□ H18年12月期 A-02  Code:[HA0202] : 静電気の一般的知識(クーロンの法則・摩擦電気・静電誘導等)
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1812A02 Counter
無線工学 > 1アマ > H18年12月期 > A-02
A-02 次の記述は、静電気について述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
摩擦によって両物体に生じた正負の電荷は等量である。
電荷の単位には、クーロン[C]を用いる。
二つの電荷の間に働く力の関係は、クーロンの法則で表される。
ガラス棒を絹布でこすると、絹布は正、ガラス棒は負に帯電する。
正に帯電している物体aに、帯電していない物体bを近づけると、bのaに近い端には負、bのaから遠い端には正の電荷が現れる。

 問われているのは、静電気の知識です。乾燥した冬の不快な「感電」から雷雲まで、静電気は身近にあります。ここでは、そんな静電気の性質を復習しておきます。

[1]静電気の性質

  • 摩擦で生じる電荷の量は等しい
    二つの物体を摩擦することで生じた正負の電荷量は等しくなければなりません。静電気の正体は、電子の移動なので、正と負の電荷量が等しくない、とすると、電子がどこからか湧き出しているか、どこへともなく消え去ってしまうことを意味するからです。

  • 電荷の単位
    電荷の単位は[C](クーロン)です。こればっかりは覚えるしかありません。基本単位の一つなので、覚えてしまいましょう。静電容量をCと置くことがあります(公式:Q=CVなど)が、静電容量の「単位」は[F](ファラド)ですので、間違えないように。

  • 二つの電荷に働く力
    帯電した二つの物体には、電気力が働きます。それらの電荷が異符号なら吸引力、同符号なら反発力で、働く力は各々の電荷量の積に比例し、距離の2乗に反比例する、というのがクーロンの法則です。単位もクーロン、働く力もクーロン、というわけです。

  • 摩擦による帯電の正負
    よく出題されるのはガラス棒と絹布ですが、この場合はガラス棒が正に、絹布が負に帯電します。2つのものを摩擦した時、どちらが正に帯電するかは組合せで決まります。詳しくは、この後の「帯電列」のところで述べます。

  • 他の電荷からの誘導
    帯電していない物体Aが、帯電している物体Bに近づくと、AのBに近い側にBと逆符号の電荷が、AのBに遠い側にAと同符号の電荷が現れます。Aが金属の場合のこの現象を静電誘導、Aが誘電体の場合は分極といいます。


[2]帯電列…どんな物質がどちらに帯電しやすいか

 摩擦で静電気を起こす場合、異なる2種類の物質がそれぞれどの符号に帯電するかは、組合せで決まる、と上で書きました。これは、AとBという物体をこすり合わせて、Aが+に、Bが−に帯電したとしても、AとCをこすり合わせた時に、Cが+に、Aが今度は−に帯電することもあり得る、ということを言っています。
 ならば、身の回りの物で、何がどちらに帯電しやすいかを順に表した表がないと、符号が分かりません。このため、「帯電列」という、静電気の帯びやすさを表にしたもの(下の表)があります。
符号 物質
+++ 毛皮・人毛

ガラス

羊毛
++ ナイロン・レーヨン

絹・木綿

木材

皮膚

エボナイト

ゴム

ポリスチレン
−− ポリプロピレン・ポリエステル

アクリル・ポリエチレン

セルロイド
−−− 塩化ビニール・テフロン
(上の表は大まかに並べたもので、正確には、並んで書かれているものの中にも序列があります。)
 これを見ると、ナイロン・レーヨンを除く化学繊維や樹脂は負に帯電しやすく、毛皮や木綿などの天然繊維は正に帯電しやすいことが分かります。

それでは解答に移ります。
 …摩擦で生じる電荷は正負等量ですから正しい記述です
 …電荷の単位はクーロン[C]ですから正しい記述です
 …電気力はクーロンの法則で表されるので正しい記述です
 …帯電列で、ガラスが+側、絹が−側なので誤った記述です
 …これは静電誘導又は分極現象で、正しい記述です
となりますから、が正解(誤った記述)と分かります。