□ H16年04月期 A-17  Code:[HG0702] : 様々な電池の名称と、一次/二次の別、公称電圧
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1604A17 Counter
無線工学 > 1アマ > H16年04月期 > A-17
A-17 次の記述は、電池について述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを下の番号から選べ。
(1) マンガン乾電池は一次電池で、ニッケルカドミウム蓄電池や[A]は、二次電池である。
(2) 電池の公称電圧は、マンガン乾電池が[B][V]、ニッケルカドミウム蓄電池が[C][V]である。

アルカリマンガン電池 1.5 1.2
アルカリマンガン電池 2.0 1.5
鉛蓄電池 1.2 1.5
鉛蓄電池 1.5 1.2
鉛蓄電池 2.0 1.5

 手軽な移動運用には電池(バッテリー)は必須です。普通、使い捨ての一次電池より充電で再利用できる二次電池の方がよく利用されますし、国家試験の出題としても、二次電池の出題が圧倒的です。
 そうは言っても、選択肢の中には一次電池の用語なども紛れ込んでいますので、まず最初に一次電池について簡単にまとめた後、二次電池の種類ごとに調べて行きましょう。

[1]一次電池のまとめ

 一口に一次電池と言っても、様々な種類があります。最近よく使われるアルカリマンガン電池、バックアップに使われるリチウム電池等等です。
種 類 正 極 負 極 電解液 電圧 [V] 負荷適性 特 徴
マンガン
乾電池
MnO2 Zn NH4Cl+
ZnCl2
1.5 軽負荷〜
中負荷
玩具・懐中電灯等
安価
アルカリ
マンガン電池
MnO2 Zn KOH 1.5 軽負荷〜
中負荷
容量大きい
内部抵抗低い
リチウム電池 CFn
フッ化炭素
Li LiClO4 2.8 軽負荷 デジタル時計・
電卓等
酸化銀電池 Ag2O Zn
KOH or
NaOH
1.5 軽負荷
カメラ・
腕時計等

 環境負荷が大きい(いわゆる「地球に優しくない」)水銀を含むことでほとんど使われなくなった「水銀電池」は除いています。

[2]鉛蓄電池の特徴と動作

 二次電池の代表格とも言える、鉛蓄電池の動作と特徴を説明します。下のFig.HG0702_aを見て下さい。
 予備知識として先に書いておきます。鉛蓄電池は100%充電された状態では、その電極が負極の鉛(以下、Pb)と正極の酸化鉛(以下、PbO2)からなっていて、放電が進んだ状態では両極ともその表面に硫酸鉛(以下、PbSO4)が多く生成します。電解液は、硫酸(H2SO4)です。硫酸は、実際は水で希釈した希硫酸で、水素イオン(以下H+)と硫酸イオン(以下SO42-)に分かれています。
Fig.HG0702_a 鉛蓄電池の動作原理
Fig.HG0702_a 鉛蓄電池の動作原理
  • 動作原理その1…充電時(Fig.HG0702_a左)
     両極の表面に硫酸鉛(以下、PbSO4)が多く生成した放電状態から、電源の+に電池の+を、電源の−を電池の−に、それぞれ接続して充電します。充電が進むにつれて、端子電圧は上がってきますが、通常、一定電流で充電します。
     まず、負極では電源によって、電子が流し込まれます。この電子は、負極のPbSO4を電気分解して、
     PbSO42e- → PbSO42- …(1)
    という反応が生じます。ここでPbは金属の鉛で電極に析出します。一方、SO42-はイオンですので、電解液中に溶け込みます。
     次に、正極での反応を見てみましょう。正極でも負極同様にPbSO4が電極に生成していますが、これが水と反応し、電源により電子を引き剥がされて、
     PbSO4+2H2O → PbO2SO42-4H-2e- …(2)
    という反応が起こります。
     ここで、化学反応式よりも重要なのは、(1)(2)式から分かることですが、充電に伴い、
    正極には酸化鉛が生成し、負極には鉛が生成する
    電解液中に硫酸の濃度が増加する
    ということです。また、以下のことも重要です。
    十分に充電された鉛蓄電池の単位電池の電圧は約2.0 [V]
    ・硫酸濃度の増加と共に電解液の比重も増加し、満充電時の比重は1.2〜1.3
    要するに、充電すると電極が酸化鉛と鉛に変化し、電解液の硫酸濃度が上がる、ということです。

