□ R01年12月期 A-18  Code:[HG0706] : 鉛蓄電池の浮動充電方式の動作と特徴
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H3112A18 Counter
無線工学 > 1アマ > R01年12月期 > A-18
A-18 次の記述は、鉛蓄電池の浮動充電方式について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) 鉛蓄電池と負荷は、[A]。
(2) 通常、充電は[B]行われる。
(3) 停電などの非常時において、鉛蓄電池から負荷に電力を供給するときの瞬断が[C]。


停電時に接続する 間欠的に ない
停電時に接続する 常時 ある
常時接続されている 常時 ある
常時接続されている 常時 ない
常時接続されている 間欠的に ある

 これまで(2019年12月期)に、浮動充電(フローティング充電とも呼ぶ)方式についての出題は、見つかりませんでしたので、取上げます。原理を知っていれば、難しくはない問題です。UPS(無停電電源)の常時・停電時の切り替え方式をご存知の方なら、連想で解けると思います。

[1]浮動充電方式とは何か

 商用電源から電力の供給を受ける、直流動作の装置で、停電時もある程度連続して動かす必要のあるものは、バッテリー(二次電池)を備えます。
 このとき、バッテリーは停電に備え、常に充電しておく必要がありますが、いざ、停電した時には商用電源からバッテリーに供給源を切換える機能を持たなくてはなりません。
 その方式の一つが浮動充電方式と呼ばれるものです。なお、この問題でのバッテリーは鉛蓄電池ですが、原理的には二次電池であれば何でもよいことになります。ただ、鉛蓄電池は(この後に述べるように)この用途に適していることから、浮動充電方式にはよく使われます。
 まず、商用電源の通電(平常)時は、Fig.HG0706_a上のように、電源からバッテリーの充電電流と負荷電流を供給します。
Fig.HI0706_a  鉛蓄電池の浮動充電方式
Fig.HG0706_a
鉛蓄電池の浮動充電方式
 バッテリーと負荷は電源に対して並列に接続されているので、電源は常時バッテリーを充電(満充電に達した後は、自己放電分の補充)と負荷の動作を担います。
 停電になると、Fig.HG0706_a下のように、電源からは電力が供給されなくなりますから、自動的にバッテリーが供給源となって、負荷に電流を流し続けます。

[2]停電時の切替え動作

 この方式では、通電時停電時を切替えるスイッチ等はありませんので、負荷に供給される電力に瞬断はありません。もちろん、復電時も同じです。リレー等の機械的な接点を持つものも、半導体スイッチのような無接点のものでも、切替えにはゼロでない時間を要しますので、この方式は有利です。

[3]この方式の得失

 実際に、このシステムの電源回路を設計することを考えると、得失が分かります。
 まず、メリットは、上に書いたように、停電・復電に際して負荷に瞬断が生じません。一瞬でも供給途絶が許されない装置にとっては、この性能は必須です。
 それから、これは鉛蓄電池の特徴との組合せで生じるメリットですが、バッテリーは常時満充電されているので、バッテリーが長持ちします。最近はリチウムイオン電池を使った非常用電源装置もありますが、リチウムイオン電池では、満充電のまま長時間置くと、寿命を縮めます。
 一方、電源の最大出力は、バッテリーの最大充電電流+負荷電流になり、負荷だけを動作させればいい場合に比べて大きく設計する必要があります。負荷が軽くてバッテリーが大きいシステムだと、殆どの時間、電力をわずかしか食わないバッテリーの補充充電+負荷の動作のために、容量の大きな電源が必要になります。
 また、停電時は、電源にとっては逆流になりますから、逆流防止の回路が必要になります。

それでは解答に移ります。
(1) 鉛蓄電池と負荷は常時接続されている方式です
(2) 充電は、常時行なわれます
(3) 停電時、鉛蓄電池から負荷への切替において瞬断がないことが特徴です
となりますから、が正解と分かります。