□ R05年12月期 A-02  Code:[HA0903] : 直線電流が作る磁界の強さ・受ける力等の計算
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03/31 R05/04月期問題頁掲載
H3512A02 Counter
無線工学 > 1アマ > R05年12月期 > A-02
A-02 次の記述は、図1に示すように、0.4 [m]の間隔で平行に置かれた無限長の直線導線X及びYに、それぞれ同じ方向の直流電流8 [A]及び10 [A]を流したときの、XY間の中間点Pにおける磁界の強さの値の算出について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 図2において、導線の微小部分Δl [m]を流れる電流I [A}によって、Δlからr [m]の距離にある点Pに生ずる磁界の強さΔH [A/m]は、Δlと点Pを結んだ線とのなす角をθとすれば[A][A/m]の式で求められる。
 一方、ΔHは導線の微小部分Δlによるものであるから、これらを導線全体について合成したものが、点Pに生ずる磁界の強さH [A/m]であり、H=[B][A/m]で求められる。
 上式より、図1のXによる点Pの磁界の強さHX及びYによる点Pの磁界の強さHYが求められ、電流の方向からHXの方向とHYの方向は互いに[C]の方向となるので、全体での磁界の強さHPは、[D][A/m]となる。

反対 5/π
同一 45/π
反対 2.5/π
同一 22.5/π
反対 2.5/π
問題図 H3512A02a
Fig.H3512A02a

 定常電流と磁界の関係を表す法則は、ビオ・サバールの法則とアンペールの法則です。電磁気学の教科書では、これらは「同じ物理現象を違う見方で見たもの」という風に書かれています。この問題はビオ・サバールの方です。
 今回(R05年12月期)までは、直線電流1本だけの作る磁界についての問題でしたが、今回は平行に流れる電流2本の作る磁界の合成が出題されました。公式の暗記だけでなく、磁界を「ベクトル」として捉えるようにして下さい。

[1]ビオ・サバールの法則は微分形

 電流が磁界を作ることは、電磁石などで身近な現象ですが、この関係(電流が磁界を作ること)を定量的に表したものがビオ・サバールの法則と、アンペールの法則です。このうち、ビオ・サバールの法則は、Fig.HA0903_a左のような内容です。
Fig.HA0903_a ビオ・サバール=アンペール
Fig.HA0903_a
ビオ・サバールとアンペール
 無限に延びる直線状の電流Tの微小長さdlがあって、そこから距離rの点Pに作られる微小磁界dHは、
 dH=Idlsinθ/(4πr2) …(1)
 と表されます。θは点Pからdlのある部分までを結んだ線と電流がなす角です。
 dHの向きは、電流の向きに進む右ねじを回す向きです。(1)式は、電流上の微小部分の作る磁界です。無限遠に延びる電流のすべての部分が、P点に影響するのですが、当然、最も近くの位置の影響が大きく、距離の二乗に反比例して弱くなります。
 これは、(1)式の分母にr2があることでも明らかですが、同時に、直線ですから、遠くなればなるほどθが0やπに近づき、分子のsinθもほとんど0になります。
 全ての位置の微小電流の影響を「積分」という演算によって重ねあわせ、計算したものがアンペールの法則です。

[2]アンペールの法則は積分形

 アンペールの法則は、電流IからR離れた距離の磁界Hが、
 H=I/2πR …(2)
となるというものですが、これは式(1)をθについてπから0まで積分したものです。具体的な計算は掲載しませんが、電磁気の教科書にはほとんど出ていますので、そちらを参照して下さい。
 「無限に長い直線電流なんて存在しないのに、アンペールの法則((2)式のこと)なんて成り立つのか?」という疑問もあります。確かに厳密には実際の直線電流が作る磁界は(2)式とは違った値になるでしょうが、磁界の強さが電流のある位置からの距離の2乗に反比例するので、無限に長くなくても、そこそこ長ければある精度で近い値になるはずです。

それでは解答に移ります。
 冒頭でも書いた通り、今回の問題は2本の(無限長の)直線電流が作る磁界の、ベクトル的な合成がテーマです。
 A…この選択肢は、(1)式から、[Idl/(4πr2)]sinθです。
 B…図2のP点に生じる磁界は、(1)式を導線全長に亘って積分したI/(2πr)です。
 C…電流XとYに垂直で、点Pを含む面を(この図の)上から眺めると、電流Xによる磁界は(右ねじの法則により)画面の奥向きで、電流Yによる磁界は画面に対し手前向きになりますから反対向きです。
 D…図1のP点では、2本の無限長電流による磁界(の大きさと向き)を求め、それらをベクトル的に合成する必要があります。
 まず、電流XがP点に作る磁界HPXの大きさは、この式(I/(2πr))にr=0.2 [m]、I=8 [A]を代入して、
 HPX=8/0.4π=20/π [A/m]
となります。同様に電流Yが作る磁界HPYの大きさは、  HPY=10/0.4π=25/π [A/m]
となりますが、この問題が問うているのは、両者がP点に作る磁界ベクトルの「大きさ」HPなので、
 HP=|HPX−HPY|=|(20-25)/π|=5/π
となります。従って、解答はと分かります。

 今回は、電流XとYを含む平面内でXとYから等距離にP点があったので、磁界のベクトル合成も加減算だけで済みました。ですが、今後、P点が様々な場所にある問題や、電流の向きが逆、等の様々なバリエーションが出題される可能性がありますので、電界の場合と同様、ベクトルの考え方に慣れ、対処できるようにしておく必要があると思います。