□ R05年12月期 B-03  Code:[HF0301] : AGC回路の働き
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
  R05年 4月期,8月期,12月期
  R06年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2025年
03/31 R06/12月期問題頁掲載
03/31 R06/08月期問題頁掲載
03/31 R06/04月期問題頁掲載
03/31 R05/12月期問題頁掲載
03/31 R05/08月期問題頁掲載
03/31 R05/04月期問題頁掲載
H3512B03 Counter
無線工学 > 1アマ > R05年12月期 > B-03
B-03 次の記述は、図に示すAM(A3E)受信機の自動利得調整(AGC)回路例について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。なお、同じ記号の[ ]内には、同じ字句が入るものとする。
(1) 受信波の電界強度が大きいときでも中間周波増幅器が飽和せず、また、フェージングにより受信波の電界強度が変動しても、ほぼ一定の出力が得られるようにするための回路である。
(2) 抵抗R1及びコンデンサC1により得られた[ア]をAGC電圧とする。
(3) 検波出力に含まれている[ア]の大きさは、受信波の振幅と周波数のうち、[イ]に比例する。
(4) 中間周波増幅器を構成するTrには、抵抗R2及びR3により適正なバイアス電圧が加えられている。この状態で受信波の電界強度に対応した[ウ]の直流電圧を加えて、中間周波増幅段の増幅度を制御する。すなわち、受信波の電界強度が大きくなると、Trのベース電流を[エ]させ、増幅度を低下させる。
(5) AGC回路は、実際には受信機の感度を低下させるため、[オ]電波を受信するときにはAGC回路を動作させないで利得が最大で感度よく受信できるようにする回路方式もある。
問題図 H3512B03a
Fig.H3512B03a
 正  高周波成分  周波数  増加  微弱な
 負  直流分  振幅  減少 10 極めて大きな

 久しぶりにAGCの問題が出たと思ったら、回路図付きです。ブロック図よりも難しい感じはしますが、細かい数値が入っているものは別として、個々の部品と回路の構成から動作が理解できれば十分です。

[1]AGC回路の構成と動作

 AGCは大まかに言って、Fig.HF0301_aのような構成になっています。問題では「AM受信機」となっていますが、我々の良く使うSSBでも同様です。

(1) 中間周波増幅器

 AGCで利得を制御するのはこの中間周波増幅器です。そのため、この増幅器では、外部から入力された(ほぼ)直流電圧に従って、利得が変化する増幅器を用います。具体的には、トランジスタのバイアス点を変化させたり、可変容量ダイオードで構成した可変減衰器(アッテネータ)を用いたりします。
 AGCは変動を抑える方向に働かなければならないわけですから、入力信号が強くなれば利得を下げ、弱くなれば利得を上げます。
Fig.HF0301_a AGCの動作原理
Fig.HF0301_a
AGCの動作原理

(2) 検波器

 検波器は包絡線検波器などの、入力電界にほぼ比例した出力が得られる方式を用います。検波器の出力は、AMですから音声帯域の成分を持った出力ですが、直流分も出力されます。この直流分は受信電界強度に応じて変化しますが、さほど高速には変化しないので、このあとに書く積分器を通し、利得制御信号に変換します。

(3) 積分器

 「積分」というと何だか難しい感じがしますが、早い話が検波器の出力が含んでいる速い変動成分を除去する低域フィルタ(LPF)です。ここでの出力は、一般に電離層の状態の変化などで起こる、数十秒から数分の一秒のゆっくりした電界強度の変動に比例した(ほぼ)直流となります。

[2]AGC構成・動作のまとめ

 以下に、AGC回路の構造と動作をまとめてみました。
目的
回路上の動作
受信電波の強度を
検出する
検波出力から直流電圧成分を取出す
 取出した直流電圧は、受信電波の電界強度に比例しているので、電波の強弱はこれで読める。
受信電波の強度に応じて
増幅度を制御する
取出した直流電圧で中間周波増幅器や高周波増幅器の利得を制御する
 電波が強いと電圧も高くなるので、電圧が高い時には利得を下げ、電圧が低い時には利得を上げる
 より具体的には、バイポーラトランジスタで、コレクタ電流がある値を超えてくると増幅率が減少する部分に動作点を移動させる、PINダイオードを用いた可変アッテネータ(減衰器)に加える電圧を変化させる、などの種々の方式がある。
 

それでは、解答に移ります。
 Fig.HF0301_aと問題の回路図を見比べながら、回路の動作を考えて行きます。問題の回路には2個のIFTがありますので、この間に挟まれているトランジスタ周りの回路がFig.HF0301_aでいう中間周波増幅器です。問題の回路を見ると、トランジスタにはR2とR3で(固定値の)直流バイアスが掛けられていますが、信号強度に応じたAGC電圧も加えられており、ベースバイアスはこの二者によって決まるようになっています。
 2段目のIFTに接続されているダイオードとその周りが検波回路になります。ここで、受信波強度に比例した直流電圧(ダイオードのアノード側に発生するのは負電圧)を生成します。
 ダイオードに繋がるR1やC1はAGCの時定数を決める回路です。R1やC1の値が大きくなるほど、時定数が大きくなり、AGCの応答がゆっくりになります。
 AGC電圧は負電圧ですから、受信機の入力信号レベルが大きくなるほど、AGC電圧の負電圧も大きくなり、トランジスタのバイアス電圧がそれにつれて下がることになります。
 …R1とC1から出力されるのは7 直流電圧です
 …AGC電圧は受信波の8 振幅に比例します
 …元々加えられている正のバイアス電圧に、AGCの6 負の電圧を加えます
 …ベースのバイアス電圧が下がれば、ベース電流は9 減少します
 …AGC回路が働く必要がない5 微弱な信号の受信時には、AGC動作を停止させます
となります。