFig.4-1または、Fig.4-2)の黒色で示した配線4'を後日引くため、紐を通しておく。
浴室点検口までケーブル2本+紐を通線
Fig.3-10

浴室点検口までケーブル2本+紐を通線

 まず、浴室点検口側から通線ワイヤをCD管内を通してダウンライト2のところまで持ってくる。これに、カテゴリ6ケーブル2本(トイレに行っているものとダイニングの冷蔵庫位置用の新しいケーブル)と紐をヘッドに引っ掛けてリングを締め、ビニルテープで巻く(Fig.3-10)。
 あとは点検口側にまわり、引っ掛かりがきても力任せに引いたりせず、慎重に通線ワイヤを引っ張って行く。特に最初は、天井の石膏ボードや軽量鉄骨、CD管の入り口など、引っかかる部分に事欠かないので、ヘッド部分が石膏ボードあたりまで来たら、CD管の中に手で押し込んでしまうと、余計な引っ掛かりが生じなくていい。
 CD管に急な曲がりさえなければ、数分で通線できてしまう(Fig.3-11)はずだ。CD管の威力を実感する。
 Fig.3-11で見ての通り、まだ2本分(紐で引く予定の配線4'ともう1本)くらいは通せそうだ。工事終了後、出来上がってみれば5本も通っていた。また、通線ワイヤさえ通ればまだ1本くらいは引けそうな状態だった。
浴室点検口までの通線完了
Fig.3-11

浴室点検口までの通線完了

ダイニング西側への配線分
Fig.3-12

ダイニング西側への配線分

 トイレまでのケーブルはダウンライト2のところでUターンするわけだが、この分の余長を十分に取り、浴室点検口側ではハブへの距離+αを取って切断する。冷蔵庫行きのケーブルは、まだどこに配線できるか確定していないので、ダイニングのどこにでも届く程度の長さを、点検口側に引きこんでおく(Fig.3-12)。この時、紐やトイレ側のケーブルを一緒に引きずりこんでしまわないように注意する。
 作業のしやすさから言えば、ダウンライト2側に丸めて置いておければよいが、高さ方向が15cmほどしかないので、浴室側に置いた。

電話モジュラー口への経路確保
□ 4-1 コンセントプレートを外すのに一苦労

 次は、電話モジュラー(電話台の足元)からダウンライト2まで紐を通しておく。なぜこんなことをするかというと、南北独立に工事をするが、その南北は光ファイバが元通り洋室1に引き直されるまでに、もう一度洋室1から浴室まで引かなければならないためだ。なぜ紐なのかは、前節の紐と同じ理由だ。
 つまり、ここを通るのは、洋室1のハブ1から浴室点検口のハブ3へのケーブル4だ。通すのがケーブルでなく紐なのは、南北の経路はその長さちょうどしかないケーブルがすでに2本引かれており、ハブ1−2間を結ぶケーブル4はまだ通せないからだ。
 こういう時は紐を通しておけば、実際のケーブル通線の時に苦労しなくて済む。これは、光ファイバを引いた時に、現場調査の時点で紐を全ての経路に引いたやり方から学んだことだ。
 また、ここが通らなければ、住戸の北半分に信号が行かないことを意味しており、ボトルネックだから、早めに通るかどうかを確認しておきたかったのだ。
 ところがここは、光ファイバの修理の際に、思いっきりギリギリの距離で光ローゼットを取り付けた。そのため、コンセントの化粧パネル類を外す際、光ファイバを切らないよう、極めて注意を要する。Fig.4-1のように、全てをきれいに外すことは無理であり、パネル類をファイバに引っ掛けたまま作業するという、大変危険な状態になってしまった。
ファイバ断が怖くて外せないパネル
Fig.4-1

ファイバ断が怖くて外せないパネル

 だが、ここが通ることが確認できなければ、いつまで経っても見通しが立たないのだ。南北を結ぶバックボーンが通せるか、分からないままになってしまうからだ。やむをえず、通線ワイヤがパネル類に力を及ぼさないように、そろりそろりと入れてゆく。ここも、中空壁の中を廊下やトイレのコンセントと同様、上方に向かって入れて行くので、途中で曲がってしまうことは、承知の上だ。
□ 4-2 なかなか通らなかった天井裏への通線

 このモジュラーの上には、インターホンがあるのだが、何度やっても通線ワイヤがその高さ辺りで頭打ちにされて、下方向に戻ってくるのが音で分かる。
やっと出てきた通線ワイヤ
Fig.4-2

やっと出てきた通線ワイヤ

 15分以上ガチャガチャやっていただろうか。大した力も入れないのに、なぜか汗だくになる。何しろ壁の中がどうなっているか全く見えないので、これ以外にやりようがない。ここがダメなら計画は諦めだ!
 もうダメかと思った頃、何となく上に通っているような気がしたので、どんどんワイヤを突っ込んでいくと、あるところで何かに突き当たる手ごたえを感じた。それでもさらに入れて行くと、天井から石膏ボードや鉄骨にワイヤヘッドが当たる音がしてきた。
 最初の手ごたえは、上階のスラブに突き当たった時のもののようだ。早速、脚立に登って、中の写真を撮って確認する(何しろ頭が入らない)。すると、運良くこちら側にワイヤが出てきていた。
 ただ、ここは今までと違って天井が高く、脚立に乗っているのではワイヤまで手が届かないので、またまた曲尺(さしがね)に登場願って、手探りでワイヤを引っ掛けてダウンライト穴2まで持って来た。
□ 4-3 本格運用開始までの仮通線

 ダウンライト穴から通線ワイヤが出たら、それに紐を結びつけて電話モジュラー側から引っ張る。
ここは当分の間紐を通しておく
Fig.4-3

ここは当分の間紐を通しておく

モジュラー位置(15)まで紐が通線
Fig.4-4

モジュラー位置(15)まで紐が通線

 楽勝かと思いきや、入線時にてこずったあたりでちょっと引っかかりがある。通線ワイヤを揺さぶったりしながら、祈るような感じで徐々に通して行くと、ほどなくモジュラー位置に紐が出て来た。
 あとはこの紐が通線本番の日まで、勝手にずれないように、ダウンライト2側で軽量鉄骨に結び付けておく。開けてみたら紐がどこかに消え失せてた、なんてことになったら、泣くに泣けない。
 ここまでで、住戸の南北通線のメドが立ち、一安心である。残る北側エリアの工事は、冷蔵庫(予定)付近への通線と、浴室点検口へのハブ用AC100Vコンセントの設置である。

 ここで紐が引けて安心していたのだが、取らぬ狸の何とやらだった。紐とケーブルは別物なのだ。ここでもまた、苦戦することになる。

ハブ用電源コンセントの設置
□ 5-1 AC電源の取り口がない!

