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□ 1-1 市販の機材 コンデンサマイクとDATデッキ |
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独身時代から、いつかはオルゴールの音を録音しよう、と買ってあった物です。マイクはSONYのC-355というコンデンサマイクで、マイクスタンドも同時に買ったSONYのもの(B-305B)です。マイクはもう10年も電源を入れていません。動くかどうか不安でしたが、動作しました…ということも、実は、マイクアンプを作るまで、動くかどうか分からなかったんですが。 マイクスタンドは、支柱とアームの角度を可変にする部分で、ゴムシートを挟み込んでネジで締め付けるようになっています。ところが、ゴムが経年変化でダメになりかけています。使えないことはないので、ぎゅうぎゅう締め付けて使っています。
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Fig. 1-1
SONYのコンデンサマイク C-355
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Fig. 1-2
マイクスタンドに取り付けた状態
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DATデッキはSONYのDTC-77ESです。これも10年以上前のモデルで、メカにガタが来ているようで、時々メカ的にトラッキングが取れず、変な音が出続けることがあります。そろそろオーバーホールに出さないとだめかもしれませんが、お金と時間がないので、先送りしています。 また、このモデルにはマイク入力がありません。それに、アナログ信号を44.1kHzでサンプリングできるモードがなく、48kHzでしか取れないのです。最近のものは44.1kHzで取れて、PCに流し込めば、そのまま音楽CDとして焼けるようになっていますが、このデッキはまだMS-DOSが元気な時代のシロモノですから、そういう機能は積んでいません。
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Fig. 1-3
DATデッキ DTC-77ES(上)
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ですから、このデッキで録音したら、48kHzを拾えるサウンドカードにディジタル信号で入れて、サンプリングレートコンバータで処理して、CDに焼く、という手しかありません。最近では、メモリやHDDがポータブルオーディオのメジャーなメディアになりつつありますから、サンプリングレートがどうのこうの、というのはいずれ問題にならなくなるかもしれませんが、PCを持っていない人に渡して、無圧縮で聞いてもらうには、当面音楽CDしかありません。 サウンドカードは先日、Creative ProfessionalのE-mu0404を購入し、DATからの取り込みも終了して編集及びMP3形式に変換したものはこちら(共鳴箱試作1・2号機、共鳴箱製品機)です。
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DATデッキにマイク入力がないので、マイクアンプを作らなくては録音できません。マイクアンプは市販の物がありますが、どれもスタジオ(プロorハイアマチュア)向けの高価なもので、私のようなド素人向けで安い物は余りありません。 こうなってくると、自作の虫がうずきます。オルゴールの音は楽器の音ほど大きくはありません。しかもマイクは低電圧の信号ですから、アナログ技術の力量が問われます。最初からバッチリなモノを作る自信はありませんが、この領域の周波数とS/N比なら、試行錯誤のネタはオーディオ回路素人の私にもたくさんあります。 試行錯誤のネタが多くある、ということは大事なことで、「どうにもこうにも、これしかやりようがない」という状況が、最初から見えているならやめた方がいい挑戦でしょう。しかし、マイクアンプに関しては、そうは思えませんでした。
最初に回路の外部仕様を決めます。まずその前に、入力であるマイクの特性と、出力先であるDATデッキの入力の仕様について確認しておきます。
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マイク
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正面感度
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開回路出力電圧レベル -52±3dB (0dB=1V/Pa, 1000Hz, 1Pa=94dBSPL)
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推奨負荷
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負荷インピーダンス 3kΩ以上
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出力インピーダンス
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200Ω±20% 平衡型 (付属コードで不平衡に変換)
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自己雑音
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等価入力音圧換算 22dBSPL以下
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DATデッキ
