検索サイトから来た方は… 無線工学の基礎 トップへ
以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます
|
■ 無線工学を学ぶ
|
(1) 無線工学の基礎
|
年度別出題一覧
|
H11年 4月期,8月期,12月期
|
H12年 4月期,8月期,12月期
|
H13年 4月期,8月期,12月期
|
H14年 4月期,8月期,12月期
|
H15年 4月期,8月期,12月期
|
H16年 4月期,8月期,12月期
|
H17年 4月期,8月期,12月期
|
H18年 4月期,8月期,12月期
|
H19年 4月期,8月期,12月期
|
H20年 4月期,8月期,12月期
|
H21年 4月期,8月期,12月期
|
H22年 4月期,8月期,12月期
|
H23年 4月期,8月期,12月期
|
H24年 4月期,8月期,12月期
|
H25年 4月期,8月期,12月期
|
H26年 4月期,8月期,12月期
|
H27年 4月期,8月期,12月期
|
H28年 4月期,8月期,12月期
|
H29年 4月期,8月期,12月期
|
H30年 4月期,8月期,12月期
|
R01年 4月期,8月期,12月期
|
R02年 4月期,9月期,12月期
|
R03年 4月期,9月期,12月期
|
R04年 4月期,8月期,12月期
|
分野別出題一覧
|
A 電気物理, B 電気回路
|
C 能動素子, D 電子回路
|
E 送信機, F 受信機
|
G 電源, H アンテナ&給電線
|
I 電波伝搬, J 計測
|
|
■ サイトポリシー
|
■ サイトマップ[1ama]
|
■ リンクと資料
|
|
■ メールは下記まで
|
|
2022年 |
12/31 12月期問題頁掲載 |
09/01 08月期問題頁掲載 |
05/14 04月期問題頁掲載 |
|
無線工学 > 1アマ > H29年08月期 > A-22 |
A-22 |
超短波(VHF)帯通信において、送信アンテナの地上高を25 [m]、受信アンテナの地上高を16 [m]としたとき、電波の見通し距離の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、大気は標準大気とする。
|
|
1 |
27.8 [km] |
2 |
32.2 [km] |
3 |
37.1 [km] |
4 |
40.4 [km] |
| 5 |
49.5 [km] |
|
|
1アマで見通し距離の計算が出題されたのは、今回(H29年8月期)が初めてではないかと思いますので、収録します。公式を覚えてしまえばただの計算問題ですが、何故その公式が導かれるのか、を考えてみたいと思います。
[1]標準大気の意味
まず、問題文に「標準大気」とか「等価地球半径」とかいう用語が出てきたら要注意です。地球上の大気は、地表から上空に向かって屈折率が小さくなっています(標準大気)。このような媒質中で、屈折率の分布方向(鉛直方向)からずれた方向に電磁波を伝搬させようとすると、経路が直線で記述できません(要は曲がる、ということ)。このことを考慮に入れて問題を解け、ということです。 電磁波の経路を直線で表せるようにするため、地球の半径が大きくなったことにしてしまう、というのが等価地球半径係数Kと呼ばれるものです。K=4/3で、地球の実半径が約6,370 [km]ですから、その4/3で、約8,490 [km]になった、と考えるわけです。この辺りの話は、H1312B05の解説に詳しく書いていますので、ご参照下さい。
[2]見通し距離の計算式
ではここから、送受信アンテナ高が与えられている時の、地球上での見通し距離の計算式の導出をやってみます。
|
Fig.HI0404_a 標準大気中の到達距離
|
まず、Fig.HI0404_aのように、送受信アンテナ高G1P1、G2P2をそれぞれh1 [m]、h2 [m]とします。等価地球半径KRは8,490 [km]です。こうしてしまえば、電波の経路は直線になりますので、幾何学的に問題を解けばいいことになります。 送信点から電波が地表すれすれを通る、C点までの距離をd1 [m]とし、∠COG1=θ [rad]とします。この図形でd1がいくらになるか、を解いて、受信側も全く同様にd2を求めて両者を足せばいい、という算段で進めます。 △COP1において、各辺の長さについては、
|
が成立ちます。ここで、直接波の伝搬距離d1はKRに比べて非常に小さいので、
と書けます。また、θも小さいので、三角関数の近似式を使って、(1)式の中のcosθを表現すると、
と書けます。これを(1)式のcosθに代入すると、
となって、さらにこの(4)式のθに(2)式のθを代入すると、d1が
と求められました。あとは、全く同様にしてd2も求めてしまえばよく、
となります。これでd1とd2を足せばよいわけですが、KRは[km]単位で、h1やh2は[m]単位で間違えやすいので、両者を[m]単位に揃えて(送受信点の地上高が[km]単位で書かれることはまずないため)計算すれば、
と書けます。あとは、問題に応じてこの式を変形するとか、単位を修正するとかすればよいわけです。 この問題は、地上高x [m]のアンテナから見通せる範囲はどこまでか、という問題(h2=0とすればよい)でもあります。関東では、地上波TVの送信が東京タワー(アンテナ位置を海抜300 [m]とする)から東京スカイツリー(アンテナ位置を海抜600 [m]とする)に変わりました。単純に送信点の高さが2倍になったとして、地上で受信できるカバーエリアは、円の半径にして√2倍(71.4→100.9 [km])、面積にして2倍(16,000 [km2]→32,000 [km2])になったことになります。
実は上記の導出は、1陸技の無線工学Bで出題されたものの、殆どそのままです。
それでは、解答に移ります。
計算式の意味が分かってしまえば、あとは(7)式に代入するだけです。h1もh2も電卓がなくてもいいように、ルートを求めても整数になるような数字になっています。 (7)式にh1=25 [m]、h2=16 [m]を代入して、
見通し距離=4,121×(√25+√16)≒37,100 [m]=37.1 [km]
となりますから、正解は3と分かります。
上の、電波塔の例ではありませんが、(7)式は、約4,100にアンテナ高のルートを掛ける、と覚えておけば良いでしょう。私は、この問題を、昔、解いた記憶がありますが、係数4,100を忘れて全く解けませんでした。
|
|
|
|