□ H20年08月期 A-06  Code:[HC0104] : トランジスタと電界効果トランジスタの図記号とバイポーラ・MOS形の判別、性質
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2008A06 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年08月期 > A-06
A-06 次の記述は、図に示す半導体素子について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
問題図 H2008A06a
Fig.H2008A06a
図1は、接合形トランジスタのPNP形である。
図2は、接合形FETのNチャネル形である。
図1は、ユニポーラ形、図3はバイポーラ形トランジスタである。
図3は、MOS形FETのNチャネルエンハンスメント形である。
図2と図3のFETをソース接地増幅器として用いるとき、入力インピーダンスが高いのは、図3のFETである。

 最近は、バイポーラトランジスタ(以下、単にトランジスタ)よりも電界効果トランジスタ(以下、FET)の方が新製品が多いような気がします。電源(スイッチング電源)からインバータの制御まで、また、高周波電力増幅もそうですが、大きめの電力を扱うところには低周波から高周波までFETが全盛です。

[1]トランジスタとFETの回路記号

 トランジスタとFETは「増幅素子」であるという点では共通していますが、その動作は全く異なります。
Fig.HC0104_a トランジスタとFETの回路記号
Fig.HC0104_a
トランジスタとFETの回路記号
 また、FETの中にも、動作特性によって分類があります。また、トランジスタではNPNとPNP、FETではNチャネル形とPチャネル形、という分類があって、それぞれ回路図記号が違います。
 まずその違いをFig.HC0104_aにまとめておきました。問題では、少しだけ特性についても問われているので、ここでも特性ごとに分類して、次の項に簡単に説明しておきます。詳しい動作の説明は、それぞれの素子の問題と解答で行なっています。

[2]トランジスタとFETの機能と分類

 まず、広義のトランジスタは大きく2種類に分けられることは御存知かと思います。(バイポーラ)トランジスタとFETです。
 FETはさらにその構造により、接合形とMOS形に分けられます。さらに、MOS形はその電気的動作によって、デプレッション形とエンハンスメント形に分けられます。以下に、特性による簡単な分類を表にしてみました。

バイポーラ
トランジスタ


ベースに流れる電流でコレクタに流れる電流を制御する。エミッタ接地の場合、入力インピーダンスは低い。
電界効果
トランジスタ
接合形
ゲートにかける電圧でチャネルに流れる電流を制御する。ゲートとチャネルがPN接合になっているため、入力インピーダンスはMOS形ほど高くない。
MOS形 デプレッション形
ゲートにかける電圧でチャネルに流れる電流を制御する。ゲートとチャネル間には酸化膜があり、完全に絶縁されているため、入力インピーダンスは非常に高い。
ゲートに電圧をかけなくてもチャネルには電流が流れるが、これをゼロにするには、逆バイアスの電源が必要。
エンハンスメント形
構造はデプレッション形と同じだが、ゲートに電圧をかけない時はチャネルに電流はほとんど流れない。電流をゼロから制御するのに逆バイアス電源が不要なので、最近よく用いられる。
 
 上記の観点の他、N形半導体、P形半導体の違いによるPNP/NPN(トランジスタの場合)やNチャネル/Pチャネル(FETの場合)という分類があります。

それでは、解答に移ります。
 まず、どれがどの素子か、明確にしておきます。図1のトランジスタはPNP形、図2のFETはNチャネル接合形、図3がNチャネルMOS FETでエンハンスメント形です。
 …図1のトランジスタはPNP形なので正しい記述です
 …図2のFETはNチャネル形なので正しい記述です
 …図1がバイポーラTrで図3はFETでユニポーラなので誤りです
 …図3がNチャネルMOS FETでエンハンスメント形ですので正しい記述です
 …接合形よりMOS形の方がインピーダンスは高いので正しい記述です
となりますから、正解(誤った記述)はと分かります。