□ H20年12月期 A-08  Code:[HC0405] : FET増幅回路の種類の名称と、各々の特性の対応
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2012A08 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年12月期 > A-08
A-08 次の記述は、FET増幅回路について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) FET増幅回路は、ソース接地、ドレイン接地、及びゲート接地の三つの方式がある。
(2) ソース接地増幅回路は、バイポーラトランジスタの[A]接地増幅回路に相当し、最も多く用いられている。
(3) ドレイン接地増幅回路の電圧増幅度は1より小さいが、出力インピーダンスが[B]ので、インピーダンス変換回路に用いられる。
(4) ゲート接地増幅回路は、出力側から入力側への帰還が[C]ので、高周波増幅に適している。


エミッタ 大きい 多い
エミッタ 小さい 少ない
エミッタ 大きい 少ない
コレクタ 小さい 少ない
コレクタ 大きい 多い

 トランジスタにも足が3本あり、それぞれを接地する方式の回路が3種類ありますが、FETにも同様に3種類の接地方式があります。トランジスタと同じ、とは書いたものの、FETでのそれぞれの接地方式には、具体的には以下のようになります。記号はMOS FETで書いていますが、接合形でも原理は同じです。

[1]ドレイン接地回路

 ドレイン接地回路は、ソースフォロワと言った方がなじみが深いかもしれません。
 トランジスタ回路で言う、エミッタフォロワとほぼ同じ動作をします。ミラー効果が無視できるので、周波数特性は良好ですが、ソース接地と同様、出力インピーダンスは負荷抵抗と同じになるので、これまた負荷抵抗はあまり大きくできません。電圧利得の上限は出力インピーダンスの条件と電圧振幅が取れるかどうかで決まります入出力の位相は同相です。
 また、図からわかるように、ゲートよりも電位が低いので、電圧利得は1より小さくなります。
 入力インピーダンスは、元々FETのゲートに入力するので高く取れます。緩衝増幅器(バッファ)として主に用いられます。
Fig.HC0405_a ドレイン接地回路の構成
Fig.HC0405_a
ドレイン接地回路の構成
 Fig.HC0405_aの左は原理図、です。実際の回路では同図右側のように設計します。ドレインは交流的に接地ですが、電源に接続されている、ということは電位的には一定(交流的に接地)ですので、その役割を果たします。

[2]ソース接地回路

 ソース接地回路はトランジスタ回路で言う、エミッタ接地とほぼ同じです。
Fig.HC0405_b ソース接地回路の構成
Fig.HC0405_b
ソース接地回路の構成
 負荷抵抗RLを大きく取って、電圧利得を大きくすると、ミラー効果が大きくなりますので、他の接地方式と比べて、周波数特性はあまり良くはなりません。出力インピーダンスは負荷抵抗と同じになるので、これまた負荷抵抗はあまり大きくできません。入出力の位相が逆になるのも電圧利得が1より大きく取れるのもエミッタ接地と同じです。
 一方、入力インピーダンスはトランジスタと違い、FETの特性で決まりますので、高くなります。
 Fig.HC0405_bの左はバイアス回路などを除いた原理図ですが、実際の回路では同図右側のように設計します。
 ソースは交流的に接地ですが、C3がその役割を果たします。

[3]ゲート接地回路

 ゲート接地回路は、トランジスタ回路で言うベース接地回路に当たります。他の2つと異なり、電流が流れるソースに入力しますので、入力インピーダンスは低くなります
 また、ゲートが交流的に接地されているので、ミラー効果は原理的に発生せず、周波数特性は良好です。負荷抵抗RLを大きくすることで、電圧利得を大きくすることができます
 Fig.HC0405_c左が原理図です。実際の回路では同図右側のように設計します。ゲートは交流的に接地ですが、C1がその役割を果たします。
Fig.HC0405_c ゲート接地回路の構成
Fig.HC0405_c
ゲート接地回路の構成

それでは、解答に移ります。
 …ソース接地回路はトランジスタのエミッタ接地に相当します
 …ドレイン接地回路の出力は小さいインピーダンスです
 …ゲート接地回路は、出力から入力への帰還量が少ない構成です
となりますから、正解はと分かります。