  • 動作原理その2…放電時(Fig.HG0702_a右)
     鉛蓄電池の放電は、充電と全く逆で、負極のPbと正極のPbO2が多く生じている状態から負荷に電流が流れます。負極では、鉛と硫酸が反応して電子を押し出そうとして下記のような反応が起こります。
     Pb+SO42- → PbSO42e- …(3)
    一方、正極では、負極から流れてきた電子を受け入れて、PbO2と硫酸が反応して、下記のような反応が起こります。
     PbO2+SO42-+4H+2e- → PbSO4+2H2O …(4)
     ここでも、化学反応式よりも重要なことに注意しましょう。(3)(4)式から、放電に伴い、
    正極も負極も硫酸鉛が生成する
    電解液中に硫酸の濃度が減少し、代わりに水が生成される
    ということです。また、定量的な数値として以下のことも重要です。
    ・電池として性能を保ちうる鉛蓄電池の放電終止電圧は約1.8 [V]
    ・硫酸濃度の減少と共に電解液の比重も減少し、放電終止時の比重は1.1前後
    まとめると、放電が進むと両電極が硫酸鉛に変化し、電解液の硫酸濃度が下がる、ということです。
     電圧が1.8 [V]を下回ってもなお放電し続けたらどうなるでしょうか? この場合、両方の電極が完全に硫酸鉛になってしまい、電位差は0 [V]となってしまいます。こうなったら、もう充電できませんから、電池として使えなくなります。

  • 鉛蓄電池の特徴
    まずは利点から。
    ・比較的安価…電極として鉛という安価な金属を使っているので、材料にはあまりコストがかかりません。また、自動車用として広く利用されているので、大量生産により、安価です。
     充電したまま放置できる…二次電池の中には、満充電したまま放置すると寿命に悪いものもありますが、鉛蓄電池は満充電に近い状態を長く保つ方が寿命に有利なため、無停電電源など、普段充電しておいて「いざ」という時にだけ使う用途に有利です。
    次に欠点です。
    ・重い…鉛を使っているので、非常に重いです。大型車用のバッテリーになると、20 [kg]を優に超えるものもあります。
    ・過放電に弱い…放電させ過ぎると、両極が硫酸鉛で覆われてしまい、充電できなくなり、電池として使えなくなります。

[3]ニッケルカドミウム電池(NiCd電池)の特徴と動作

 ニッケルカドミウム電池は、「ニカド電池(JIS)」「ニッカド電池」「カドニカ(三洋電機の商標名)」とか呼ばれるもので、ハンディ機などの電源としてよく使われていました。過去形なのは、この後に出てくる、ニッケル水素電池にその座を明け渡しつつあるからです。
 ニッケル水素の方が容量が大きく、カドミウムという環境負荷の大きな材料を使わないためですが、まだ現役で使われています。放電された状態では、負極が水酸化カドミウム(以下、Cd(OH)2)、正極が水酸化ニッケル(以下、Ni(OH)2)になっています。充電すると、負極がカドミウム(以下、Cd)、正極がオキシ水酸化ニッケル(以下、NiOOH)に変化します。電解液は、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液です。Fig.HG0702_bで動作を見ておきます。
Fig.HG0702_b ニッケルカドミウム電池の動作原理
Fig.HG0702_b ニッケルカドミウム電池の動作原理
  • 動作原理その1…充電時(Fig.HG0702_b左)
     充電の基本動作は鉛蓄電池と同じです。異なるのは化学反応だけです。
     まず、負極では、水酸化カドミウムが金属のカドミウムになります。
     Cd(OH)22e- → Cd2OH- …(5)
    (5)の反応式右辺の2OH-はイオンですから、水に溶けます。一方、正極では、水酸化ニッケルがオキシ水酸化ニッケル、という聞きなれない物質に変化します。
     2Ni(OH)22OH- → 2NiOOH+2H2O+2e- …(6)
    (6)式左辺の2OH-は、(5)式の右辺に生成したものをもらってきた、と考えてもいいでしょう。反応式は反応式として、定性的には、
    負極にはカドミウムが、正極にはオキシ水酸化ニッケルが生成する
    充電により水が生成するので、電解液の濃度は薄くなる
     上で、電解液は水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどのアルカリ溶液だ、と書きましたが、電解液の金属イオン(K+やNa+)は、電池の反応に関与しません。かと言って、これらは何でもいいわけではなくて、イオン化傾向(電子を外に出してイオンになる容易度)が電極を構成する金属よりも大きくなければなりません。