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入力インピーダンス
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47kΩ
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基準入力レベル
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-4dBs
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上記は、説明書の丸写しなんですが、いきなりマイクの感度の意味がわかりません。0dBを1V/Paとするのは分かります。1Paは94dBSPLで、この音の大きさは感覚的には、電車や工場の中、といった感じであることも(調べて)分かりました。 -52dBということは、{94(1Pa)-52}dBSPLの音を拾った時に、-52dBVの電圧が出る、ということだと解釈すると、 □ 94-52 = 42dBSPLはこおろぎの鳴き声のレベル □ -52dBV = 2.5mV ということになりそうです(かなり怪しいので、誤りがあれば指摘して下さい)。 一方、DATデッキの入力の方は、-4dBsが基準入力(0dBs=0.775Vrms)ですので、 □ -4dBs = 0.489Vrms = 0.69Vpeak となります。また、マイクはいわゆる「ロー出しハイ受け」を前提としていることがわかります。ようやく、仕様決めに入ります。
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周波数帯域
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約24kHz (-3dB cutoff) |
48kHzサンプリングなので、24kHz近辺でいいでしょう。オルゴールは高域が多いから、と広げすぎると、エリアシングノイズのリスクが出てきます。デッキの中で、A/Dコンバータの前段にもっとシャープなLPF特性を持たせてあるでしょうから、外側であまり神経質にならないことにします。
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電圧利得 (ゲイン)
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一応30dB(約32倍) |
これが決まらないことには回路構成も素子も決まりませんが、そもそもオルゴールの音圧レベルなんて分かりません。おまけに電圧を測ろうにも、オシロスコープなどの手段(道具)がなく、困ってしまいました。共鳴箱に耳を近づけた位置では、こおろぎの鳴き声よりは大きな音がすると思いますが…。苦し紛れに、マイクをアンプを繋がずに、直接DATデッキのLINE入力に入力レベルを目いっぱい上げて、繋いでみたところ、小さな声レベルでフルスケールまで30dB程不足でした。 ということは、電圧ゲインで30倍程あればいいということですので、とりあえずオペアンプ1段で30dBのアンプを製作することにしました。実験ですので、不具合があれば変更すればいい、という気楽な(安易な?)姿勢で臨むことにしました。
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回路構成
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DC結合の1段の非反転アンプ |
マイク側はディファレンシャル(差動出力)でも対応できるようになっていますが、付属のコードはシングルエンドです。キャノンコネクタの付いたコードは1本で数千円するので、とりあえずは、シングルエンドでどこまで行けるのか、試してみます。 非反転にしたのは、入力インピーダンスが上げられるためです。但し、高すぎてもノイズを拾いやすいので、入力のところに適当な抵抗をぶら下げておきます。マイク入力を抜いたまま、電源を入れた時に、過大出力が出ないようにするためでもあります。
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電源
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006P×2個&3端子レギュレータ(5V) |
最近あまり見かけなくなった006Pを2個使い、100mA定格の3端子レギュレータで±5Vに落とします。±9Vのまま使わないのは、電池の減り方のバラツキで、電源電圧がアンバランスになってオフセットが出るのを嫌ったためです。PSRRが効きますから、そんなに気にしなくてもいいはず(データシートからきちんと計算すれば出ます)です。気分の問題かもしれません。 オーディオをやっている方の中には、3端子レギュレータはノイズの元だ、と言って避ける方もおられますので、ちょっと冒険かもしれません。
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大まかにこんなところです。その他、ケースやスイッチ、マイクジャックに至るまで、部品を選ばなくてはなりませんが、外見や使用感はさておき、まずは回路設計です。オペアンプ1個の回路ですから、さほど難しくはありませんが、結構検討すべきことがあります。
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オペアンプの選択
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これが一番の難物です。今回のような用途のオペアンプとしては、低ノイズであること、オフセット電圧が小さいこと、オープンループゲインが十分大きいこと、が必要とます。低周波領域の高精度オペアンプが適切ですが、今回は、とりあえずこの領域のオペアンプの定番とも言うべき、アナログデバイセズのOP07Cにしました。 商品開発なら、絶対に最初からこんな決め方で選択はしませんが、実装はソケットにしておいて、不都合があれば後からオペアンプを交換できるようにしておくつもりだからです。 以下、このオペアンプを使った場合の特性の検証です。
