□ H19年08月期 A-10  Code:[HD0303] : トランジスタ発振回路の発振条件と3つのリアクタンス成分の関係、発振周波数の計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1908A10 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年08月期 > A-10
A-10 図は、3端子接続形のトランジスタ発振回路の原理的構成を示したものである。この回路が発振するときのリアクタンスX1、X2及びX3の特性の正しい組合せを下の番号から選べ。

1 2 3
誘導性 容量性 誘導性
誘導性 誘導性 容量性
容量性 容量性 容量性
容量性 誘導性 誘導性
問題図 H1908A10a
Fig.H1908A10a

 この問題くらい暗記するのが簡単で、理屈を追究し始めると奥深い問題はありません。一度でいいから、なぜそうなるのかを調べてみたかったので、やってみました。こんな導出をいちいちやっていられないので、試験に臨んでは暗記するしかないでしょう。

[1]リアクタンスだけを取り出して考えてみよう

 まず、(a)のように電圧を取ります。この取り方は、エミッタをコモンにしていないので、ちょっと違和感があるかもしれませんが、まずはこう置いてみてください。交流を扱いますから、ここで出てくる電流や電圧は全て複素数です(脅かしたわけではありません。四則演算しか出てきませんので、御安心を)。また、1〜X3は純リアクタンス(損失のないコイルやコンデンサ)であるとします。
 次に、発振状態での回路を考えます。
 この発振回路が一定の振幅で発振している(定常状態にある)とき、現実の回路ではLやCに損失があるので、トランジスタから(図示されていない)電源を通じて損失分を補うだけのエネルギーが供給されます。
Fig.HD0303_a 発信機の原理的回路図と各部の電圧ベクトル
Fig.HD0303_a
原理的回路図と各部の電圧ベクトル
 しかし、ここでのLやCは損失のない理想的な素子であると考えたので、トランジスタから各素子へは電流が流れないことになります。

[2]キルヒホッフの法則と正帰還がかかっていることがカギ

 すると、回路はFig.HD0303_aの(b)のように書けて、この回路にゼロでない電流が流れているとします。この時、キルヒホッフの第2法則により、
1+v2+v3
 =123
 =(X1+X2+X3)=0 …(1)
ここで、≠0だから、
 1+X2+X3=0 …(2)

 ここでもう一つ、X1〜X3の関係を求めるために、「回路が発振している」という時の、重要な手がかりがあります。それは、「正帰還がかかっている」ということです。
 (b)の回路で、正帰還がかかっている、とは、2とv3のベクトルが同じ向き(同位相)であることです。(v3はエミッタを基準に取ると逆位相になることに注意して下さい。)
 自分でもなんとなく分かった気になっていますが、なぜ正帰還がかかっているとv2とv3のベクトルが同じ向きなのか、は納得できる説明が現時点でできません。考えさせて下さい。
 さて、(1)式から、これをベクトル図に表すと(c)図のようになります。(c)図では、電流に対してv2とv3が進んでいて、v1が遅れていますが、この逆も可能です。この図と上の(2)式から、
  1 = −(X2+X3) (X2とX3は同符号) ……(3)
となります。

 式で書くと意味がよく分かりませんが、以下の規則に従えば発振する、ということです。
[規則その壱]
2とX3は同じ種類のリアクタンス(X2がコイルならX3もコイル、X2がコンデンサならX3もコンデンサ)でなければならない。
[規則その弐]
1とX2は異なる種類のリアクタンス(X1がコイルならX2はコンデンサ、X1がコンデンサならX2はコイル)でなければならない。

それでは、解答に移ります。
 この規則に選択肢を当てはめて考えれば、X1のみが他と異なるのはだけで、これが正解と分かります。
 この選択肢の組み合わせは、試験のたびに組替えて出題されるようですので、1の位置に来るリアクタンスのみが他と異なる、と覚えておけばよいでしょう。
 ちなみに、X<0が容量性リアクタンス、X>0が誘導性リアクタンスです。