 ハブは浴室点検口の上に設置する。当然のことながらここにはAC100Vが来ていない。どこかのコンセントから引っ張ってくる必要がある。
洗濯機コンセント(19)の口は空いていた
Fig.5-1

洗濯機コンセント(19)の口は空いていた

 コンセントは、カスケード接続(渡り配線)ができるようになっていて、通常、ひとつのブレーカーに何個かのコンセントが直列にぶら下がっている。
 このため、コンセントを増設するには、渡り配線の末端がどこかを調べなくてはならない。今回、浴室の近くには3つのコンセントがある。先にカテゴリ6を引いた廊下と、洗面台と洗濯機のところだ。このうち、廊下は先に見たように塞がっていて、洗面台のもユニット洗面台の照明やコンセントにつながっているようだった。運良く空いていたのは洗濯機のところだった。
 ここには100Vの他に(水場なので)洗濯機用の接地線も来ている。
 迷ったが、点検口に湿気が上がることもないだろうと思い、接地線は引かないことにした。漏電ブレーカが落ちたら引くことにする。
□ 5-2 洗濯機用コンセントから配線

 洗濯機用のコンセントは中空壁に取り付けられているので、浴室点検口の上までは廊下のコンセントに通線したのと同じ要領で引くことができるはずだ。ただ、廊下のコンセントよりは水平方向に距離があり、天井裏にワイヤが出てきたとしても、曲尺(さしがね)では届きそうもない。悩んでいても始まらないので、とりあえずやってみる。
 通線ワイヤはどこにも引っかかることなく、天井裏に出てきたが、例によって曲がって出てきた。こういう時はどんどん押し込んで、逆U字の輪を大きくして行く。輪は手前側に倒れてきたが、思った通り曲尺では届かなかったので、柄の長いモップを持ってきて、その先に付いている吊り下げ用のヒートンに通線ワイヤを引っ掛けて、手元にたぐり寄せた。ダウンライト穴しかないダイニングの天井ではできないワザだ。
 このあたりは、身近にあるものを何でも使って、とにかく天井裏に出てきたら勝ち、な状況にしてしまう執念のようなものが必要だ。線がそこまで見えていながら、引けないなんてはがゆいではないか…。
コンセント側(19)から通線
Fig.5-2

コンセント側(19)から通線

VVF1.25mm通線完了
Fig.5-3

VVF1.25mm通線完了

 通線ワイヤが点検口まで引けたら、ワイヤヘッドにAC100VのVVFケーブルを引っ掛け、コンセント側から引く。今回は、ハブに供給するのみなので、柔らかい1.25mm径のVVFを用いたが、我が家の配線は全て2.0mm径が使用されていた。2.0mmは硬いので、もしあえてこれを使うなら注意が必要だ。VVFケーブルは、ホームセンターでも売られているものを切り売りで買ってきた。
 ちなみに、この工事は第1種または第2種の電気工事士の資格が必要なので、資格のない方は電気工事屋さんか資格を持つ人に依頼すること。通線だけなら資格は不要だが、引いた線に100Vが掛かるような「接続」は禁止である。自分もペーパーライセンスなので偉そうなことは言えないが…
□ 5-3 浴室点検口上部にボックス設置

 次はいよいよコンセントボックスを取り付けて配線する。
点検口奥に設置したACコンセント
Fig.5-4

点検口奥に設置したACコンセント

 コンセントボックスは壁内埋込み用として売られているプラスチック製の物を、これまたホームセンターで買ってきた。
 これを点検口から奥の軽量鉄骨に固定する。購入したのは、付属のタッピングネジを鉄骨に打ち込んでから、ボックスのネジ位置までスライドさせれば固定できるようになっているものだ。ボックスの内側からネジ止めしなければならないタイプだと、このような手を伸ばさなければならない環境では、作業は不可能に近い。なかなか良く考えられているものだ。
 ボックスを固定したら、埋込み用のコンセントや化粧パネル一式を取り付ける。もちろんVVFケーブルもまずボックスの穴を通してからコンセントに接続しておく。
 ここまできたら、テスターで両極間がショートしていないかチェックする。もちろん洗濯機側にはまだ何も繋いではいけない。テスターのヒューズか抵抗が、火を噴いて故障する。
 問題がなければ、洗濯機コンセントの系統のブレーカを切り、ここに敷設したばかりのVVFケーブルを接続する。VVF接続面の空いている方の口に、端末処理したVVFケーブルを線の色を統一差し込む(いまどきネジ止めの端子はないと思うが…)。
 コンセントから洗濯機などの負荷を外して(接地線はそのままで良い)おき、テスターでショートがないことを確認する。問題なければ、ブレーカを入れてしばらく異常がないことを確認すれば完成だ。
コンセント(19)に接続完了
Fig.5-5

コンセント(19)に接続完了

 さて、次回からはいよいよ「難所」のダイニング西側(冷蔵庫・レンジ裏)の敷設に入る。

北西柱(レンジ裏)への通線工事
□ 6-1 壁内の状況確認と経路の検討

 ダイニング西側は難工事が予想された。今までのように、天井スラブまで30cm以上あった部分と違い、ここは15cm程度しかないし、ダウンライト穴から呼び線が出てくる所までは、水平距離が約2mもある。そのため、これまでのように手で押し込むだけでCD管が通せない上に、剛直性のある長い工具(棒など)は、ダウンライト穴から入れようにも入らないのだ。
 あれこれ困難な理由を並べていても始まらない。まずはダウンライト穴の位置、梁の位置、コンセントの位置など、構成要素の調査から、最も引けそうな配線ルートを探ってみることにする。
ダイニングレンジ裏からの予定経路
Fig.6-1

