□ H20年08月期 B-02  Code:[HC0103] : フォトトランジスタの特徴とフォトダイオードとの比較
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2008B02 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年08月期 > B-02
B-02 次の記述は、ホトトランジスタについて述べたものである。このうち正しいものを1、誤っているものを2として解答せよ。
図記号においてaは、エミッタ電極である。
ホトダイオードと比較すると発振作用があり、低感度である。
一般に、ベース電極を設けず2端子素子として使用される。
光電読取り装置や光継電器(光リレー回路)などに使用されている。
ホトトランジスタと発光ダイオードを組合せて、一つのパッケージに入れたものを、ホトカプラやホトインタラプタという。
問題図 H2008B02a
Fig.H2008B02a

 フォトトランジスタは、アマチュアの電子工作ではあまり使うことはありませんが、市販の無線機の中には、VFOダイヤルの回転を読み取る、オートアンテナチューナのバリコン回転リミットを検出する、などのところ(ロータリーエンコーダ)にフォトカプラとして使われている可能性があります。それでは動作を見て行きましょう。

[1]フォトトランジスタの働きはどんなもの?

 ずばり、光の強さを電流の強弱に変換する素子です。「ならばフォトダイオードと同じでは?」と思われますが、この後で述べるように、フォトトランジスタにはフォトダイオードにはない、増幅作用があります。このため、いろいろなところで使われています。

[2]フォトトランジスタにベース電極はない

 問題図の回路図記号を見ていただくとわかりますが、フォトトランジスタにベース電極はありません(ベース以外のコレクタやエミッタは普通のトランジスタと同じです)。「ベース電極がないのにトランジスタとは?」と思いますが、実はベースに相当するものは、入射する光です。
 フォトトランジスタのベースの部分だけに光が当たるようにします。半導体に光が当たると、光のエネルギーを得た電子が導電帯に飛び出し、自由電子と正孔ができます。これが、普通のトランジスタで言うベース電流の代わりをして、発生した電子−正孔対よりもはるかに大きい電流がコレクタに流れるのです。
 問題図で言うと、コレクタに正電圧の電源に繋ぎ、エミッタを接地するとベースに当たる光の入力に応じて、コレクタからエミッタに電流が流れます。この電流の大きさが、入射した光の強さに比例するわけです。

[3]発光ダイオードと組み合わせて「フォトカプラ」

 このフォトトランジスタと発光ダイオードを1つのパッケージに入れて、外から光が入らないようにしたものを、フォトカプラ(Fig.HC0103_a上)といいます。
Fig.HC0103_a 発光・受光素子の組合せ部品
Fig.HC0103_a
発光・受光素子の組合せ部品
 このデバイスは、入力側と出力側が電気的に繋がっていません。つまり、相互に絶縁されていますから、出力側にモーターなどのノイズの多い負荷が繋がる場合や、電源電圧が大きく異なる場合など、ノイズの混入を防いだり、事故があっても入力側に過電圧がかからないようにする、などの目的で多用されています。
 また、似たようなものに、フォトインタラプタ(Fig.HC0103_a下)というものもあります。これはパッケージは1つですが、光路を物理的に遮ることができるようになっていて、メカ的に動く物が所定の場所を通ったか、検出する回路に用いられます。
 フォトカプラもフォトインタラプタも、受光側でスイッチする電流を大きく取りたい場合は、トランジスタをダーリントン接続して電流増幅度を稼ぎます。
 冒頭で述べた、ロータリーエンコーダは、放射状の縞模様を蒸着したガラス円板などをこのフォトインタラプタで挟み、回転とともに光が断続されることを利用して回転角度を検出する仕組みの部品です。

それでは、解答に移ります。
 …aは普通のトランジスタと同様コレクタなので2誤り
 …フォトトランジスタには発振作用はない上、高感度なので2誤り
 …ベースに代わるのが光で、電極は設けないので1正しい
 …光センサとして用いるほか、ON/OFFリレーとして用いるので1正しい
 …発光素子と組合せ、位置検出センサ等に用いるので1正しい
となります。