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[周波数帯域] グラフから読むオープンループゲインの特性が、直線的で素直です。GB積を読むと1MHzありますから、30dBのゲインでは帯域が約32kHzあることになり、十分です。
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[ノイズ] 電圧ノイズはノイズ電圧密度では約10nV/√Hzですから、20kHz帯域での値とすると約48μV(rms値)。一方、電流ノイズはノイズ電流密度で0.15pA/√Hzで、帰還抵抗を100kΩとすると、約2μV(rms値)です。トータルノイズはこれらの2乗和の√ですから、電流ノイズの方は無視できます。 従ってフルスケール時のS/N比は、 0.489Vrms / 48μVrms = 10187 = 80 [dB] 感覚から言ってこんな物でしょう。いいかげん極まりないですが、スタジオを借りるわけでもなく、マンションの一室(自宅のこと)で夜中に録音する予定なので、マイクアンプのS/Nに力を入れても仕方ない気がして、このままです。マイク自体のノイズもあるでしょうから。
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[オフセット電圧] オフセットは、DATデッキ側がDCカットなのでさほど気にする必要はありませんが、一応計算しておきます。データシートから電圧オフセットが30μV(typ)ですから、ほぼ1mVといったところで、問題にはなりません。バイアス電流オフセットは0.5nA(typ)ですので、帰還(フィードバック)抵抗が100kΩオーダーなら50μV程で無視できます。
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抵抗の定数
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まず、フィードバック抵抗値を決めます。仮に100kΩとすると、ゲイン抵抗は、3.3kΩとなります。このときのゲインは正確には31.3倍となります。 抵抗には、ノイズの少ない金属皮膜抵抗を使います。チャンネル間でゲインに差があるのも避けたいですから、誤差は±1%とします。価格的にはカーボン抵抗の5%の倍以上しますが、本数が少ないのと絶対額が小さいので、問題になりません。
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周波数帯域 (帰還容量)
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フィードバック抵抗Rfが100kΩですから、それと並列でfc=24kHzのポールを持たせるためのコンデンサCfは、 Cf = 1/(2πfc・Rf) = 66.3 pF と求められます。実際の値は、最も値の近い、68pFとします。
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以上を元に設計したのがFig. 1-4です。 全体は、小型のアルミケースに入れ、遮蔽します。マイク入力は6.3mm径の標準ジャックを2個として、Line出力は通常のピンジャックとします。電源スイッチは、±両方を同時に入れたり切ったりできるよう、2回路の双投スイッチを使うことにします。 肝心の基板ですが、手元に紙エポキシのユニバーサル基板がありましたので、これを使うことにします。本来ならプリント基板を起こしたいところですが、価格的にも素人の手に負える物ではありませんし、何より実験ですから、これでやって見ます。基板が原因でノイズが出た、などと分かるようになるまでには、相当の経験を積まないとダメだと思いますから。 オペアンプひとつですし、探せばキットが見つかるかもしれません。(今回は自分で作ることで頭がいっぱいで、そこまで考えませんでした。)
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Fig. 1-4
当初の回路図
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さて、設計が終わったら、部品集めにかかります。秋葉原に行くと、1日つぶれてしまう(つぶしてしまう、が正解)ので、全部品が集まるかどうか不安でしたが、横浜中華街の反対にある石川町の部品屋さんに行きました。ここは中学の頃にずいぶん来ましたが、今ではもう床面積で1/3、店舗数で1/2にまで寂しくなってしまいました。 一番あるかどうか不安だったOP07CPも在庫があり、他のものも一通り揃いました。抵抗やコンデンサは、使いそうな数値は買っておきました。 ケースとユニバーサル基板、電源スイッチは手持ちがありましたので、それ以外のもの一通りで、\2kほどでした。
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いよいよ製作にかかります。まずはユニバーサル基板に部品を載せて行きます。とりあえず載せるだけ載せてハンダ付けしたら、錫メッキ線で配線します。他の配線と重なるところは、被覆された線を用います。 フィードバックの抵抗(R3,C1)とコンデンサ(R6,C6)は、裏面実装にします。高周波回路では常套手段ですが、こうすることでフィードバックループが小さくなり、寄生容量やノイズの影響を受けにくくなります。