ダイニングレンジ裏からの予定経路

ダイニング北西の柱と梁の配置
Fig.6-2

ダイニング北西の柱と梁の配置

 まず、上の2枚の写真を見ていただきたい。ダイニング北西側に走る梁と柱の位置関係だ。壁内を垂直に上げて天井裏に配線を出したいが、壁の上は梁になっていて、今までの調べから、そこは大概がFig.1-1の左のように、天井の石膏ボードが梁の側面まで突き当てになっていて、通せない。

 家の配線図を見てみると、いつもはオーブンレンジを置いている台の後ろにコンセント(13)(Fig.6-3)がある。そのコンセントは北西側柱にあるので、天井に直接抜けられる部分があるとすればFig.6-2の北西側柱の梁が来ていないわずか30cm程の間(赤矢印の部分)ということになる。ここが突き当てなら、すべてはついえる。こればかりはやってみるしかない。
 そこで、ここを突破できないかと、いろいろ試行錯誤してみたのがFig.6-3のような「曲がる材料」を呼び線代わりにして、コンセント穴から天井に向けて突っ込んでいく方法だ。ここでは市販のVVFケーブル(2.0mmφ×3芯)を突っ込んでいる。
レンジ裏コンセントの周囲
Fig.6-3

レンジ裏コンセントの周囲

石膏ボードとコンクリート壁の構造
Fig.6-4

石膏ボードとコンクリート壁の構造

 この過程で分かったのが、コンクリート壁または柱に面している石膏ボードは、軽量鉄骨で支えられていない、ということだ。ではどうなっているかというと、所々にコンクリート壁にセメントの「塊」を押しつぶすように、石膏ボードを押し付けたような形になっている。コンクリート壁と石膏ボードの間には、2〜3cmの隙間があるので、そこを通すのは問題ない。
 しかし、セメント塊がどこにあるのかは視覚では全く分からないので、「どこ太」君を刺してみたり、石膏ボードを叩いて音を聞いたり、呼び線に見立てたVVFを左右に振ったりしながら、手探りで天井までの経路を探してゆくしかなかった。
 このように絶望的な状況ではあったが、やってみると面白いもので、どこに何があるか、そこそこ分かってくる。だが、後にも書くように、なかなか天井までの距離は遠かった。

 ここで書いている試行錯誤には大変な時間を要した。週末になるとレンジをどけて、VVFケーブルやら(剛直性のある)メジャーを突っ込んだりして、めげるということが数週間続いた。
 こういう時は、煮詰まった精神状態をちょっと一休みさせるのがいい。そこで、もうひとつの重要事項である、行った先の天井裏をもう少し詳細に観察してみることにした。

レンジ用コンセントへの天井裏配線1
Fig.6-5

レンジ用コンセントへの天井裏配線1

レンジ用コンセントへの天井裏配線2
Fig.6-6

レンジ用コンセントへの天井裏配線2

 レンジ裏コンセント(13)からの2芯VVFケーブルは、ダイニングのシーリングライトの上辺りにある天井裏のジョイントボックスFig.6-5に入っていっていた。
 Fig.6-6は、ダウンライト穴1から観察したものだ。VVFケーブルが柱に沿って上がってきて、天井裏に出てくるあたりの様子だ。西側の梁が、北西側柱に突き当たる、かなり奥の方で出てきていることが分かる。出てきている部分の様子をもっと詳細に見たいが、工業用の内視鏡でもない限り無理なので、ここは諦めた。
 さて、別の問題として、レンジ裏コンセント(13)から呼び線を突っ込んで、仮にここに出てきたとしても、それを引っ掛けてダウンライト穴1まで引き寄せるため、何らかの手段でここまで剛性のあるものを突っ込まねばならない。その距離約2m。思わず諦めそうになる。短い木の棒を繋いでダウンライト穴1から入れることで、何とかならないか…等と考える。空間が空いていて、デジカメしか手段がないが一応見える以上、何らかの手段が取れるだろう、という楽観的な考えで行くことにする。

 さて、天井裏の様子はこれでいいが、肝心の壁内の配線のめどが立たない。レンジ裏コンセント穴から垂直に何度も何度も色々なものを突っ込んで行くが、一向に天井まで達しない。どうやら床から1.5mあたりのところ(Fig.6-1で冷蔵庫用コンセントの下のあたりの高さ)が狭くなっているようで、どうしてもここが通らない。
□ 6-2 ジョイント呼び線が天井裏へ貫通

 レンジコンセントから天井裏まで、呼び線を通そうと四苦八苦している時、通線工具メーカーのページを見ていて、ふと思いついた。柱と石膏ボードの間を、所々にあるセメント「塊」の障害物を避けながら、垂直に2m以上、上げて行くために必要な本質的機能は何か…それは「適度な剛直性」である、と。今までもそう感じてきたが、VVFケーブルやメジャーなどでは、この用途にとって不足なのだ。VVFはいったん曲がってしまったら自分では元に戻らないし、メジャーは戻るが障害物に当たると下から押しても「脇へよける」という動作が苦手だ。
 ならば、ここは専用の工具を手に入れるしかない、ということで、工具の紹介にも掲載したが、「マルチジョイント呼び線」を購入した。そして、レンジ裏コンセント穴からひたすら天井裏に向かって通すこと、数10回…、「あれ? 今回は壁の中に入った呼び線の長さがいつもより10cmほど長いぞ!」
きらりと光るものが写った
Fig.6-7

きらりと光るものが写った…

ついに天井裏まで貫通
Fig.6-8

ついに天井裏まで貫通

 ダウンライト穴からで、直接目で確認できないために、何度もデジカメで撮ったその画像に、きらりと光るものが写った(Fig.6-7)のを見逃さなかった。そして、もっとよく見える位置から再び撮ってみる(Fig.6-8)と…遂に天井裏に出た! 写真に写ったワイヤヘッドがきらめいているではないか! と一人で熱くなっていた。
 しかし、冷静に考えてみよう。ダウンライト穴1からこのヘッドまでは距離約2m。自由になる空間(高さ)はたかだか15cm程しかない。どうやって手繰り寄せるのか…?
□ 6-3 フックで引っ掛けてたぐり寄せろ!

