| □ H15年08月期 A-01 Code:[HA0201] : 帯電体に近づけた導体に誘導される電荷とその符号（静電誘導）の説明 |
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ここで問われているのは、帯電している物体に導体を近づけた時、その導体の、帯電物体に近い側と遠い側がどうなるか、ということです。近づける物体が、導体の時と誘電体（絶縁体）の時とで、同様の現象が起こりますが、呼び方が違うので注意が必要です。［１］静電誘導とは導体の中では電子（自由電子）が自由に動き回ることができます。このため、例えば導体に負に帯電した物体、すなわち帯電していない時よりも電子が多い状態の物体を近づけると、導体中の電子はこれと反発して物体と反対側に寄ります。 | |
 Fig.HA0201_a 静電誘導 |
逆に、導体に正に帯電した物体、すなわち帯電していない時よりも電子が少ない状態の物体を近づけると、導体中の電子が引かれて、帯電物体の側に集まってきます。 従って、導体の帯電物体に近い側は、帯電物の電荷とは逆の符号の電荷が現れ、遠い側には帯電物の電荷と同符号の電荷が現れます。 このような現象を静電誘導といいます。この「静電誘導」という用語は、電子が自由に動ける導体に用いられる用語です。この後に述べるように、誘電体（絶縁体）でも、同じような現象が起こりますが、これは「分極」と呼んで区別します。 |
［２］静電誘導か分極かこの手の問題には必ずといっていいほど「静電誘導」と「分極」が対になって選択肢に現れます。つまり、分極と静電誘導の違いが分からなければ解けません。分極というのは、誘電体（絶縁体）における同様の現象です。誘電体は導体と異なり、自由電子がほとんどありません。そのため、帯電した物体を近づけると、電子は大きくは動けないものの、原子に束縛された範囲の中でどちらかに偏ります。 これをマクロに見ると、静電誘導のように、帯電物体に近い側は、各原子の中での電子の位置の偏りが作る電界が重ね合わさって、帯電物の電荷とは逆の符号の電荷が現れ、遠い側には帯電物の電荷と同符号の電荷が現れます。これが「分極」のメカニズムです。（ほとんどの場合、帯電体に近い側にそれと逆符号の電荷が現れますが、物質によっては同符号の電荷が生じる場合もあります。） それでは解答に移ります。 Ａ…自由電子が多く、電気を通しやすいのは導体です Ｂ…導体に対する静電的な誘導は静電誘導と呼びます となりますから、１が正解と分かります。 | |
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