□ R02年12月期 A-10  Code:[HD0304] : ハートレー回路で、共振回路のコンデンサ容量変化時の周波数の変化率計算
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H3212A10 Counter
無線工学 > 1アマ > R02年12月期 > A-10
A-10 図に示すトランジスタTrを用いた原理的なコルピッツ発振回路が、1/π [MHz]の周波数で発振しているとき、コイルLの自己インダクタンス[H]の値として、正しいものを下の番号から選べ。
1.00 [mH]
1.25 [mH]
1.50 [mH]
2.00 [mH]
2.50 [mH]
問題図 H3212A10a
Fig.H3212A10a

 ハートレーは出題されたことがありますが、コルピッツは今回(2020年12月期)初めてではないかと思います。どちらも、共振回路の共振周波数を求める式が分かれば、容易に解答できると思います。
 下記の解説は、従来の設問に対するものですが、発振周波数を求める計算式が出ていますので、、解答文を参考にして下さい。

[1]共振回路の共振周波数を求める式と部品の定数変動

 ハートレーでもコルピッツでもインダクタンスL [H]のコイルと容量C0 [F]のコンデンサで組まれた発振回路の発振周波数f0 [Hz]は、これらのLとCで組まれた共振回路の共振周波数そのもので、次のように決まります。
 0=1/2π√LC0 …(1)
一方、ここでは、コンデンサの容量が変化してC1になったと言っているので、このときの発振周波数をf1 [Hz]とすると、
 f1=1/2π√LC1 …(2)
となります。

 問題が要求しているのは、周波数の変化率k [%]ですから、
 k=(f1/f0−1)×100
  ={√(C0/C1)−1}×100…(3)
となります。この値が正なら周波数は上がり、負なら下がることになります。

 ところで、、√の中はLとCに対して対称ですから、たとえば、Lがk [%]変動したとしても周波数の変化率は同じです。

[2]雑談…温度補償用コンデンサ

 セラミックコンデンサのカタログを見ると、「温度補償用」という一群の製品があります。これらは、温度係数が一定の値で、いろいろなものの係数があって選べるようになっています。要するに、温度係数を添加物などで制御して製品としています。
 普通に考えると、温度で変化しない方がいいに決まっているのに、なぜこのような「わざと温度変化する部品」が存在するかと言うと、これは共振回路の「相方」であるコイルの温度変化を打ち消すためです。例えば、温度が20℃変化して、Lが0.95Lに減少したとすると、Cは逆に、1.053Cになれば、√の中はほぼ一定ですから、発振周波数に変化はありません。
 しかしながら、これはまだまだ水晶発振子が高価だった頃の話で、LC発振器でそこまでシビアな設計をするくらいなら、水晶発振子で設計した方が何かと楽だ、という時代になってきました。最近では(温度係数がほぼゼロのものを除き)あまり温度補償用コンデンサに需要がある、という話を聞いたことがありません。

それでは、解答に移ります。
 上記の解説は、「部品の定数に誤差が出た場合の発振周波数の変化」に対するものですが、今回の問題で問われているのは、発振周波数そのものです。上記にあるように、ハートレーでもコルピッツでも、発振周波数を求める式は同じで、LC共振回路の共振周波数と同じになります。
 ただ、今回の問題のように、コルピッツでコンデンサが2個に分かれている(普通はそうなっていますが)ので、その合成容量が(1)式のC0になります。コンデンサは、「直列」です。その点にだけ、ご留意下さい。
 (1)式をLについて解いた、
 L=(2πf0)-2/C0 …(a)
にf0=1/π [MHz]、C=1/(1/400+1/400)=200 [pF]を代入して
 L=(2×106)2/(200×10-12)=1.25×10-3 [H]=1.25 [mH]
となるので、正解はと分かります。