 天井裏の2m先に出てきたわずかな引っ掛かりを、どうやって手元に持ってくるか…これには知恵を絞った。特殊な工具を使わず、しかも確実に行なえなければならない。
ジョイント呼び線をモールでカバー
Fig.6-9

ジョイント呼び線をモールでカバー

 上階のスラブまで15cmしかないことと直進性が必要だということで、当初は幅広のメジャーを検討した。ところが、これは結構高価だし、見ながら作業できないので、呼び線が上がってきている所まで誘導するのが大変だ。呼び線単体では剛直性が不足だし、あまり硬い木の棒は、上階のスラブにつかえて、奥まで到達できない。
 そこそこ硬いがある程度曲がって、中に呼び線を入れて手元で出したり入れたりコントロールできないか、と考えたところ、おあつらえ向きの素材が身近にあるではないか…そうだ! モールだ。
 早速、呼び線の先にフックをつけ、Fig.6-9のように、先端のみを出してモールの中に入れた。
 ちょうど呼び線の太さがモールの中に収まるので具合がいい。モールは2mだが、ジョイント呼び線の1本の長さは約1.5mなので、2本繋げて手元にちょうどいい長さが出てくる。モールを左手で固定して、右手でジョイント呼び線を入れたり引いたり、はたまた回転させたりしてコントロールする。
 これをダウンライト穴1から入れて、もう一方のレンジ裏コンセント(13)から入れたジョイント呼び線のヘッドを引っ掛けようというわけだ。Fig.6-10がその作業風景だが、これがなかなか簡単に引っかかるものではなかった。
 理由は2つあった。ヘッドは壁際にぴたりと付いて出てきているが、フックはV字型なので、奥に突き当ててもヘッドがフックのVの中に入ってこないのだ。おまけに、VVFケーブルが手前にあって、邪魔をしている。もうひとつの理由は、モールとジョイント呼び線を一体にしたものをダウンライト穴1から入れる際、上に凸に曲げないと入らない。すると入り切った時には先端が下がるため、軽量鉄骨にぶつかってしまうのだ。
 これにはまたまた考えて込んでしまった。
なかなか引っかからない
Fig.6-10

なかなか引っかからない


 何とか引っかかるようにできないか、そう考えて、ふと工具箱の中に目をやると…安かったので、紐の代わりの仮通線用に、と買ってきた水糸が目に入った。
水糸を付けて引っかかりやすく
Fig.6-11

水糸を付けて引っかかりやすく

水糸付きで天井裏に出た呼び線
Fig.6-12

水糸付きで天井裏に出た呼び線

 これをヘッドに長めにたくさん巻き付けて、やってみたらどうか? 糸だから手前にも広がりを持って出てくるだろうし、長めだから垂れて、モールが曲がってしまっても低い位置でも引っかかるだろう。
 Fig.6-11のように、長めにヘッドに巻きつけた水糸を突っ込んでみた。今までの手応えから、天井へ抜ける所の石膏ボードの穴が小さいと踏んでいたので、たくさん巻きすぎると、そこが通らなくなるのでこの程度で抑えておいた。
 そして水糸を巻きつけたまま、今まで通り天井裏に出てきたジョイント呼び線がFig.6-12だ。水糸は外れずに上がってきていることが分かる。穴を出た直後なので、水糸がヘッドに巻きついているが、ヘッド単体に比べれば、その広がりは大きい。さて、これで引っかかるのか?
□ 6-4 通った!浴室まで一気に通線

 これまで通り、モールにフックをつけたジョイント呼び線を入れて、ダウンライト穴から「釣り」をやってみる。
水糸引っ掛け作戦成功!
Fig.6-13

水糸引っ掛け作戦成功!

 何度かやるうちに、それまでぴくりとも動かなかったレンジ裏コンセント(13)から出ていたジョイント呼び線が、ズズッと動いたのだ。
「やった、ひっかかった!」
 しかし、ここで気を抜いてはいけない。手元のジョイント呼び線は、常に引き続けないと、もし逆方向に押し込むように動かせば、すぐさま水糸が外れてしまう。特に、軽量鉄骨に引っかからないようにしないといけない。それには、モールをなるべく上階スラブ面に押し付けながら手前に引いてくる。
 そして、遂にダウンライト穴1までヘッドが出てきた(Fig.6-13)のだ。この瞬間、浴室天井裏と冷蔵庫近辺の通線が確実となった。そして、住戸北側の通線の山場は越えたのである。

ダウンライト穴1から入線
Fig.6-14

ダウンライト穴1から入線

レンジ裏コンセントへ2本も通線
Fig.6-15

レンジ裏コンセントへ2本も通線

 今までジョイント呼び線に繋いでいた「スネークヘッド」を「秒速結線」に繋ぎ換え、LANケーブルの2本通線をダメ元で挑戦してみる。
 最初はレンジ裏のモジュラー[11]1個だけのつもりだったが、欲が出てきてダイニングのTVコンセント付近のモジュラー[10]にもうまくすれば通線できるかと思ったのだ。この時点で、[11]→[10]へは隠蔽配線が可能かどうかは分からなかったが、短距離であることもあり、ダメなら露出配線と腹をくくった。
 それよりも問題なのは2本通るかどうかだ。ダウンライト穴1から2本送って行き(Fig.6-14)、途中の天井裏と壁内を隔てる石膏ボードの穴が大きいことを祈る。

 途中何度か引っかかったが、力任せに引くことなく、ケーブルや呼び線を揺らしていると、レンジ裏まで2本通ってしまった(Fig.6-15)のだ。これは非常に幸運だった。モジュラー[10]へのケーブルだけは、さらに3mほど引き出しておく。

