□ R05年12月期 A-21  Code:[HH0201] : Qマッチセクション(Q形変成器)の動作原理とインピーダンス計算
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03/31 R06/12月期問題頁掲載
03/31 R06/08月期問題頁掲載
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03/31 R05/12月期問題頁掲載
03/31 R05/08月期問題頁掲載
03/31 R05/04月期問題頁掲載
H3512A21 Counter
無線工学 > 1アマ > R05年12月期 > A-21
A-21 次の記述は、同軸ケーブルによる変成器を用いて、スタックアンテナへ給電する例について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の組合せを下の番号から選べ。ただし、同軸ケーブル上の波長をλとし、同じ記号の[ ]内には同じ字句が入るものとする。
 図において、アンテナ1及び2に接続されている2本の50 [Ω]同軸ケーブルの分配点における合成インピーダンスは25 [Ω]である。
 変成器(1)として、長さλ/4の50 [Ω]同軸ケーブルを使用したとき、中継点Xにおけるインピーダンスは約[A][Ω]となる。
 中継点Yにおけるインピーダンスを50 [Ω]とするためには、変成器(2)は長さが[B]、インピーダンスが73 [Ω]の同軸ケーブルを使用すればほぼ整合する。
 また、分配点からアンテナ1及び2の給電部までの同軸ケーブルの長さは、同位相で給電するのであれば、[C]、同一長でなければならない。

100 λ/4 任意長でよいが
100 λ/2 任意長でよいが
100 λ/2 λ/4又はλ/2の奇数倍
150 λ/4 λ/4又はλ/2の奇数倍
150 λ/4 λ/4又はλ/2の奇数倍
問題図 H3512A21a
Fig.H3512A21a

 Qマッチセクションの問題は、過去にも出ていましたが、またひとひねりが必要です。

[1]インピーダンスマッチングの本質とは?

 我々が運用する時は、送信機が「電源」で、アンテナが「負荷」で、その間を伝送線路(=ケーブル)で繋ぎます。
 定電圧電源を負荷に繋ぐ場合と違い、高周波回路では「インピーダンスマッチング」を取らなければならない、というのはご存知かと思います。送信機、ケーブル、アンテナにはそれぞれ送信周波数におけるインピーダンスがあり、これが整合していないと、送信機から出たエネルギーが100%アンテナから放射されません
 この問題で取り上げているのは、ある特性インピーダンスを持った、λ/4の長さの伝送線路を用いることで、送信機とアンテナを整合させることができる、という技術です。

[2]インピーダンスZ0 [Ω]のケーブルにR [Ω]の負荷を繋いだら…

 では、この問題を解く前に、特性インピーダンスがZ0 [Ω]で、長さがλ/4 [m]の伝送線路の先に、R [Ω]の負荷が繋がっている場合、「送信機から見て」何Ωに見えるのか?を考えてみましょう。
Fig.HH0201_a 送信機から見た伝送線路と負荷
Fig.HH0201_a
送信機から見た伝送線路と負荷
 送信機から負荷を見たインピーダンスと、送信機の出力インピーダンスが等しければ「整合が取れている」ということになります。
 「ミソ」は、「送信機から見て」というところです。送信機に繋がっているのはZ0の特性インピーダンスのケーブルで、必ずしも送信機の出力インピーダンスとは同じにならないのですが、λ/4先にある負荷Rを含めて考えると、送信機にはあたかも自分と同じインピーダンスの負荷が接続されて見えるように、Z0やRを組合せで選ぶことができる、というわけです。
 一般に、伝送線路の長さをx [m]として、送信機から見たこの系のインピーダンスをZiとすると、
 Zi=Z0(Rcosβx+jZ0sinβx)/(Z0cosβx+jRsinβx) …(1)
となります。(この式は、「伝送線路方程式」というものを解いて得られますが、その導出は1アマレベルでは不要ですのでここではやりません。)

[3]長さが四分の一波長なら事情は簡単に

 βは定数で、β=2π/λです。(1)は虚数が出てきて面倒そうな式ですが、x=λ/4だとすると、途端に簡単になります。というのは、x=λ/4なら、βx=π/2となり、sinやcosが1や0という簡単な数になるからです。つまり、cosのかかっている項はゼロなので消えてしまい、sinの項のみが残ります。さらに、分母と分子にはjのかかった項だけになるので、jは消えてしまいます。
 では、(1)式にβx=π/2を代入して簡単にすると、
 Zi=Z0(Z0/R)
   =Z02/R …(2)
普通、送信機やアンテナのインピーダンスは決まっていて、「Qマッチセクションのインピーダンスをいくらにするか」という手順で設計します。そこで、(2)をZ0について解けば、
 0=√(ZiR) …(3)
つまり、0は送信機の出力インピーダンスとアンテナのインピーダンスの相乗平均にすれば整合が取れる、ということになります。
 例によって、このページでは「何故そうなるか」を追求したいので、虚数の出てくる(1)のような式をいじくり回して(3)式を導きましたが、試験に合格するだけなら(3)だけを暗記しておけばよいでしょう。

 さて、ここで余談です。
 送信機から見たインピーダンスZiは計算できたのですが、アンテナ側から見たらどうでしょうか? この場合も全く同様にして、電源側にZiというインピーダンスが繋がっている場合の、負荷から見たインピーダンス、すなわち(2)式をRについて解けばよいのです。
 この系が「整合が取れている(マッチングしている)」ということは、送信機側から見ると送信機の出力インピーダンスと同じインピーダンスが、アンテナ側から見るとアンテナと同じインピーダンスが、それぞれ繋がって見える、ということなのです。
 また、波長は速度係数をかけたものでなければならないことに注意します。つまり、波長は真空中の波長ではなく、ケーブル上の波長です。

それでは、解答に移ります。
 この問題では、送信機から分岐点方向に、2段構えのQマッチになっています。中間点(マッチングを考える点)が2つあり、それぞれが何Ωになればつじつまが合うのか、を負荷側から逆に考えて行きます。
分岐点からアンテナ側を見たインピーダンスは25 [Ω](50 [Ω]が2回路並列)です。問題文では「変成器(1)には50 [Ω]のケーブルを使う」と言っているので、中間点XのインピーダンスZXは(2)式でZ0=50 [Ω]、R=25 [Ω]とすれば、ZX100 [Ω]となります
変成器(2)もQマッチなので、λ/4ですが、本当に73 [Ω]のケーブルを使えば整合するのか、検算してみます。Aで見たように中間点X(から負荷を見た)のインピーダンスが100 [Ω]、中間点Y(から送信機を見た)インピーダンスZY=50 [Ω]ですから、
 ZXY=5000≒732
となり、確かに整合します
分岐点からアンテナ1又はアンテナ2の間は、整合が取れているので、ケーブルは任意長で良いです。但し、同じ長さでないとアンテナ1とアンテナ2で給電位相がズレますので、ビームパターンが乱れたり、大概は良からぬことが起こります

となりますから、正解はと分かります。