□ H13年12月期 B-04  Code:[HE0701] : AMとSSB通信方式の比較
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1312B04 Counter
無線工学 > 1アマ > H13年12月期 > B-04
B-04 次の記述は、SSB(A3J)通信方式について、DSB(A3)通信方式と比較したときの特徴を述べたものである。[ ]内に入れるべき字句を下の番号から選べ。
(1) 通常、DSB送信機の出力は搬送波の平均電力で、SSB送信機の出力は側帯波のせん頭出力で表されるから、それぞれの公称出力で比較すると、SSB送信機の通信能力は[ア]倍の出力を有するDSB送信機に相当する。
(2) SSB波には[イ]がなく、送話のときだけ電波が発射されるので、他の通信に与える混信が[ウ]される。
(3) SSB波の占有周波数帯幅はDSB波のほぼ[エ]となり、周波数利用効率が高く、また、[オ]フェージングの影響も少ない。
1/3 1/2 スプリアス
増加 軽減 搬送波 選択性 10 跳躍性

 約30年前、電話級の講習会で記述式の問題を解いた時、SSBのAMに比べたメリットは理屈も分からず丸暗記でした。もう一度、「1アマらしく」定量的にその利点を整理してみましょう。
(ここで、AMとは全搬送波振幅変調:A3E、SSBとは抑圧搬送波単一側波帯:J3Eを指すものとします。)

[1]AMとSSBの電力比較

 AMでは、搬送波は情報を送っていません情報は側波帯に含まれ、側波帯は片側でも情報が伝送可能です。SSBは搬送波がなく、側波帯も片側だけなので、同じ情報を伝えるのに、電力が少なくて済みます。このことを定量的に見てみましょう。(搬送波電力と変調度を与えてトータル電力を与える問題、あるいは変調時の電力と無変調時の電力から変調度を求める問題がよく出ています。)
 変調度をm(0≦m≦1)、無変調時の平均電力(=AMの搬送波の出力)をPcとします。このとき、側波帯の電力を上側、下側でそれぞれPU, PLとすると、AM変調波の電力PTは、
 PU=PL=(m2/4)Pc …(1)
なので、
 PT=Pc+PU+PL
   =(1+m2/2)Pc …(2)
Fig.HE0701_a SSBとAMの帯域・電力の比較
Fig.HE0701_a
SSBとAMの帯域・電力の比較
となります。今、m=1 (100%変調)だとすると、(1)と(2)から、PU=Pc/4, PT=(3/2)Pcとなりますから、PT/PU=6です。上に述べたように、振幅変調では、情報を送るのに必要なのは、どちらか一方の側波帯だけですから、相手に同じ強さの「情報信号」を送るために必要な電力は、SSBがAMの1/6で済む、ということです。変調度が100%より小さい時は、もっとSSBの方が有利になります。

[2]その他AMとSSBの比較 占有周波数帯幅、S/N、フェージング…

 電力も含む、AMとSSBを様々な観点から比較してみました。
搬送波の周波数をfc、音声で変調する場合の周波数帯域を0〜fs、とします。
着眼点 AM SSB
占有
周波数帯幅
発射電波の周波数域=fc±fs
周波数幅としては2fs
発射電波の周波数域=fc〜fc+fs(USB)。周波数幅としてはfs。すなわち、AMの半分で済む
無変調時の
空中線電力
c 0 情報伝送がない状態で電力もゼロ=効率がよい。
変調度m時の
空中線電力
(1+m2/2)Pc
m=1(100%変調)の時は3Pc/2
(m2/4)Pc
m=1(100%変調)でもPc/4で、AMの1/6。(上記[1]の通り)
受信側の
S/N
受信ノイズ電力を1とする 占有周波数帯幅が半分なので、AMでの受信ノイズ電力の約1/2
選択性
フェージング
の影響
両側の側帯波のどちらかがフェージングの影響を受ければ、了解度、信号強度が変化する。 AMに比べて、占有周波数帯幅が半分なので、選択性フェージングの影響を受ける確率も1/2
他に与える
混信の影響
占有周波数帯幅が広く、搬送波が常時出ているので、SSB方式に比べ影響が大。 AMに比べて、占有周波数帯幅が半分で搬送波もないので、他の通信に影響を与えにく
回路の構成 変調・復調ともに比較的単純 AM変調に比べて複雑。変・復調のために局部発振器が必要
 

それでは、解答に移ります。
 …SSBの尖頭電力(Pc/4)に対してAMの平均電力がPcだから4 4
 …SSBには8搬送波が出ていません
 …SSBには搬送波がないので、他局に与える混信が7軽減されます
 …SSBの占有周波数帯幅はDSBのほぼ2 1/2です
 …SSBはまた、9選択性フェージングの影響が少ないのです
となります。