  • 動作原理その2…放電時(Fig.HG0702_b右)
     一方、放電時は充電と逆の反応になります。負極では、
     Cd2OH- → Cd(OH)22e- …(7)
    となって、水酸化カドミウムが生成します。また、正極では、
     2NiOOH+2H2O+2e- → Ni(OH)22OH- …(8)
    となります。定性的には、
    負極には水酸化カドミウムが、正極には水酸化ニッケルが生成する
    放電により水が消費されるので、電解液の濃度は上がる
    ということになります。

  • ニッケルカドミウム電池の特徴
     よく使われていたので、ご存知の方も多いでしょうが、改めて見ておきましょう。
    まずは長所です。
    電圧は約1.2 [V]…乾電池に近い電圧(乾電池が公称電圧の1.5 [V]なのはごく最初だけで後は1.3〜1.2 [V]に下がる)なので、ほぼ互換です。また、放電電流にもよりますが、他の充電池よりも放電中の電圧が一定に保たれている時間が長い特性があります。
    内部抵抗が低い…大電流を流しても、端子電圧が下がりにくい特徴を持っています。
    繰り返し使用に強い…300〜500回も充放電を繰り返すことができます。
    過放電・過充電に強い…かなり電圧が下がるまで過放電させても鉛蓄電池のように電池としての機能が失われることはほとんどありません。
    次に短所です。
    メモリー効果がある…完全に放電させずに「継ぎ足し充電」を繰り返すと、容量が減少したようになります。
    低温に弱い…低温では、取り出せる電荷量が大きく減少します。常温に戻すと復活します。
    環境負荷が大きい…カドミウムを含むので、リサイクル体制の確立が必要。ゴミとして排出されると有害物となります。


[4]ニッケル水素電池(NiMH電池)の特徴と動作

 ニッケル水素電池は、(ニカド電池に比べて)容量が大きくカドミウムという環境負荷物質を使わないので、広く使われるようになってきました。動作は、電解液にアルカリ溶液を使うニカド電池と似ていますが、その名の通り、活性物質としてニッケルと水素を使うのですが、水素は金属ではないので、「電極」としては使えません。電極にするには「ある工夫」が必要になります。
 その工夫が、「水素吸蔵合金」と呼ばれるもので、金属の中に水素を取り込んでしまう、という不思議な性質を持ったものです。それでは、動作原理をFig.HG0702_cに示します。電解液は、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで、ニカドと同じです。
 図の中では、水素吸蔵合金はMという記号で示します。
Fig.HG0702_c ニッケル水素電池の動作原理
Fig.HG0702_c ニッケル水素電池の動作原理
  • 動作原理その1…充電時(Fig.HG0702_c左)
     負極では、電源から与えられた電子と、水素吸蔵合金、それに水が反応して、以下のようになります。
     M+H2O+e- → MHOH- …(9)
    ここで、MHとは、水素吸蔵合金Mが水素Hを「吸蔵」したものであって、これらが化学反応を起こして「結合」したものではありません。このあたりは私もはっきりと詳しいことは分かっていませんが、「金属の水素化物」になってしまうと反応が不可逆になるので、ただ単に「溜め込んでいるだけ」と解釈して下さい。一方、正極では次のようになります。
     Ni(OH)2OH- → NiOOH+H2O+e- …(10)
    これは、ニカド電池の正極の反応と全く同じです。定性的には、(9)と(10)を見ると分かりますが、
    負極には水素が、正極にはオキシ水酸化ニッケルが生成する
    水酸化物イオンOH-、充電の前後で数が変化しない
    水は正極で生成して負極で消費されるので、増減しない
    ということになります。

