□ H16年12月期 A-19  Code:[HH0508] : 1/4波長垂直接地アンテナで、放射電力がある値の時の給電電流の計算
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1612A19 Counter
無線工学 > 1アマ > H16年12月期 > A-19
A-19 1/4波長垂直接地アンテナからの放射電力を900 [W]にするためのアンテナ給電電流の値として、最も近いものを下の番号から選べ。
 3 [A]
 5 [A]
 7 [A]
 9 [A]
11 [A]

 この問題は、オームの法則だけで解けるのですが、その前に、λ/4波長垂直接地アンテナの給電点インピーダンスがわかっていなければなりません。
(似たような問題に、「変調率と搬送波の電力が分かっているAM変調波を同軸ケーブルに通した時の電圧値を求める」という問題があります。その問題をこの方法で解くと間違えます。AM変調波は、「正弦波ではない」からです。ご注意下さい。)

[1]λ/4垂直接地アンテナのインピーダンスはいくらか?

 いきなり本質です。これを理解するには、λ/4垂直接地アンテナの動作原理や電流分布を知らなければなりませんが、実際に試験の時はいちいち理屈をこねずに、値を暗記しておくだけでいいでしょう。
 ここでは敢えて、「考え」ます。
 Fig.HH0508_aに垂直形のアンテナをまとめてみました。このうち、λ/4垂直接地アンテナは、アマチュアでは「バーチカル」とも呼ばれ、大地を理想的な導体と考えて、片側を接地し、λ/4のエレメントを垂直に立てたものです。
 このようにすると、エレメントとその「鏡像」すなわち電気影像λ/2ダイポールアンテナを構成します。しかし、片側(同軸ケーブルでいうと外側導体)は「理想的な」GNDに接続されていますから、こちらのインピーダンスはゼロです。
Fig.HH0508_a 垂直系アンテナの構造と動作
Fig.HH0508_a
垂直系アンテナの構造と動作
 従って、このアンテナの入力インピーダンスはλ/2ダイポールの半分で、約36 [Ω]となります。普通、インピーダンスは純粋に実数にはなりませんから、長さの調整などをして虚数成分(リアクタンス分)を打ち消し、同軸なら50+j0 [Ω]とします。
 ちなみに、この垂直接地アンテナは、接地抵抗が大きいと理想的な電気影像ができないばかりでなく、接地抵抗で電力を損失する(=地面を暖める)ので、実際に建てる時は注意が必要です。接地アンテナの効率の問題は、別途出題されています。

[2]あとはオームの法則

 インピーダンスが分かれば、この問題で問われているのは空中線電流ですから、電力から電流を求めるだけです。
 オームの法則で、純抵抗の負荷Z0 [Ω]に実効値I [A]の交流が流れている時、そこで消費される電力(ここでは空間に放射される電力)P [W]は、
 P=I20 …(1)
ですから、電力Pが分かっている時に、流れる電流Iを求めるには、(1)式をIについて解いて、
 I=√(P/Z0)…(2)
となります。

それでは、問題に移ります。
 この問題では、特に同軸のインピーダンスに整合させた、などの記述はありませんから、Z0はλ/4垂直接地アンテナそのもののインピーダンスで計算します。
 (2)式にP=900 [W], Z0=36 [Ω]を代入すると、
 I=√(900/36)=30/6=5 [A]
と求められますから、正解はと分かります。