□ H14年04月期 A-04  Code:[HB0301] : RLCのそれぞれのリアクタンスから合成回路のインピーダンスを計算
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1404A04 Counter
無線工学 > 1アマ > H14年04月期 > A-04
A-04 図に示すRLCよりなる回路の合成インピーダンスの値として、正しいものを下の番号から選べ。ただし、Lのリアクタンスの大きさの値は20 [Ω]、Cのリアクタンスの大きさの値は10 [Ω]及びRの抵抗値は10 [Ω]とする。
 5 [Ω]
 8 [Ω]
10 [Ω]
15 [Ω]
20 [Ω]
問題図 H1404A04a
Fig.H1404A04a

 容量性(コンデンサ)、誘導性(コイル)、抵抗の3つのインピーダンスが直列、並列に組み合わされた回路の合成インピーダンスの問題で、よく出題されます。インピーダンス計算の基本だからでしょう。

[1]複素数計算にチャレンジしてみよう

 2アマまでは実数の世界で何とか解いていましたが、1アマになったら複素数(=実数+虚数 の形の数)計算にチャレンジしてみて下さい。というのも、こういった直列や並列の回路の合成インピーダンスを求める時、複素数でインピーダンスを計算すると、オームの法則だけで解けてしまうからです。2アマの時のようなベクトル計算や直角三角形の1辺の長さを求める公式も(全然無縁なわけではありませんが)使いません。
 ただ、少しだけ面倒なのは、分数で答えが出た時に分母が複素数になってしまった時、実数部と虚数部を明確に分けるため、「通分」のような「正規化」という作業が必要になることです。でも、慣れてしまえば大して難しくはありません。
 この問題では回路の要素(抵抗・コンデンサ・コイル)は3つですが、上に書いたことは、要素がいくつでも使えます。2個や4個になっても、合成抵抗の計算と同じようにやって行けば良いのです。流れる電流も、遅れ位相なのか、進み位相なのか、電流の虚数部を電圧と比較すればすぐに分かります。こんな便利な複素数を使わない手はありません。

[2]複素数を使って解いてみる

 では、具体的に見て行きましょう。回路の要素が直並列、並直列に3つ繋がるパターンはFig.HB0301_aの2種類です。
Fig.HB0301_a 3つのインピーダンスの接続
Fig.HB0301_a
3つのインピーダンスの接続
 3つとも直列、3つとも並列のパターンもありますが、これは別途問題があるので、そこで解いています。
 この図で、Z1〜Z3はどれが抵抗・コンデンサ・コイルであるかの組合せは全く任意です。どんな組合せでも合成インピーダンスZは各図の下にある式で表されます。合成抵抗を計算する式と全く同じです。
 Z1〜Z3に、抵抗なら抵抗値R [Ω]を、コイルなら誘導性インピーダンスjXLを、コンデンサなら容量性インピーダンス−jXCを代入します。
 例えば、Fig.HB0301_aの左の回路で、Z1=−jXC、Z2=jXL、Z3=Rだとしましょう。この回路の左半分のインピーダンス、つまり、Z12/(Z1+Z2)を計算すると、
 Z12/(Z1+Z2)=XCL/j(XL−XC) …(1)
この式で、分母にjがあるのは気持ちが悪いので、これを分子に移し(分母と分子に−jを掛ける)、
 Z12/(Z1+Z2)=jXCL/(XC−XL) …(2)
となります。Z3=Rなので、全体のインピーダンスZ [Ω]は、
 Z=R+jXCL/(XC−XL) …(3)
 あとはこれに問題の数値を代入し、複素数の計算をガチャガチャとやるだけです。複素数の計算練習はここではやりませんので、慣れていない方は、同様の問題をいろいろ解いてみて下さい。

それでは、解答に移ります。
 問題はFig.HB0301_aの右のパターンです。問題中の以下の値を代入します。問題文は容量性と誘導性のインピーダンスに虚数単位jと符号が付いていませんのでご注意下さい。
 Z1=10 [Ω]  Z2=−j10 [Ω]  Z3=j20 [Ω]
面倒なので、分子と分母に分けて計算します。
 分子=(Z1+Z2)Z3
   =10(1−j)(20j)=200(1+j) …(a)
 分母=Z1+Z2+Z3
   =10−j10+j20=10(1+j) …(b)
Z=(a)/(b)より、
 Z={200(1+j)}/{10(1+j)}
  =20 [Ω]
となりますから、正解はと分かります。

 余談ですが、今回はたまたま割り切れてインピーダンスが実数になりましたが、一般に答えは複素数です。分母に複素数が入ってくる場合は「正規化」として、分母分子に、分母の共役複素数をかけて分母を実数にします。こうしないと、実部と虚部がそれぞれいくらか分からないためです。