ダウンライト2からモール差込み
Fig.6-16

ダウンライト2からモール差込み

 これ以降は、ダインライト穴1と浴室天井裏を通線する。浴室からCD管1内を通りダウンライト穴2を経由してダウンライト穴1に至るので、まず、ダウンライト穴2側からジョイント呼び線を入れて、先ほど通線したLANケーブル2本を引っ張ってくる。
 穴2−1間は、わずか1mほどだが、それでも中は軽量鉄骨が山のように走っていて、ジョイント呼び線ですら、なかなかすんなり通らない。そこで、また呼び線をモールにくるんで通してみることにした。その様子がFig.6-16である。
 通線ワイヤを通す手順としては、浴室点検口から通線ワイヤをCD管1に挿入し、ダウンライト穴2まで持ってくる。さらにここで通したモールをCD管に見立てて、穴2−1間を通す。
 ダウンライト穴1まできたら、ここで2本のケーブルを「秒速結線」して、浴室まで引いて行く。

ダウンライト2→1へモール貫通
Fig.6-17

ダウンライト2→1へモール貫通

浴室から来た通線ワイヤを挿入
Fig.6-18

浴室から来た通線ワイヤを挿入

 まず、ダウンライト穴2→1へモールを貫通させる(Fig.6-17)。すると、通線ワイヤにとっては、CD管が引かれているのと同様の条件となって、あとの作業が楽になる。無論、CD管とは異なり、モールを天井裏に引いておくわけではない。通線ワイヤがダウンライト穴1に出てきたら、モールごとダウンライト穴2から引っ張ってしまう。
 次に、浴室から引いてきた通線ワイヤをモールの中に差し込んでゆく(Fig.6-18)。モールのサイズによっては、ヘッドの部分が入らないことがあるから、そういう場合はあらかじめモールの中に通線ワイヤを収納してから、ダウンライト穴間を貫通してしまう手もある。
 モールのダウンライト1側の先端から、通線ワイヤの先頭が顔を出したら、次はモールはそのままで、ケーブルをヘッドに取り付ける。

浴室→DL2→DL1へ通線ワイヤ貫通
Fig.6-19

浴室→DL2→DL1へ通線ワイヤ貫通

レンジ裏→DL1へケーブル通線
Fig.6-20

レンジ裏→DL1へケーブル通線

 浴室からダウンライト穴1まで、通線ワイヤが貫通したのがFig.6-19である。青い線が、レンジ裏コンセント(13)から来ているLANケーブル2本で、これからこれらを手に持っている通線ワイヤ(まだヘッドが付いていない)に取り付けよう、というわけだ。
 ケーブルをヘッドに取り付けた後、通線ワイヤをダウンライト穴2側からモールごと引き抜いたところがFig.6-20だ。
 ここで、通線ワイヤからモールを外して、浴室側から引っ張れば一気に通線できる、と考えたが甘かった。これだけあれこれ引き回してくると、ケーブルのネジレくせを取りながらやっているものの、どうしても通線ワイヤ側のくせとLANケーブル側のくせが合わなくなってきて、ネジレがひどく、そのまま通線すれば、管の中や天井裏でキンクになってしまうこと必定なのだ。
 天井裏で手の届かない所や、管の中でキンクになってしまったら、取りようがない。そこで、ここでは一旦通線ワイヤヘッドからケーブルを取り外し、十分よじれを取ってから、浴室へ通線することにした。
 今となってはもう遅いが、価格は高いものの、より戻しの付いたヘッド(ジェフコムの商品名では「くるくるヘッド」)が便利そうだ。まぁ、時間との勝負で作業するプロなわけではないから、今回のように一旦はずして作業すればいいが、管内でのキンクなどは一人作業では気づかないことも有り得るので、予算が許せば検討したいもののひとつだ。

天井裏のケーブル-DL2方向
Fig.6-21

天井裏のケーブル-DL2方向

天井裏のケーブル-北西柱方向
Fig.6-22

天井裏のケーブル-北西柱方向

 これで、レンジ裏コンセント(13)から浴室のハブ位置まで通線が完了した。浴室側は、かしめ工具を購入してから端末処理することとして、しばらくそのまま放っておく。
 最後に、浴室側からケーブルをたるまないように十分引いて、ダウンライトを収納して完了なのだが、その前に、ケーブルの天井裏での経路を確認しておく。Fig.6-21はダウンライト穴1からダウンライト2方向を見た写真だが、途中でネジレが十分取れていないようで、輪になってしまった。キンクではないので、そのまま放ってある。一方、ダウンライト穴1から北西柱側を見たのがFig.6-22で、ここは比較的まっすぐ引けている。それにしても気になるのが、北西の角でのVVFとの交差と併走だ。ここは、穴が小さいようなので、避けるわけには行かず、ノイズで伝送速度が落ちなければいいが、と、今から心配である。
□ 6-5 レンジ裏に埋込みボックスを付ける

 ダイニング西側の2本が通線できたので、まずはレンジ裏コンセント(13)の右横に、パネルボックスを新たに取り付けて、埋込みモジュラー[11]を付ける。
レンジ裏(13)隣に埋込み位置を決める
Fig.6-23

レンジ裏(13)隣に埋込み位置を決める

運悪くセメントの「塊」が…
Fig.6-24

運悪くセメントの「塊」が…

 パネルボックスの設置方法に書いた施工方法で、取り付けてゆく。上下方向の位置と水平出しには十分注意しなければいけない。特に、近くに既存のコンセントがある場合には、どうしても人間の目は「比較」をしがちなので、あまりにズレが大きいと、後から素人が付けたのがバレバレになってしまう。
 それから、事前に「どこ太」クンで十分に壁裏の状況をつかんでおくことだ。チェックしないで、いきなりファイルソーや廻し挽き鋸で穴を開けるのは危険だ。今回も、十分注意したはずなのに、開けてビックリ、Fig.6-24のようなセメントの塊が現れた。どこ太で調べる時に、小さいとはいえ穴を多数あけることが、そこに穴をあけるのを中止した時のことを考えると、どうしてもはばかられるが、四隅と中心、各辺の中央の9点程度は調べておきたい。
 もし、全く回避不能の状況になったら、穴を開ける行為は結果として、破壊行為だった、ということになってしまうからだ。