  • 動作原理その2…放電時(Fig.HG0702_c右)
     反応はすべて充電時と逆になります。負極では、
     MHOH- → M+H2O+e- …(11)
    となり、正極では、
     NiOOH+H2O+e- → Ni(OH)2OH- …(12)
    となります。充電時と全く逆です。
     反応の特徴としては、
    ・負極では、水素吸蔵合金から水素が解離し、水が生成する
    ・正極では、水酸化ニッケルが生成する
    水は負極で生成して正極で消費されるので、増減しない
    という点です。

  • ニッケル水素電池の特徴
     ニカド電池から、いろいろな点が改良されています。まずはその長所です。
    電圧は1.2 [V]…ニカドと同じなので、互換性があります。
    容量が大きい…一般に、ニカド電池の倍程度の容量が得られます。
    メモリー効果がない…ニカドにあるようなメモリー効果がほとんどありません。
    環境負荷物質を使っていない…カドミウム・水銀を使っていません。
    繰り返し使用に強い…ニカドと同じです。
    過放電・過充電に強い…これもニカドと同じです。
    次に短所です。
    充電時の発熱が大きい…充電時は終了が近づくにつれてかなり発熱します。
    自己放電が大きい…ニカドに比べて自己放電が大きく、長期保存が利きません(但し、最近では半年置いても8割残るものも出ています)
    低温に弱い…ニカドよりも改善したと言われますが、まだ低温で容量が減少します


[5]リチウムイオン電池の特徴と動作

 近年、ノートPCや携帯電話などに多く用いられるようになった電池です。軽量で容量が大きいため、これらの機器で長時間駆動ができますが、一旦(電池内部で)短絡事故になった場合に放出されるエネルギーも大きいので、電池自体に保護回路が入っているのが普通で、単体では販売されていません。また、充電制御も必要なため、必ず機器の付属品として充電器が付いてくるか、あるいは充電器内蔵として、その機器専用に使われます。
 リチウムイオン電池は、他の二次電池と充放電の原理が少し違い、化学反応式で書くのが適当か分かりませんが、世間で採用されている表現で書いてみます。Fig.HG0702_dを見て下さい。
 一般的なリチウムイオン電池では、正極にはコバルト酸リチウム(LiCoO2)、負極にはリチウムイオンを取込む特殊な構造をしたカーボン(C:炭素)、電解液には有機溶媒が用いられます。正極と負極の間には、セパレータと呼ばれる、リチウムイオンは通すが絶縁性のある膜が用いられ、正極と負極がショートしないようにしています。
Fig.HG0702_d リチウムイオン電池の動作原理
Fig.HG0702_d リチウムイオン電池の動作原理
  • 動作原理その1…充電時(Fig.HG0702_d左)
     充電時、負極では炭素Cの電極の中に電源により流し込まれた電子とともにLi+が取り込まれます。Li+はこの電子により還元されて、金属のLiとなりますが、Cの層状構造の中に「嵌まり込んで」いるため、簡単には出てきません。
     C+xLi+xe- → CLix …(13)
    ここで、xは0≦x≦1なる数です。次に正極では、正極のLiCoO2からリチウムイオンLi+が溶け出して負極に移動します。移動する際に、セパレータはLi+は通すようにできているため、障害にはなりません。
     LiCoO2 → Li1-xCoO2+xLi+xe- …(14)
    この充電時の反応の特徴としては、
    リチウムイオンが正極から負極に移動する
    ・負極では、金属リチウムとして層状炭素の間に入り込んで蓄積される
    という点が挙げられます。リチウムを貯蔵する多層構造の炭素にどれだけ多くのリチウムイオンが取り込めるか、が大容量化の鍵です。

