□ H28年04月期 B-05  Code:[HJ0204] : 指示電気計器の測定原理、特徴、記号等との対応
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2804B05 Counter
無線工学 > 1アマ > H28年04月期 > B-05
B-05 次の記述は、各種形式の指示電気計器の特徴について述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2として解答せよ。
可動鉄片形計器は、実効値を指示し高周波電流の測定に適している。
永久磁石可動コイル形計器は、直流電流の測定に適している。
電流力形計器は、電力計としてよく用いられる。
整流形計器は、永久磁石可動コイル形電流計と整流器を組み合せて構成される。
熱電対形計器は、交流直流両用で、波形に関わらず平均値を指示する。

 デジタル全盛の時代にあっては、アナログメータの原理などはあまり学ぶ機会もなく、物もなかなか身近にはありませんが、まだまだ試験には出ますので、簡単に学んでおきましょう。

[1]各計器の構造と動作原理

 表にまとめてみました。構造を文章で説明しているので、分かりにくいかもしれません(単に絵を描くのが面倒だっただけ)。想像を働かせてみてください。
名 称 交流/直流 目盛 構造・特徴
可動コイル形 直流用 均等 永久磁石で作られた磁界中に、回転軸を持つ枠型の可動コイルを置く。コイルに流れる電流に比例したトルクと渦巻きバネとの釣合いで電流を指示する。
整流形 交流用 均等
平均値
整流器(ダイオード)と可動コイル形電流計の組合せ。原理的には平均値を指示するが、目盛りは実効値に換算してある。正弦波交流以外(ひずみ波)では誤差が生じる。
誘導形 交流用
均等
実効値
コイルで生成した交流磁界の中に、アルミニウム等の回転できる円盤を置き、円盤に生じるうず電流と磁界による回転力とバネの釣合いで電流を指示する。(バネのないものは積算電力計として回転量が電力を示す)
熱電対形 交直両用 2乗 熱電対と可動コイル形指示器の組合せ。熱線に熱電対を接触させておき、測定電流を熱線に流して温度上昇に応じた熱起電力で指示器を振らせる。交流に使用した時は、実効値を指示。高周波まで測定可能。
可動鉄片形 交直両用 均等 測定電流を流すコイルの中に鉄片を入れて固定し、対向する別の鉄片を可動にしてバネを取り付けた構造。電流を流すとその量に応じて鉄片が同じ方向に磁化されて反発する力をバネでつり合わせて指示する。零付近では目盛りが均等にならない。低周波の交流用。交流に使用した時は、実効値を指示。
電流力形 交直両用 2乗 可動コイル形電流計の永久磁石を、測定電流の流れる固定コイルで構成した構造。回転トルクは固定コイルの作る磁界と可動コイルの作る磁界の積で、電流の2乗に比例するので、2乗目盛りになる。一方に電圧に比例した電流を、他方に回路電流を流せば電力計となる。交流に使用した時は、実効値を指示。
静電形 交直両用 2乗 回転軸を一にする、固定電極とバネの繋がった回転電極の間に被測定電圧を掛ける。電極間に働く静電力とバネ力の釣合いで指示する。交流に使用した時は、実効値を指示。
上記を読んでお分かりかもしれませんが、計器自体の測定対象が、「電流」を測るのか「電圧」を測るのか、という分け方もあります。しかし、電流がほとんどで、電圧で測るのは静電形のみです。これは、指示器の駆動力に磁力を用いたものがほとんどで、静電気力(電荷の間に働く力)を利用したものが静電形だけだからです。
 可動コイル形計器を使った電圧計だってあるじゃないか、と言われるかもしれませんが、これは、わずかな電流で振れる計器に「倍率器」という高抵抗を計器に直列に入れ、あたかも「電圧」を測定しているかのように見せているだけです。実際には、計器を振らせる電流がマイクロアンペアオーダーとはいえ、(かかる電圧に比例して)流れているのです。

それでは、解答に移ります。
 …可動鉄片形は低周波の交流用なので誤った記述です
 …永久磁石可動コイル形は直流計器なので正しい記述です
 …電流力形計器は電流と電圧の積=電力を指示できるので正しい記述です
 …整流形計器は整流器と直流用の可動コイル形電流計を組み合わせて交流電流を測れるようにしたものですから正しい記述です
 …熱電対形計器は交直両用ですが、実効値を示すので誤った記述です
となります。