□ H15年12月期 A-20  Code:[HH0503] : 進行波アンテナと定在波アンテナの動作上の違い
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1512A20 Counter
無線工学 > 1アマ > H15年12月期 > A-20
A-20 次の記述は、定在波アンテナと進行波アンテナについて述べたものである。このうち誤っているものを下の番号から選べ。
定在波アンテナは、放射素子を共振状態のもとで使用する。
定在波アンテナは、先端が開放されているので、アンテナ上に定在波が発生する。
進行波アンテナは、終端がその線路の特性インピーダンスと等しい抵抗に接続され、アンテナ上に進行波が流れる。
進行波アンテナの周波数特性は、通常、定在波アンテナより狭帯域である。

 アンテナには、その動作によっていろいろな分類の仕方がありますが、どのような波が乗っているかによって、進行波アンテナか定在波アンテナか、という分け方ができます。それらの違いについて、見て行きます。
 まず、定在波・進行波がそれぞれどういったものか分からない方は、関連の問題を参照して下さい。

[1]定在波アンテナの例と特徴

 定在波アンテナは我々アマチュアが最も多く見かけるアンテナです。
 Fig.HH0503_aに最もポピュラーな定在波アンテナである、λ/2ダイポールアンテナを挙げました。
 このアンテナの特徴は、エレメントの長さと波長の関係が一定の倍数(この場合は両側それぞれ1/4)になっていることや、共振する周波数が決まっていて、それ以外の周波数では整合が取れないこと、先端が開放されていること、などです。先端が開放されていますから、進んで行った波は反射して戻ってきますので、エレメント上には定在波が立ちます。
 これをもう少し一般化して、特徴を述べると、以下のようになります。
Fig.HH0503_a 定在波アンテナの例:ダイポール
Fig.HH0503_a
定在波アンテナの例:ダイポール
 ・波長とエレメントの長さが一定の倍数関係にある
 ・共振する周波数がエレメントの長さで決まっている(=帯域が狭い
 ・エレメントの先端が開放になっている(折り返しダイポール等例外はある)
 ・エレメント上に定在波が立つ
つまり、定在波アンテナとは、エレメントの共振周波数と送信波の周波数が共振している時にのみ、アンテナとして機能するアンテナ、と言えます。

[2]進行波アンテナの例と特徴

 一方の進行波アンテナは、アマチュアではあまり見かけません。HF〜VHFでは巨大なアンテナになるからでしょう。ここでは例として、Fig.HH0503_bにロンビックアンテナを挙げてみました。
Fig.HH0503_b 進行波アンテナの例:ロンビック
Fig.HH0503_b
進行波アンテナの例:ロンビック
 このアンテナの特徴は、エレメント長が数λ以上なら、特に決まった長さでなくともよい、(使用する周波数付近には)共振点がない(帯域が広い)終端点で線路の特性インピーダンスと同じ純抵抗で終端してある、などです。
 線路のインピーダンスで終端されている、ということは、この反射波がなく、従ってエレメント上には進行波しか乗りません
 イメージとしては、給電点に近い部分で十分振幅のあった進行波は、徐々に空間に電波として放射されながら減衰して進行し、最後の終端抵抗に吸収されるのはわずかの電力、ということになります。
 進行波アンテナの特徴を箇条書きにすると、以下のようなポイントになります(ほとんど定在波アンテナと反対なだけですが)。
 ・波長とエレメントの長さに一定の関係がなくてもアンテナとして動作する
 ・共振させないで使う(=帯域が広い
 ・エレメントの先端が特性インピーダンスで終端されている(例外あり)
 ・エレメント上には進行波しか存在しない
エレメント終端が特性インピーダンスで終端されていない場合がある、と書いたのは、波長に比べて非常に長いエレメントであれば、終端抵抗があってもなくてもアンテナとしての性能に大差ない(終端抵抗に到達するのが、ほとんどの電力が空間の放射された後のわずかなもの)場合があるからです。
 進行波アンテナの特徴として最も大きいのは帯域が広いことですが、注意しなくてはならないのは、進行波アンテナでなくても帯域が広いアンテナもあるということです。例えば、折り返しダイポールアンテナや、ログペリオディックアンテナなどです。あくまでも、導体上に進行波しか乗らないアンテナなのか、が判断基準です。

それでは、解答に移ります。
 …定在波アンテナは共振を利用しているので正しい
 …定在波アンテナは一端が開放でエレメントに定在波が乗るので正しい
 …一端が終端され、定在波しか乗らないのが進行波アンテナなので正しい
 …進行波アンテナは共振を用いないので一般に広帯域ですから誤り
となりますから、正解(誤った選択枝)はと分かります。