□ H20年04月期 A-15  Code:[HF0505] : FM受信機のスレッショルドレベルの定義
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H2004A15 Counter
無線工学 > 1アマ > H20年04月期 > A-15
A-15 次の記述は、FM受信機の限界レベル(スレッショルドレベル)について述べたものである。このうち正しいものを下の番号から選べ。
目的とする周波数以外の周波数に対する受信機の感度の特性をいう。
受信機の振幅制限回路が動作する限界の受信入力レベルをいう。
受信機の入力レベルを小さくしていくと、ある値から急激に出力の信号対雑音比(S/N)が低下する現象が現れる。このときの受信入力レベルをいう。
受信信号の入力レベルに対する局部発信器の出力レベルが、最大の信号対雑音比(S/N)を得るために必要なレベルをいう。

 FMでモービルなど移動体と交信された方は経験がおありがあると思いますが、FMでは、信号が弱くなると急激に信号対雑音比(S/N)が落ちます。

[1]FM受信時の特性…電界強度とS/N

 AMやSSB,CWといった振幅変調系の電波形式では、搬送波の振幅の変化がそのまま復調波の振幅ですから、S/Nも受信電界強度に(ほぼ)比例します。つまり、信号が弱ければS/Nが悪く、強くなればS/Nは上がります。
Fig.HF0505_a FM波の受信電界強度とS/N
Fig.HF0505_a
FM波の受信電界強度とS/N
 一方、FMは「周波数の変化が振幅の変化」となって復調が行われる変調形式ですから、信号が弱いからといって急激にS/Nが悪くなることはないと考えますが、現実にはあまり弱い信号では殆ど受信できないほどのノイズに埋もれてしまいます。
 Fig.HF0505_aにその概念を示します。なぜこのような振る舞いになるかは後回しにして、この特徴を把握します。まず、信号が十分強い間はS/Nは信号が強くなるほど良くなるのは、定性的には振幅変調系と同じです。ところが、あるレベル以下になると、急激にS/Nが悪化します。
 この境目となる「あるレベル」をスレッショルドレベル(閾値)といい、FMの復調に特徴的なものです。

[2]なぜスレッショルドレベルが存在するのか

 これは陸技以上の内容ですが、興味があったので調べてみました。数式抜きで、定性的に説明してみようと思います。
 FM受信機に信号波fsと妨害波fnが同時に入感しているとします。両者は周波数も位相も異なりますが、FM検波回路は、これらの信号の合成したものに対して検波出力を生じます。
 FM検波器は合成波の瞬時周波数に比例した出力を生じますが、fsとfn振幅がたまたま等しく、位相差がたまたまπ [rad]になった瞬間に、非常に大きなパルス(原理的には無限大)が発生します。現実には無限大の振幅はあり得ませんし、sとfnの振幅や位相がぴたりと条件に合うことも確率的には低いのですが、ぴたりと条件に合ったときだけ、大きなパルスが出るのではなく、これらの条件が「少しずれただけ」の場合にも、相当大きなパルスが検波出力に現れるからことは面倒です。
 相手がノイズであることを考えると、周波数も位相も常に変化していますが、信号のレベルや周波数に近い成分が「全くない」ことは逆にあり得ず、常にこれらがランダムに検波出力に大きなパルスを発生させている、と考えることができます。
 これこそが、あのスケルチレベルを下げてゆくと現れる「ザー」という大きなノイズの成分なのです。

それでは、解答に移ります。
 …これは選択度の定義なので、誤った記述です
 …スレッショルドレベルは振幅制限回路とは無関係なので誤った記述です
 …これがスレッショルドレベルの正しい定義です
 …スレッショルドレベルは局部発信器の出力と無関係なので誤った記述です
となりますから、正解はと分かります。