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電源周りも間違いなく配線したら、テスターで配線が正しいか、チェックします。電解コンデンサやICソケットなど、方向性のある部品には特に注意が必要です。今回は、信号線の引き出しに、コネクタは使用しませんでした。実験ですから、直付けにしました。オペアンプは後でソケットに差します。 ケースの加工は、部品に合わせてほとんど現物合わせで行っています。その結果、正面スイッチの穴位置を間違え、スイッチと基板が干渉する位置にあけてしまったため、開けなおしたりしています。 真上から見たものがFig. 1-5、正面と背面から見たのがFig. 1-6とFig. 1-7です。
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Fig. 1-5
自作マイクアンプ 内部配線
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Fig. 1-6
自作マイクアンプ 前面
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Fig. 1-7
自作マイクアンプ 背面
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Fig. 1-8
マイクとDATを接続したところ
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Fig. 1-8は2本のマイクをつないでみた所です。 早速この状態で、共鳴箱にオルゴールをセットして鳴らし、DATのモニターで音を確認してみました。ところが、一応はきれいに鳴ってくれるのですが、ゲインが全く足りません。入力レベルを最大にしてもレベルメーターで、20dB程度は不足しています。 これだけゲインが足りないと、ただ単に抵抗を交換しただけでは、周波数帯域が不足になってしまいます。単純に考えて、ゲインを10倍(20dB)上げれば、帯域は1/10になってしまいますから、帰還容量(C1,C6)がゼロのオペアンプの裸特性で3.1kHzしか取れないことになります。 実際、R2とR5を手元にあった360Ωに換えてみたところ、明らかに高域がなくなってしまい、オルゴールの音ではあるのですが、何か合成くさいような変な音になってしまいました。これはもう、オペアンプ自身の限界なので、1段でゲインを取る構成を変えない限り、オペアンプをもっと広帯域なものに替える以外、手がありません。
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これではダメなので、根本から設計し直しました。まずはオペアンプです。OP07Cの上位バージョンで、高速版のOP27Cというものがあります。GB積で、8MHzありますので、300倍のゲインを取っても帯域は20kHz確保できます。 一段で300倍ものゲインを取るとなると、入力直流オフセットがゲイン倍されて出てきますので、これも要検討です。オフセットは、typ.値で30μVでmax値で100μVですから、9〜30mVで、多分大丈夫でしょう。また、気になる電圧ノイズはOP07Cの約1/3で、多少増加は懸念されますが、試してみる価値はありそうです。
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設計し直したのが右の回路です。「なんだ、設計し直した、ってほとんど同じじゃないか。」と思われそうですが、表面的には変わっているのは、 R2とR5の抵抗の値(3.3kΩ→360Ω) R3とR6の抵抗の値(100kΩ→91kΩ) U1とU2の型番(OP07CP→OP27CP) のみです。抵抗は手元にあった物で済ませているので、ゲインは正確には前回の10倍にはなっていません。 オペアンプばかりは買ってこないとないので、町田のサトー電気でOP27CPを買ってきました。 まずオペアンプを交換して、前と同様にオルゴールを鳴らしてみました。予想通り、ゲインが十分取れていて、高音は十分伸びています。さすがは高速オペアンプです。ノイズも(マイク入力ショートで)聞く限りでは増えていません。
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Fig. 1-9
改良後の回路図
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次に360Ωを金属皮膜に交換してみました。意外だったのが抵抗のノイズです。微妙ではありましたが、私のプアーな耳でも明らかに金属皮膜抵抗の方が、ノイズが少ないことがわかりました。今まで、書物では「金属皮膜抵抗はノイズが少ない」とあって、知識として知っていましたが、「体感」できたのは初めてです。 さて、やっとここまで来て、録音ができるレベルの音が出るようになりましたが、今ひとつ不満なのがノイズです。マイクを接続してマイクの電源を入れ、入力レベルを調整して静かにしてみると、どうも気になるヒスノイズがかなりなレベルあります。レベルメータからS/Nを計算してみると、60dB弱しかありません。 このDATデッキのレベルメータは、最低のドットが-60dBのところにあり、上記のような入力接続状態では3番目のドットまでが、ほとんど常時点灯しっぱなしです。(但し、床の振動や空気の流れなど、音や振動として入って来るノイズについては、完全には分離できていませんので、上記の議論は不完全ではあります。) 原因を切り分けてみましたが、マイクの電源を切るとノイズもほとんど出なくなるので、マイクアンプのノイズとしてはこれ以上改善のしようがありませんでした。マイクの仕様からすると、この程度なのかもしれません。楽器に比べれば、桁違いに小さい音ですから、元々S/Nが取れない上にゲインを上げざるを得ないので、こんな程度かもしれません。超低ノイズFETを2種類ばかり買ってきましたので、録音が全部終わったら、いずれマイクのヘッドアンプを交換してやってみたいと思います。
