□ R04年04月期 A-03  Code:[HB0104] : 抵抗からなる回路網の合成抵抗・枝の電流・未知の抵抗値等の計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H3404A03 Counter
無線工学 > 1アマ > R04年04月期 > A-03
A-03 抵抗が図のように接続された立方体の回路において、端子ab間の合成抵抗の値として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、抵抗1個の値をRとする。
(1/6)R
(1/3)R
(5/6)R
3R
問題図 H3404A03a
Fig.H3404A03a

 近年、パズルのような抵抗回路の合成が出題されようになりました。以前に出題されたことがない回路なので、面食らった方も多いと思います。あまり複雑なものは計算時間が掛かりすぎるので、出題されないでしょう。今後も、この問題のように、回路の対称性等に着目して解くものが出題されると思います。

[1]どういう対称性に着目するか

 まず、困るのは、この回路はよく見る平面の回路図と違って「立体」です。立体のままで解ける空間認識能力をお持ちの方は、この解説は必要ないと思いますが、このままではどうしても難しい。
Fig.HB0104_t 各ノードに名称を付ける
Fig.HB0104_t
各ノードに名称を付ける
 ましてや、立体回路図のままで、対称性を見つけろと言われても、対象の軸が見つけられない。そこで、まず、各ノードに、Fig.HB0104_tのように名称を付けます。
 特にこの名称の付け方にコツがあるわけでも何でもありません。考える際に分かりやすければ、ABC…だろうがイロハ…だろうが何でも構いません。
 ついでに、後で対称性の考え方で役立つように、端子a(=ノードA)、端子b(=ノードG)に繋がっている抵抗とそうでない抵抗について、色分けしておきました。

[2]平面回路図に直して考える

 抵抗を、上で述べたように色分けしたのには理由があります。Fig.HB0104_uのように、ノードAとノードGに繋がっている抵抗は3本、B〜Fまではそれぞれ2本です。
 ここで、図のように端子aから電流Iが流れ込み、ab間に電圧Vが発生しているとします。
 ちょっと複雑ではありますが、A点で分かれた3つの電流経路(「枝」と言います)は(ここに使われている抵抗が全て同じ値で)bに至る経路が全て同じなので、AB間、AD間、AE間は3つとも電流値が同じはずです。つまり、ノードAに流れ込んでくる電流がB,D,Eに3等分され、それぞれの枝にはI/3が流れるはずです。
 さらに、ノードB,D,Eから先はやはり同じ経路が2本ですから、BC間、BF間、DC間、DH間、EF間は全てI/3の1/2、つまりI/6が流れるはずです。
Fig.HB0104_u 各経路の電流を求める
Fig.HB0104_u
各経路の電流を求める
 ここで、全ての抵抗の値がRで、AB間、BC間、CG間にそれぞれ発生する電圧IR/3、IR/6、IR/3の和がVに等しいことから、
 IR/3+IR/6+IR/3=V …(1)
 ∴ V=5IR/6 …(2)
ここで、端子ab間の合成抵抗をRabとすると、端子ab間に電圧Vが掛かり、電流Iが流れているのでRab=V/Iです。従って、(2)式の両辺をIで割って、
 Rab=V/I=5R/6 …(3)
と求められます。従って、正解はと分かります。
 もう一つの考え方は、対称性による電位差に着目する方法です。Fig.HB0104_uを見ると、G点を基準に、B、D、Eは全て同電位、C、F、Hも同電位であることが分かります。ならば、BDEを繋いで一つのノードに、また、CFHも繋いで一つのノードにしてしまうことができます。こうしてしまえば、この回路全体が、
 A−BDE間 … R/3
 BDE−CFH間 … R/6
 CFH−G間 … R/3
で、これらがすべて直列になったもの、と見ることができます。こうなれば、暗算で、5R/6であると求められます。

 立体なので、従来の他の問題のように、平面図にすればすぐに対称性が分かる、というわけではありませんが、全ての電流経路が同じ、ということが分かれば、電流を仮定して解くことができます。