  • 動作原理その2…放電時(Fig.HG0702_d右)
     反応はすべて充電時と逆になります。負極では、層状構造の中に入っていたLiが電子を放出してLi+になって溶媒中に溶け出します。
     CLix → C+xLi-xe- …(15)
    正極ではセパレータを超えて移動してきたLi+が負荷を流れてきた電子とともに結合して、LiCoO2に戻ります。
     Li1-xCoO2+xLI+xe- → LiCoO2 …(16)
    放電時の反応の特徴としては、
    ・層状炭素中のリチウムが電子を放出してイオンになり、正極に移動する
    ・正極に到着したリチウムイオンは電子を受取りコバルト酸リチウムになる

  • リチウムイオン電池の特徴
     メリットが多く、モバイル機器に多く利用されていますが、その理由とデメリットを調べます。まずは利点から。
    セル電圧は4.3 [V]…他の電池と互換性はありませんが、物質量(=電荷量)あたりのエネルギーは大きく取れて有利です。
    容量が大きい…同じ体積で比べれば、ニッケル水素の2倍以上の容量があります。また、自己放電量が少ないので、充電後に時間を置いても大きな容量を生かせます。
    軽量である…比重の大きな金属を使っていないので、軽量です。持ち運ぶモバイル機器向きです。
    メモリー効果がない…継ぎ足し充電しても容量は減少しません。この点もモバイル機器向きです。
    次にデメリットです。
    安全装置が必要…これは、蓄えられるエネルギーの大きさに比例して、事故の際の危険も増すので、スペースも重量も増す安全装置の装着が避けられないことではあります。リチウムイオンの場合はエネルギーが非常に大きいだけでなく、モバイル機器として持ち運ぶので、必須と言えます。
    高温に弱い…容量は大きいのですが、熱に弱いため、ハイブリッドカーの電池としてはまだほとんど用いられていません。
    満充電で放置できない…満充電で放置すると、容量が減ります。特に、高温で満充電の時が最も厳しく、直ちに電池として使えなくなるわけではないようですが、避けなければなりません。
    充電にケアが必要…鉛蓄電池のような定電流でずっと充電し続けるような単純な方式ではなく、電圧と電流を監視しながら制御しなければならないので、通常は専用の充電回路が付属しています。
    放電中の電圧変化が大きい…満充電の状態から放電し切るまで、「だらだら」と電圧が落ちます。放電の様子が掴みやすいとも取れますが、NiCd等の電圧が一定の時間の長い電池に比べると、機器の設計が面倒になります。


[6]二次電池のまとめ

 長々と説明してきましたが、国家試験が目的なら、下記のことをチェックしておけばよいでしょう。
種 類 正 極 負 極 電解液 電圧 [V] 負荷適性 特 徴
鉛蓄電池 PbO2 Pb H2SO4 2.0
(1.8)
中負荷〜
重負荷
自動車・無停電電源等 安価
ニカド電池 NiOOH Cd KOH or
NaOH
1.2 軽負荷〜
中負荷
内部抵抗低い
メモリー効果
ニッケル水素電池 NiOOH MH KOH or
NaOH
1.2 軽負荷〜
中負荷
容量大・メモリー効果なし
リチウム
イオン電池
LiCoO2 C
(炭素)
有機
溶媒
4.3 中負荷〜
重負荷
大容量・メモリー効果なし
 

それでは、解答に移ります。
 …二次電池は鉛蓄電池です
 …マンガン電池の公称電圧は1.5 [V]です
 …ニカド電池の公称電圧は1.2 [V]です
となりますから、正解はと分かります。