□ H17年04月期 A-13  Code:[HE0506] : 直接FM方式を用いたFM送信機のブロック図。AFC回路の動作
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1704A13 Counter
無線工学 > 1アマ > H17年04月期 > A-13
A-13 図は、直接周波数変調方式によるFM(F3E)送信機の構成例を示したものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
問題図 H1704A13a
Fig.H1704A13a

可変リアクタンス回路 周波数弁別器 周波数混合器
可変リアクタンス回路 周波数混合器 周波数弁別器
周波数混合器 可変リアクタンス回路 周波数弁別器
周波数混合器 周波数弁別器 可変リアクタンス回路

 直接周波数変調(FM)方式は、中間周波発振器として主にLCの自励発振器を使うため、周波数安定度があまり良くありません。そのため、周波数を水晶発振の制度に補正するAFC(Auto Frequency Contol)回路が使用されます。この問題は、そのAFC回路の構成に関する問題です。まずは、直接FM方式について復習してから、AFC回路の構成に入りましょう。

[1]発振周波数をダイレクトに変える直接FM変調の原理

 FMとはそのものずばり、「周波数を変える変調」ですから、例えば、LC発振器で発振している周波数を、L(インダクタ)またはC(キャパシタ)の値を外部から何らかの方法で変化させてやれば、すぐにFM波が得られます。
 Fig.HE0506_aは、そんな考えを具体的な形にした例です。左から信号波(交流)が入ってくると、その振幅が黄色で囲まれた中の可変容量ダイオードDVにかかる逆バイアス電圧を変化させます。すると、この共振回路のCが変化しますから、共振周波数が変化して、出力周波数が信号波によって変化します
 ちなみに、R1とR2は、DVに逆バイアス電圧を与えるための抵抗で、C1は直流阻止の為のACカップリングのため、L1は信号波(低周波)と直流を通し、共振回路の高周波を入力側に漏らさないためのチョークコイル的役割です。
Fig.HE0506_a Cが外部より可変の直接FM変調器
Fig.HE0506_a
Cが外部より可変の直接FM変調器
 また、C2は直流阻止の為のACカップリングのために設けられています。高周波的にはショートなので、DVとC3は並列になっていると考えられます。
 Trはエミッタフォロワになっていて、出力電圧の一部がC4によって帰還されます。Trのバイアス点は、R3とR4(とR5)で定めます。C5は次段へのカップリングコンデンサです。
 割と単純で、すぐこれで送信機に使えそうな感じですが、直接周波数を変化させられるLC発振器というのは、やはり安定性に問題があります。そこで、次に述べるAFC回路で周波数を安定化させてやる必要があります。

[2]直接変調の安定度を補うAFC回路の構成

 AFC回路は、LC発振器の不安定さを補正するフィードバック回路の一種で、Fig.HE0506_bのような構成になっています。
Fig.HE0506_b AFC回路の構成と動作
Fig.HE0506_b
AFC回路の構成と動作
 水晶発振器は(通常は)LC発振器で発振すべき周波数で、安定に発振することができます。その出力とLC発振器からの直接FM変調出力を周波数混合器に入力します。
 周波数混合器では、通常2つの入力の和と差の周波数が出てきますが、ここでは差を取ります。つまり、LC発振器の周波数が、理想的な(水晶が供給する)周波数からのズレの周波数信号として取り出すわけです。
 さらにこれを増幅(ここでの増幅は緩衝増幅的な役割でしょう)して、周波数弁別器に入力します。周波数弁別器は、FM復調の回路でも出題されていますが、入力の周波数に対応した電圧を出力します。
 この電圧を、可変リアクタンス回路に周波数の変動を打ち消す極性にして加えてやれば、LC発振回路の周波数の変動を水晶の周波数に合わせ込むことができます。
 ここでお気づきの方もおられるかと思いますが、この補正は高速で行なうとFM変調でかかった(本来変動してしかるべき)周波数のズレまで補正されてしまい、変調がかからなくなったと同じことになってしまいます。なので、音声周波数よりももっとゆっくりな応答での変動を抑えるようになっているのだと思います(実設計をしたことがないので、自信がありません)。

それでは、解答に移ります。
 各ブロックは、
 …ここは信号波でリアクタンスが変化する可変リアクタンス回路です
 …ここはLCの周波数と水晶の周波数の差を取る、周波数混合器です
 …ここは周波数を電圧に変換する周波数弁別器です
となりますから、正解はと分かります。
 選択肢の中に、周波数逓倍器がありますが、AFC回路には周波数逓倍器はありません。
 問題では、LC発信器と水晶の発振周波数は同じに取るようになっていますが、実際の無線機では、同じ周波数の発信器が源発側にあると、近傍スプリアスの原因となるため、このような方式は取りません。
 最近では、LC発振で中間周波数を得るFM変調器を採用するような無線機はあまりなく、水晶発振を用いるVCXO(Voltage Controlled Crystal(X) Oscillator)等が用いられ、安定度が高いため、AFCが不要となってきています。