「塊」を削って埋め込む
Fig.6-25

「塊」を削って埋め込む

2本のケーブルを移動させる
Fig.6-26

2本のケーブルを移動させる

 出てきてしまったセメントは、幸いに構造材(ここでは北西の柱)に直接くっついているものではなく、また、ファイルソーで削れる程度の軟らかい材料だった。それに、断熱材の上に乗っているだけだったので、取り除くのは容易だった。
 セメントの塊を取り除いてパネルボックスを埋め込んでいるところが、Fig.6-25である。難なく埋め込めている。
 まだパネルボックスは固定してはいけない。LANケーブルを新しく開けた穴の方に移動させなくてはならない。近距離だから簡単、とナメてはいけない。この短い距離の間にも、さっきのようなセメントの塊が邪魔していたらこれを回避したり、VVFとからまったりすることも避けなければならない。
 今回は、セメントの塊をよけるだけで引き出せたのが幸運だった(Fig.6-26)。壁の中のケーブルを引っ掛けて手元に持ってくるには、その他の工具・道具でも紹介した、ピッカーを使ったり、太目の針金を釣り針形に曲げたものなどでやってみるとよい。15cm程度の距離というのは、よほど壁裏の空間が広くない限り、手(指)が微妙に届かない距離でもどかしい。

ぐっとす6を接続
Fig.6-27

ぐっとす6を接続

パネルを付けて完成
Fig.6-28

パネルを付けて完成

 ここに付けるパネルボックスでは、LANモジュラー[10]に至るケーブルはスルーしておく必要がある。モジュラー[11]へ接続するケーブルのみを、余長を見込んだ長さに切断し、ぐっとす6を取り付ける。Fig.6-27がその様子であるが、カテゴリ6のケーブルは固いので、パネルボックスの設置方法にも書いたように、カットアウトできる部分は抜いておく(Fig.6-27は抜くのを忘れて撮影したものだが、この後の作業で抜いてある)必要がある。ケーブルがぐっとす6を出た直後の所で折れてしまうからだ。
 この作業が終われば、垂直位置と水平の微調を行なって、Fig.6-28のようにスイッチパネル、化粧パネルを取り付ければ完成だ。このように従来コンセント(ちょっと黄ばんできているが)と、きちんと揃えて取り付けられると、見栄えもいい。

ダイニング西側壁への通線工事
□ 7-1 運良く呼び線が引けて通線

 レンジ裏の配線の後は、ダイニング西側のテレビの横だ。ここはレンジ裏からは2m以上離れているし、両者を結ぶ既存の配線も配管もないから、手探りで通線しなくてはならない。
コンセント(10)から呼び線を入れる
Fig.7-1

コンセント(10)から呼び線を入れる

 西側の壁は外壁である。そのため、ここは軽量鉄骨ではなく、前に見たようなセメントの塊で石膏ボードを支えている。なので、ジョイント呼び線を真横に通そうと思えば通せるが、いくら剛直性があっても2mも真横には通せない。自然と床下方向に曲がっていってしまうのだ。
 ところが、これが思わぬ現象を招いた。Fig.7-1のように呼び線を横方向に突っ込んでゆくと、そのうち下向きに進んで行くのが手応えで分かるのだが、そのうち何かに突き当たったような感触になった。
 線をゆすってみると、床下からカラカラという音がする。
 ジョイント呼び線なので、残りの呼び線を使って長さを測ってみると、ちょうど北西の柱のあたりだ。うまくすれば、通線できるかもしれない。
 そう考えて、見えない所を見るための道具にも書いたような照明や鏡を使って、必死に探してみた。もちろん、うまくいった時のために、ヘッドの先端に水糸を絡み付けておいたことは言うまでもない。
 しばらく(前回の天井裏の際は数週間かかったが、ここでは数時間で済んだ)ガチャガチャやっていると、遂に目立つ黄色い糸が見えてきたのだ。そこから先は、いつも通り、というか定石通り、先を釣り針形に曲げた針金やピッカーを使って引っ張り上げたのが、Fig.7-2である。
 ここの通線は大変幸運だった。コンセントの位置関係がうまくL字型になっていたことと、通路が床下であったことがこういう結果につながったのだと思う。レンジ裏コンセントが、同じ西側の壁面にあったなら、こうは行かなかっただろう。
運良く水糸が引っかかってきた
Fig.7-2

運良く水糸が引っかかってきた

2本のうち1本をレンジ裏から通す
Fig.7-3

2本のうち1本をレンジ裏から通す

無事コンセント(10)まで通線
Fig.7-4

無事コンセント(10)まで通線

 呼び線が引けたら、後はケーブルを引っ張ってくるだけだ。前の写真(Fig.6-27,28)の写真とは順序が逆になるが、パネルボックスを取り付ける前にこの通線作業は行なっておかなくてはならない。
 これまでの通線作業と何ら変わるところはない。ジョイント呼び線に「秒速結線」ヘッドを取り付け、モジュラー[10]まで通すべき線をこれに結線し(Fig.7-3)て、コンセント(10)側から引っ張ればよい。Fig.7-4が通線したところだ。
□ 7-2 埋込みボックスの設置

 配線ができたら、埋込みボックスを設置する。ボックスはコンセント(10)の左横に設置するのだが、このように至近距離に他のコンセントがある場合、他と同様、水平方向の位置合わせをなるべく正確に行なう。ずれていると、見栄えが悪いからだ。
TVコンセントの左に穴をあける
Fig.7-5

TVコンセントの左に穴をあける

高さを合わせて見栄えよくする
Fig.7-6

高さを合わせて見栄えよくする

 ここの穴あけは、どこ太でよく調べてセメント塊を避けて開けたので、今までのような問題は生じなかった。コンセント(15)からのケーブルも通線工具などなしにすんなり出てきた(Fig.7-5)。
 パネルを取りつけてみて、隣のコンセントと水平が合っているか、調べる。微調して取りつけたのがFig.7-6である。この程度まで水平なら、ほとんど目立たない。これでここは完了である。

