□ R05年08月期 B-02  Code:[HI0802] : 衛星電波を用いた測位システム、周波数・時刻基準の原理と説明
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03/31 R05/04月期問題頁掲載
H3508B02 Counter
無線工学 > 1アマ > R05年08月期 > B-02
B-02 次の記述は、GPS(Global Positioning System)について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。
(1) GPSの各衛星は、地上から高度約20,000 [km]の軌道上を約[ア]周期で周回している。
(2) 測定点の位置は、[イ]の衛星の位置と衛星までの距離から求められる。
(3) その距離は、衛星から発射された[ウ]を測定して計算により求められる。
(4) 測位に使用している周波数は[エ]帯である。
(5) アマチュア局においては、自局が発射する電波に位置情報を重畳したり、通信機や測定器の[オ]基準として利用したりしている。
 6時間  複数  電波を測定点で受信したときの電波の強度  超短波(VHF)  周波数
 12時間  一つ  電波が測定点で受信されるまでの時間  極超短波(UHF) 10 電圧

 今やGPSが軍事用途だと考える人も殆どいないでしょう。カーナビは勿論、スマホの中にも組み込まれ、大変身近な存在になっています。直接アマシュアの通信に使うわけではない(とはいえ、最近はデジタル通信で、送信データに位置情報を埋め込むものもあるようで)のですが、どうすれば正確に自分の位置が求められるのか、電波を使うツールとして知っておくべき、ということで出題されたのでしょう。

[1]GPSシステムの概要

 まず、GPSは衛星を使った測位システムですが、この衛星は「周回衛星」です。つまり、衛星(BS)放送のような「静止衛星(赤道上約36,000 [km]に静止)」とは違い、地球から見た衛星の位置が、時間とともに変化します。
Fig.HI0802_a GPS衛星による測位
Fig.HI0802_a
GPS衛星による測位
 この後で述べるように、衛星を使って自分の位置を求めるには、同時に4機以上の衛星から信号を受ける必要があります。
 そのため、屋外であっても都会の高層ビルの谷間のように、上空が十分に開けていない場所では、見える衛星の数が少なく、測位できない、或いはできても位置精度が悪いことがあります。
 GPS衛星は現在24機、6つの軌道に4機ずつ割り当てられ、山間やビルの谷間でも、なるべく多くの衛星が天頂近くに来るようにしています。
 衛星の周回周期は11時間58分20秒で、約半日です。正確に半日ではないので、個々の衛星は、毎日同じ時刻に観測しても、少しずつ位置がずれて行きます。
 衛星には、正確な原子時計を積んでおり、常に自分の位置と時刻を送信しています。使用している周波数はUHF帯で、1176.45 [MHz]、1227.60 [MHz]、1575.42 [MHz]です。また、この送信周波数は時刻と同様に高精度なので、周波数基準として測定機等の校正に用いることができます。

[2]電波による測位の原理

 それでは、どのようにすればGPS衛星の電波を使って、自分の位置を正確に求めることができるのでしょうか。
 Fig.HI0802_aのように、自分の座標(これを求める)と時刻をP(x,y,z,t)、4機の衛星の位置と時刻をPn(xn,yn,zn,tn)とします(n=1,2,3,4)。この時、n番目の衛星と自分の位置の距離に着目すれば、cを光速として以下の式が成り立ちます。
 
この4つの方程式で、未知なのはx,y,zの3つだけです。n,yn,zn,tnは衛星が送ってくるデータなので正確ですし、受信機が持っている時刻tの情報は正確でないので誤差を含みますが、この連立方程式を解く中で消去されて出てきません。
 つまり方程式が4本あって、未知数が3つですから、連立方程式として解けます。この計算を行って、x,y,z、つまり、自分の位置を求めます。
 衛星が3機しか捕捉できない時でも、xとy、つまり標高を除いて緯度と経度は求められますから、そのように表示するGPS受信機もあります。
 上の連立方程式の中で、cは不変の定数と考えていますが、厳密には、電離層を通過する際に遅くなります。しかも、電離層はその電子密度が場所や時間によって変動するため、電離層の異常現象(磁気嵐やデリンジャ現象)発生の際は、測位誤差が大きくなり、カーナビがズレる、と問題になったりします。

参考資料
古野電機(株)
国立天文台 オフィシャル理科年表

それでは、解答に移ります。
 ア…GPS衛星の軌道周期は、6 約12時間です
 イ…衛星までの距離は2 複数の衛星が捕捉されてはじめて求められます
 ウ…衛星までの距離は8 電波が受信点で受信されるまでの時間で求められます
 エ…測位に使用している周波数は9 極超短波(UHF)帯です
 オ…衛星の周波数は高精度なので、通信機や測定器での5 周波数基準として利用されます
となります。
 なお、GPSの問題は今回が初出題ですが、この内容は衛星測位の基本です。更に測位精度を高める方法、測位衛星は他にも多くあるため、以下のようなキーワードに着目して調べ、将来の出題に備えて下さい。
 ・測位の精度を高める方法…ex.ディファレンシャルGPS(DGPS)
 ・他の測位衛星システム(GNSS)…みちびき(日本)、Galileo(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国) etc.
 ・準天頂衛星…衛星が常時ほぼ天頂付近に来るための軌道の選択
 ・位置、時刻情報の送出・変調方式