□ H19年04月期 A-25  Code:[HJ0501] : P型電子電圧計の構成(文章)
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2022年
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09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1904A25 Counter
無線工学 > 1アマ > H19年04月期 > A-25
A-25 次の記述は、P形電子電圧計について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
 P形電子電圧計は、[A]電圧の測定に用いられ、プローブと呼ぶ[B]と[C]などを利用した指示部で構成される。

高周波 発振部 交流電流計
高周波 検出部 直流電流計
高周波 変調部 直流電流計
直流 発振部 交流電流計
直流 検出部 直流電流計

 P形電子電圧計は、高周波電圧の測定に用いられる測定器です。P形のPは、高周波を整流した値でピークを読むものだから、とされています。

[1]P形電子電圧計の構成と動作

 P形電子電圧計の構成例をFig.HJ0501_aに示します。大きく分けて、本体プローブに分かれています。直接信号に当たるのは、プローブの部分で、値を読み取るのは本体の方になっています。
Fig.HJ0501_a P形電子電圧計の構成
Fig.HJ0501_a
P形電子電圧計の構成
 測定対象が高周波なので、本体とプローブが分離している、ということは、プローブで受けた信号に何らかの処理をして、本体に渡している、ということです。
 プローブから入ってきた高周波信号は、一旦、高周波増幅回路で緩衝増幅(バッファ)された後、整流と平滑(検波)に入ります。上に書いた「何らかの処理」というのは、P形電子電圧計の場合、この整流と平滑になります。
 要するに、ここでほとんど直流に変換されるわけです。この信号をケーブルに送り出す前に1段増幅して、本体に伝えます。周波数が低くなれば、プローブと本体が多少離れていても、伝送に問題はなくなりますので、このようにしています。
 本体の方では、プローブから送られてきた信号を表示する、表示機能とともに、電源やレンジ切替などの機能を受け持ちます。
 なお、P形電子電圧計の計測(周波数)範囲は、直流〜数100 [MHz]程度のものが一般的です。

[2]高周波測定器の特徴…アクティブプローブ

 この例のように、プローブ内で信号を増幅したり何らかの処理をする機能を持っているプローブを、アクティブプローブといいます。特徴的なのは、能動素子を搭載しているため、電源が必要で、多くは本体側から電源線を引っ張ってやる必要があることです。
 最近では、GHz帯域を持ったデジタルオシロスコープなども、アクティブプローブを持っていて、プローブ先端に広帯域増幅器を積んでいるものが多くなりました。なぜこのようプローブ内部で増幅するような面倒?な構成を取っているのでしょうか? そのままケーブルで本体まで持ってきてはいけないのでしょうか?
 測定器という性格を考えてみましょう。測定器は、被測定回路に影響がなるべく及ばないものになっていなければなりません。例えば、テスターで電圧を測定する時、テストリードを当てない時には10 [V]だった電圧が、テスターで測定したら5 [V]になってしまったとしたら、何のための測定か分かりません。ですから、テスターではなるべく高い入力インピーダンスになるよう、倍率器の抵抗を大きくしたり、高インピーダンスアンプで受けたりして、被測定回路に影響が及ばないようにしているのです。
 高周波を測定する時には、インピーダンスの問題がもっと顕著になります。例えば、測定点から、信号を何もせずに同軸ケーブルやシールド線といった電線で持ってこようとすると、これらのインピーダンスは数10〜数100[Ω]ととても低く、被測定回路の電圧は(パワーアンプでもない限り)ほとんどなくなってしまい、正常に動作しなくなるでしょう。また、インピーダンス整合の問題もありますから、測定相手のインピーダンスが分からない状態では、手の施しようがありません。
 そこで、増幅回路を積んだプローブで、一旦高インピーダンスで受けておいて、インピーダンス変換した後に本体まで同軸ケーブルで送出する、あるいは、実時間波形を観測する必要がない(この問題のような)電圧計では、直流に直し(整流し)てから本体に送る、という方法が取られるわけです。

それでは、解答に移ります。
 …P形電子電圧計は高周波電圧の測定に用いられます
 …プローブは検出部ということになります
 …本体の読み取りには直流電流計を用いることができます
となりますから、正解はと分かります。