電話台周りへの通線工事
□ 8-1 モジュラー[12]と[13]への通線

 モジュラー[12]と[13]は、それぞれ洋室1の集合モジュラーパネル[04-1]、浴室の天井裏[HUB3]からダイニングの電話台のところまでの配線だ。この経路は、南北を結ぶバックボーンと同じ経路なので、それと同時にやってしまう。
 まず、南北バックボーン配線と[04-1]→[12]までの線を、洋室1から一緒に引いてしまう。バックボーンの通線のところに載せたように、通線ワイヤを一旦浴室天井裏から洋室1まで引いてしまってある。
 そのため、通線方向は、洋室1[04-1]からダイニング方向となり、バックボーン用の長いケーブルと、[12]までの短いケーブルを2本引くことになる。
 [04-1]からここまでのCD管の中は、以前光ファイバが入っていた。切断事故の後、なくなってしまったが、いずれONUは洋室1に置きたい。そうなると、LANケーブルと電話線が通っているCD管に、後から光ファイバを通すということになるのだが、通線ワイヤが通るかどうか、(もちろんプロが工事するので行けるかもしれないが)不安である。
ケーブルをすべて通し終わる
Fig.8-1

ケーブルをすべて通し終わる

 そこで、呼び線として、紐を通してしまうことにした。Fig.8-1の右下に見える緑色の線が、その紐だ。この工事をやっている間、光ファイバに力が加わらないよう、細心の注意を払った。最も困ったのが、通線ワイヤを引くと、コンセント(15)に使われているボックスがなぜか動くのだ。このボックスは上が電話線と光ファイバの引き込み側CD管、下が洋室1へのCD管となっているのだが、どうやら軽量鉄骨にネジ止め等で固定されているわけではないらしい。通線ワイヤを引くたびにボックスが動く。
 前回はこれでファイバがこすれて切れるという失敗をしたのだが、今回はあまり力をかけなくて済むよう、LANケーブルにデンサンウエットを十分塗って入線した。そのせいか、ほとんど力をかけずにスムーズに通線できたため、ボックスが光ファイバとこすれることもほとんどなく、通線できた。
 これで、事故もなく、必要なものは洋室1から引けたので、一安心だ。
□ 8-2 パネルボックスを付ける位置とケーブルの迂回

 コンセント(15)の横に、新しくモジュラー[12,13]用のパネルボックスを設置する。この位置を決めようとしたのだが、一難去ってまた一難、またまた困ったことになった。
隣なのに通せないケーブル
Fig.8-2

隣なのに通せないケーブル

 どこ太で調べると、コンセント(15)の左側にも右側にも至近距離に軽量鉄骨が縦に通っているのだ。この裏側は、台所のガス台の壁とトイレの壁だ。つまり、この軽量鉄骨は石膏ボードでサンドイッチされているのだ。
 ということは、横方向にケーブルを通せない。鉄骨のそばにパネルボックスの取り付け穴を開けて、水平方向にドリルで穴を開けてしまうという荒業もあるが、鉄骨の強度が落ちるので、危険かもしれない。
 通せる方法として2つある。一つは、一旦天井裏まで上げて、そこからまた落とすという、約5mの迂回路を通す手がある。かなり長い回り道となるが、これは確実度が高い。
 もう一つは、床下を通す、という手だ。壁内から床下への開口部があるかどうかがカギだ。また、たとえ開口部があったとしても、一旦壁内から出て、また壁の方向にブーメランのように戻ってこなくてはならない。
 この芸当は、ジョイント呼び線の「直進性」や、通線ワイヤの「柔軟性」では不可能だ。できるとすれば、銅線か何かであらかじめU字形に作っておいて、それを開口部にうまく入れて行くしかない。
 そんな曲芸みたいなことが、果たしてうまく行くのだろうか?
 そんなことをボーっと考えながら、穴あけ位置をケガいていたら、間違えて軽量鉄骨の上に線を引いてしまった。ファイルソーを入れるまで全く気づかなかった。重ね重ね、慌てて作業してはいけない。Fig.8-3を見ていただくと分かるように、ケガキ線(左側)が見事にズレている。しかも、修正した穴も鉄骨ギリギリに開けてしまったので、(この後に書くように)パネルボックスがそのままでは付かなくなってしまった。自分でやったこととはいえ、踏んだりけったりである。
銅線を床下に通して経路確保
Fig.8-3

銅線を床下に通して経路確保

 本題の経路確保だが、手鏡でまず確実そうな上方を見てみると、なんと、横方向にも軽量鉄骨が渡されていた。ということは、上方は閉じられていることが判明してしまった。
 一方、床下方向は、手前側が開口になっていた。つまり、通線するとしたら、床下経由しかないのだった。
 コンセント(15)のボックスの左下側は、運良くパンチアウトされているが、ボックス自体は(光ファイバがあって)動かせないので、下がよく見えない。こうなったら仕方ない。銅線を大きなU字形に曲げてコンセント(15)側から下へ突っ込んで行き、手応えや音などで床スラブを見つけて、当たったらモジュラー穴側に動かす、という曲芸のようなことをやってみた。
 2〜3度やるうちに、先をフック型にした銅線がひょっこりモジュラー穴の右下に出てきた。これを、同じく銅線をフック型にしてモジュラー穴から入れて「釣り上げ」たのがFig.8-3である。ここも、穴あけには失敗したが、通線自体は非常に幸運だった。
 経路が確保できたら、後は実際の通線だ。ここに(15)から引いてこなければいけないのは、先ほど洋室1の[04-1]から引けた[12]へのケーブルと、これから浴室の天井裏[HUB3]へ通す[13]からのケーブルだ。
 これらの2本を銅線に結び付ける。抜けないように、銅線の(15)側を「秒速通線」のようにリングにして、そこに2本のケーブルを通す。さらに、上からテープで巻いて、モジュラー側から引っ張る。専用の工具ではないので、短距離ではあるが、抜けたら終わり(やり直し)なので慎重に付ける。
 幸い、ここではトラブルもなく、無事2本のケーブルが出てきた。これらのうち、洋室1の[04-1]から来たケーブルは余長を残して切断する。
2本のケーブルを通線
Fig.8-4

