□ H14年04月期 A-21  Code:[HH0508] : 1/4波長垂直接地アンテナで、放射電力がある値の時の給電電流の計算
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09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1404A21 Counter
無線工学 > 1アマ > H14年04月期 > A-21
A-21 1/4波長垂直接地アンテナからの放射電力を225 [W]にするためのアンテナ給電電流の値として、最も近いものを下の番号から選べ。
 2.1 [A]  2.5 [A]  3.3 [A]  4.5 [A]  6.3 [A]

 この問題は、オームの法則だけで解けるのですが、その前に、λ/4波長垂直接地アンテナの給電点インピーダンスがわかっていなければなりません。
(似たような問題に、「変調率と搬送波の電力が分かっているAM変調波を同軸ケーブルに通した時の電圧値を求める」という問題があります。その問題をこの方法で解くと間違えます。AM変調波は、「正弦波ではない」からです。ご注意下さい。)

[1]λ/4垂直接地アンテナのインピーダンスはいくらか?

 いきなり本質です。これを理解するには、λ/4垂直接地アンテナの動作原理や電流分布を知らなければなりませんが、実際に試験の時はいちいち理屈をこねずに、値を暗記しておくだけでいいでしょう。
 ここでは敢えて、「考え」ます。
 Fig.HH0508_aに垂直形のアンテナをまとめてみました。このうち、λ/4垂直接地アンテナは、アマチュアでは「バーチカル」とも呼ばれ、大地を理想的な導体と考えて、片側を接地し、λ/4のエレメントを垂直に立てたものです。
 このようにすると、エレメントとその「鏡像」すなわち電気影像λ/2ダイポールアンテナを構成します。しかし、片側(同軸ケーブルでいうと外側導体)は「理想的な」GNDに接続されていますから、こちらのインピーダンスはゼロです。
Fig.HH0508_a 垂直系アンテナの構造と動作
Fig.HH0508_a
垂直系アンテナの構造と動作
 従って、このアンテナの入力インピーダンスはλ/2ダイポールの半分で、約36 [Ω]となります。普通、インピーダンスは純粋に実数にはなりませんから、長さの調整などをして虚数成分(リアクタンス分)を打ち消し、同軸なら50+j0 [Ω]とします。
 ちなみに、この垂直接地アンテナは、接地抵抗が大きいと理想的な電気影像ができないばかりでなく、接地抵抗で電力を損失する(=地面を暖める)ので、実際に建てる時は注意が必要です。接地アンテナの効率の問題は、別途出題されています。

[2]あとはオームの法則

 インピーダンスが分かれば、この問題で問われているのは空中線電流ですから、電力から電流を求めるだけです。
 オームの法則で、純抵抗の負荷Z0 [Ω]に実効値I [A]の交流が流れている時、そこで消費される電力(ここでは空間に放射される電力)P [W]は、
 P=I20 …(1)
ですから、電力Pが分かっている時に、流れる電流Iを求めるには、(1)式をIについて解いて、
 I=√(P/Z0)…(2)
となります。

それでは、問題に移ります。
 この問題では、特に同軸のインピーダンスに整合させた、などの記述はありませんから、Z0はλ/4垂直接地アンテナそのもののインピーダンスで計算します。
 (2)式にP=225 [W], Z0=36 [Ω]を代入すると、
 I=√(225/36)=15/6=2.5 [A]
と求められますから、正解はと分かります。