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機器のセッティングはいたって単純で、マイクを接続してマイクアンプの出力をDATデッキのLineに入れるだけです。レベル合わせは、本番前にそのオルゴールで最も音の大きな部分を鳴らして行ないますが、結構面倒なので、オルゴールごとにレベルVRの目盛りを読んで、記録しておきます。3回転に1回、シリンダーが戻る時の「コトン」という音は、飽和させてしまいます。 むしろ大変なのは、周囲で音の出るものを止める、あるいは別の部屋に移すことです。この苦労は別のところに細かく書いていますが、どうしても止められないものは床の振動でした。マイクスタンドに取り付けると出るのです。 雑巾をマイクスタンドの足に敷いたりしてみましたが、ダメでした。DJなどではバードケージ型のマイクホルダをよく見ますが、なんだか高そうで、これだけのために出費するのもはばかられて今に至ります。
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Fig. 2-1
マイクアンプとDATのセッティング
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ゲイン300倍ものアンプですから、オフセットのドリフトが、DATの入力アンプでDCカットされ、AC分だけが低周波のノイズになっていたりするのかもしれません。そもそもDCアンプにしたのがいけなかったのか…。 レベルが低く、あまり耳障りにならないので、仕方がないので、今回は実験ということで、このままです。
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いい音を収録するために、プロも苦労するところがこのマイクのセッティングだと思います。今回のマイクは単一指向性なので、周囲で多少物音がしても拾いません。オルゴールは元々音が楽器に比べて小さいため、本体と共鳴箱にかなり近づけて収録します。単一指向性ですから、本体側に向けるか、共鳴箱側に向けるかで、音の成分がかなり異なることに気が付きました。
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Fig. 2-2
マイクと共鳴箱の位置関係(正面)
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いろいろと試行錯誤して、最も素直な、耳で聞いたのとほぼ同じ音が録れるセッティングを探します。左右方向は、当然のことながらFig. 2-2のように、左右対称の位置に取ります。中心線からそれぞれのマイクの位置は数cmです。スピーカーから聞くときの臨場感からいえば、もう少し離してもいいかもしれません。ヘッドホンでばかり聞いていたので、この辺は未検討です。 下のFig. 2-3とFig. 2-4は、左右から見たところです。戸山家具製作所に作ってもらった、息子の机の上に全体を乗せています。このウオールナットの無垢の板の共鳴も、期待していたりします。後ろは壁なので、この方向に出た音を前に持ってくる意味で、共鳴板にしようと昔から持っていたスプルースのまな板を2枚、縦に重ねて後ろに立てています。
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Fig. 2-3
マイクと共鳴箱の位置関係(左側から)
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Fig. 2-4
マイクと共鳴箱の位置関係(右側から)
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下のFig. 2-5とFig. 2-6は、マイクとオルゴール本体、共鳴箱の水平位置関係が分かるように撮ったものです。共鳴箱の上側のふちからマイクの頭までは5cm程度、マイクのヘッドが共鳴箱の上ふちと同じ高さで、向きはオルゴールの前面に向けて仰ぐような向きが、最も素直な音がしました。
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Fig. 2-5
マイクの水平方向の向き
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Fig. 2-6
マイクと共鳴箱の距離=約5cm
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私はこの道のプロではないので、断定的なことは言えませんが、本体の正面と同じ高さに持ってきて、水平に向けると、本体からの高音がほとんどになってしまい、共鳴箱の正面に水平にセットすると、低音ばかりになってしまいました。音の成分によって共鳴する場所が違い、このようになってしまうのだと思います。 そうだとすれば、両者の音を平均的に拾わないといけなくなりますので、最初は本体の足と共鳴箱の境界面と同じ高さに、水平に向けてセッティングしたのですが、バランスは今ひとつ高音が不足でした。ちょっと上側に傾けてみたのが、このセッティングです。
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上記のようなセッティングで、試作機2台の音質比較をするため、録音を行ないました。機器のセッティングは昼間に済ませておき、録音は夜中に行ないます。録音対象は6台あって、セットアップも含めて1台当り20分ほどを要します。共鳴箱は2台ありますので、計算上は(20分×6台×2機で)4時間ほどかかりますが、すべてのオルゴールを比較する必要もないでしょう。試作機での実験のところにも書いたように、2号機は音が良いので全部やるとして、1号機は特徴のある4台程度にしておきました。これなら3時間で終われるでしょう。夜中に録音するので、この程度に抑えておきたいところです。正直言って、朝までやれる元気はないです、ハイ。 肝心の録音結果の比較は共鳴箱のページです。
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