2本のケーブルを通線

 浴室[HUB3]へのケーブルはそれと同じだけの余長になるように調整しておく。
□ 8-3 パネルボックスの加工とぐっとす接続

 銅線をうまく使って通線したはいいが、上に書いたように大失敗の後始末をしなくてはならない。それは、穴を軽量鉄骨ギリギリに開けてしまったために、パネルボックスを固定する「爪」のうち左上のものが、鉄骨に当たってしまうことだ。右下は何の問題もないので、左上だけ解決できれば良い。パネルボックスが固定できなければ、はさみ金具で固定するという手もあるが、ここは一工夫で乗り切ることにした。
 その一工夫とは、パネルボックスに追加工を施すことだ。パネルボックスの「爪」は最初はボックスの中に収納されていて、ネジを回すとネジの回転につられて90度回転して出てくるものだが、90度以上回らないように、ボックスにストッパーとなるような「壁」がついている。
 その壁を取ってしまえば、ほぼ180度回転するので、下向きから90度回って左側に出た爪が、さらに90度回って真上に出てくるようになる。
 パネルボックス本体は(多分)塩ビでできているので、「壁」はペンチなどで折り取れる。爪が180度まで回転するよう、折り取った根元をヤスリで削る。爪を回してみて、完全には180まで回らないものの、取り付けに支障がないところまで回転するまで削る。
パネルボックスを追加工
Fig.8-5

パネルボックスを追加工
 但し、パネルボックスの取り付け方に注意が必要で、左上の爪は180度回して出した状態にして、右下の爪は収納したままにしておき、上側を壁内に入れてから下側を壁内に入れる。その後は通常通り両方のネジを均等に締めこんでゆけばよい。
ずれたが設置完了
Fig.8-6

ずれたが設置完了
 次に、両方のケーブルにぐっとすを接続し、パネルボックスに取り付ける。これでまず、[04-1]と[12]がつながったことになる。
 次は[13]と[HUB3]であるが、これはコンセント(15)から通線ワイヤでダウンライト穴2まで引いて行く。その様子は、バックボーンの工事の様子といっしょに掲載している。
 ぐっとすが付いたら、余長を壁内に納めてパネルを取り付ける。これが、Fig.8-6であるが、最初位置を間違えてケガいてしまったので、左側に消し残りのマジックのケガキ線が残ってしまっている。アルコールで消したのだが、これ以上消えなかった。ここは人目につく位置だけに、無様である。
 このようなことがないよう、穴あけ位置決めには十分ご注意いただきたい。

CD管両端の後処理
□ 9-1 将来の作業用の紐を通線

 CD管にLANケーブルを通す作業は終わったので、虫や動物(ネズミ)などが入り込まないようにCD管の両端を塞いでしまうことにした。
 しかし、その前に、ほぼいっぱいになってしまった22mmφのCD管だが、もう1本くらいのケーブルは通せそうなので、もう1本引きたくなった時の作業に備えて、紐を通しておくことにした。
拡張作業用に紐通線(浴室側)
Fig.9-1

拡張作業用に紐通線(浴室側)

拡張作業用に紐通線(ダイニング側)
Fig.9-2

拡張作業用に紐通線(ダイニング側)

 通線ワイヤは、先端は作業の種類に応じて「秒速通線」と言われるワイヤヘッドやその他のヘッドを交換して取り付けられるように、ねじ込み式なっているが、反対側は「横穴先端金具」が固定で付いている。
 この先端金具は、これまで作業してきた経験から、すでに管の中にある程度のケーブルが入っていて、あまり余裕がない状態でワイヤを通す際に、やりやすくできているようだったので、今回は、ケーブルを通す際のヘッドではなく、これを浴室側から押し込んでいった。
 Fig.9-1に見て取れるように、管に余裕はほとんどないが、5分ほどでダイニング側に通ってしまった。後はダイニング側で紐を巻きつけ、浴室側から引っ張るだけだ。しかし、この時も、管の中に余裕がないので、横穴先端金具に取り付ける紐の付け方を、取り付け部分が「こぶ」のように太くならないように工夫しないと通らなかった。
 6本以上通すなら、1段上の径のCD管を選ぶ方がいいかもしれない。未来工業のホームページによれば、この内径22mmφの1段上のものは28mmφだ。22mmφでは、カテゴリ6ケーブルは5本までが限度と考えた方がいいだろう。
□ 9-2 パテでCD管の両端を塞ぐ

 さて、紐が通ったところで、いよいよパテで両端を塞ぐ。肝心のパテはどうしようか、悩んでしまった。パテというと油粘土のような感触なので、どうしてもその(まさか油ではないだろうが)可塑剤がケーブルをいためてしまわないか気になったのだ。
購入したパテ
Fig.9-3

購入したパテ

 しかし考えてみれば、エアコンの配管もパテで穴を埋めている。配管と電気配線がいっしょに通っている。その配線の被覆が可塑剤でやられてしまうようなら、パテはそもそも商品として成り立たない。
 どらあいさんのページの掲示板で尋ねても、エアコン用ので大丈夫だというアドバイスをいただいたので、早速ホームセンターでエアコン用のパテを買ってきた。しかし安い。Fig.9-3のものは、200gで\100もしない。
 建築材料だから、「難燃性」となっている。CD管・PF管などの樹脂の配管も電気配線もそうだが、やはり建材はどんな小さな部品にも難燃性が求められているのだなという感じがする。可塑剤が油であるはずはない。
 このパテを使って、CD管の両端を塞いでゆく。
パテで閉じたCD管(浴室側)
Fig.9-4

パテで閉じたCD管(浴室側)

パテで閉じたCD管(ダイニング側)
Fig.9-5

パテで閉じたCD管(ダイニング側)

(共にピンボケ写真ですみません。デジカメの合焦マークを信じた私がアホだった…)
 まず、浴室から塞ぐが、ケーブルが口径のほとんどを占めているので、パテはほとんど要らなかった。ダイニング側も同様だ。
 素人工作なので、どうしてもケーブルとケーブルの隙間はうまく塞げない。パテを押し込むようにして詰めるが、この隙間だけはどうしても埋められなかった。まぁ、ここに入り込む虫は「蚊」くらいなものだろうと、勝手に自己満足して作業を終えた。