□ R05年08月期 A-05  Code:[HB0303] : 交流電源と抵抗とリアクタンスからなる回路網の計算
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03/31 R06/12月期問題頁掲載
03/31 R06/08月期問題頁掲載
03/31 R06/04月期問題頁掲載
03/31 R05/12月期問題頁掲載
03/31 R05/08月期問題頁掲載
03/31 R05/04月期問題頁掲載
H3508A05 Counter
無線工学 > 1アマ > R05年08月期 > A-05
A-05 図に示す、電源がAC100 [V]、負荷が100 [Ω]の回路に重畳した7 [MHz]の高周波電圧を、インダクタLを用いて負荷側で26 [dB]減衰させたい。Lのインダクタンスの値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、log102≒0.3とする。
7/π [mH]
7/(2π) [mH]
4/(7π) [mH]
2/(7π) [mH]
1/(7π) [mH]
問題図 H3508A05a
Fig.H3508A05a

 容量性(コンデンサ)、誘導性(コイル)、抵抗の3つのインピーダンスが直列、並列に組み合わされた回路の合成インピーダンスの問題で、よく出題されます。インピーダンス計算の基本だからでしょう。

[1]複素数計算にチャレンジしてみよう

 2アマまでは実数の世界で何とか解いていましたが、1アマになったら複素数(=実数+虚数 の形の数)計算にチャレンジしてみて下さい。というのも、こういった直列や並列の回路の合成インピーダンスを求める時、複素数でインピーダンスを計算すると、オームの法則だけで解けてしまうからです。2アマの時のようなベクトル計算や直角三角形の1辺の長さを求める公式も(全然無縁なわけではありませんが)使いません。
 ただ、少しだけ面倒なのは、分数で答えが出た時に分母が複素数になってしまった時、実数部と虚数部を明確に分けるため、「通分」のような「正規化」という作業が必要になることです。でも、慣れてしまえば大して難しくはありません。
 この問題では回路の要素(抵抗・コンデンサ・コイル)は3つですが、上に書いたことは、要素がいくつでも使えます。2個や4個になっても、合成抵抗の計算と同じようにやって行けば良いのです。流れる電流も、遅れ位相なのか、進み位相なのか、電流の虚数部を電圧と比較すればすぐに分かります。こんな便利な複素数を使わない手はありません。

[2]複素数を使って解いてみる

 では、具体的に見て行きましょう。回路の要素が直並列、並直列に3つ繋がるパターンはFig.HB0303_aの2種類です。
Fig.HB0303_a 3つのインピーダンスの接続
Fig.HB0303_a
3つのインピーダンスの接続
 3つとも直列、3つとも並列のパターンもありますが、これは別途問題があるので、そこで解いています。
 この図で、Z1〜Z3どれが抵抗・コンデンサ・コイルであるかの組合せは全く任意です。どんな組合せでも合成インピーダンスZは各図の下にある式で表されます。合成抵抗を計算する式と全く同じです。
 Z1〜Z3に、抵抗なら抵抗値R [Ω]を、コイルなら誘導性インピーダンスjXLを、コンデンサなら容量性インピーダンス−jXCを代入します。
 例えば、Fig.HB0301_aの左の回路で、Z1=−jXC、Z2=jXL、Z3=Rだとしましょう。この回路の左半分のインピーダンス、つまり、Z12/(Z1+Z2)を計算すると、
 Z12/(Z1+Z2)=XCL/j(XL−XC) …(1)
この式で、分母にjがあるのは気持ちが悪いので、これを分子に移し(分母と分子に−jを掛ける)、
 Z12/(Z1+Z2)=jXCL/(XC−XL) …(2)
となります。Z3=Rなので、全体のインピーダンスZ [Ω]は、
 Z=R+jXCL/(XC−XL) …(3)
 あとはこれに問題の数値を代入し、複素数の計算をガチャガチャとやるだけです。複素数の計算練習はここではやりませんので、慣れていない方は、同様の問題をいろいろ解いてみて下さい。

それでは、解答に移ります。
 最初に、この問題の趣旨を説明すると、50or60 [Hz]の商用電源ラインに7 [MHz]の高周波電流が混じっていて、それをインダクタで取り除き(減衰させ)たい、ということです。実はこの問題、複素数を使わなくてもデシベルとピタゴラスの定理(も必要ないかも)が分かれば解けてしまいます。
 まず、Lがない時にAC電源両端に生じている7 [MHz]の電圧を仮に1 [V]とします。Lがなければ抵抗の両端に7 [MHz]の電圧はそのままの形で1 [V]かかります。
 この回路に直列にLを入れて、抵抗に掛かる7 [MHz]の電圧が26 [dB]落ちた値、すなわち、
 1 [V]×10-26/20≒0.05 [V] …(A1)
に抑えたい、と言っているわけです。
 さてここで、∠Bが直角の直角三角形ABCを考え、斜辺ACの長さが電源に生じている7 [MHz]の電圧1 [V]、辺ABの長さがLの両端に発生する7 [MHz]の電圧、辺CBの長さが抵抗の両端に発生する7 [MHz]の電圧0.05 [V]とします(ここで、「何故、直角三角形が出てくるの?」という方は、H1212A06の解説等をご参照下さい)。
 上の例で言えば、AC=1、CB=0.05で、ABの長さを求めたいのですが、斜辺ACに対してあまりにも短辺CBが短いので、計算せずともABの長さ≒1と分かります。
 さらにここで、この回路を流れている7 [MHz]の電流はどこでも同じですから、上の三角形ABCの話でAB≒ACだということは、抵抗の両端の7 [MHz]電圧の約26 [dB]倍の電圧が、ほぼLの両端電圧、ということができます。従って、
 2πL×7 [MHz]≒100 [Ω]×1026/20=2 [kΩ] …(A2)
となります。後は、「7 [MHz]で2 [kΩ]の誘導性リアクタンスを生じるインダクタンスLは何 [H]か」という問題になります。(A2)式をLについて解けば、
 L=2 [kΩ]/(2π×7 [MHz])=1/(7π) [mH] …(A3)
となりますから、正解はと分かります。