□ H13年04月期 A-25  Code:[HJ0303] : 倍率器の抵抗値を変更した時に、最大測定可能電圧がどう変化するかの計算
インデックス
検索サイトから来た方は…
無線工学の基礎 トップ

以下をクリックすると、元のページが行き先に飛び、このウインドウは閉じます

 ■ 無線工学を学ぶ
 (1) 無線工学の基礎 
 年度別出題一覧
  H11年 4月期,8月期,12月期
  H12年 4月期,8月期,12月期
  H13年 4月期,8月期,12月期
  H14年 4月期,8月期,12月期
  H15年 4月期,8月期,12月期
  H16年 4月期,8月期,12月期
  H17年 4月期,8月期,12月期
  H18年 4月期,8月期,12月期
  H19年 4月期,8月期,12月期
  H20年 4月期,8月期,12月期
  H21年 4月期,8月期,12月期
  H22年 4月期,8月期,12月期
  H23年 4月期,8月期,12月期
  H24年 4月期,8月期,12月期
  H25年 4月期,8月期,12月期
  H26年 4月期,8月期,12月期
  H27年 4月期,8月期,12月期
  H28年 4月期,8月期,12月期
  H29年 4月期,8月期,12月期
  H30年 4月期,8月期,12月期
  R01年 4月期,8月期,12月期
  R02年 4月期,9月期,12月期
  R03年 4月期,9月期,12月期
  R04年 4月期,8月期,12月期
 分野別出題一覧
  A 電気物理, B 電気回路
  C 能動素子, D 電子回路
  E 送信機, F 受信機
  G 電源, H アンテナ&給電線
  I 電波伝搬, J 計測

 ■ サイトポリシー
 ■ サイトマップ[1ama]
 ■ リンクと資料

 ■ メールは下記まで



更新履歴
2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1304A25 Counter
無線工学 > 1アマ > H13年04月期 > A-25
A-25 図に示すように、最大指示値5 [V]の直流電圧計Vを用いた測定回路において、スイッチSをa側に倒したとき、測定可能最大電圧が10 [V]であった。スイッチSをb側に倒したときの測定可能最大電圧の値として、正しいものを下の番号から選べ。
10 [V]
20 [V]
30 [V]
40 [V]
50 [V]
問題図 H1304A25a
Fig.H1304A25a

 電圧計は微小電流でフルスケールに振れる電流計と、問題の図には隠れていますが、倍率器という(通常は)抵抗器から構成されています。電流計の方はほとんど内部抵抗は無視できますので、電圧計の内部抵抗は倍率器の抵抗値、と考えて構いません。

[1]倍率器の抵抗値(=内部抵抗)を求める

 上に書いたように、この問題を見た時に、隠れている抵抗(倍率器)に気がつかなければなりません。それが分かれば、後は必要なのはオームの法則だけです。
Fig.HJ0303_a 電圧計の内部抵抗と倍率器
Fig.HJ0303_a
電圧計の内部抵抗と倍率器
 Fig.HJ0303_aのように電圧計をモデル化します。内部抵抗をRVとして、フルスケール電圧をVmaxとします。
 また、スイッチのa側に繋がっている抵抗をRa [Ω]、b側に繋がっている抵抗をRb [Ω]とし、a側に倒した時の最大測定電圧をVa、b側に倒した時のそれをVbとします。
 まず、電圧計がフルスケールに振れた時の電流Imaxを求めておきます。電圧計単体の最大指示値がVmaxで内部抵抗がRVですから、
 Imax=Vmax/RV …(1)
となるのがオームの法則です。
と、ここまでは準備ですが、オームの法則以外は何も使っていません。

[2]外部に倍率器を付加した時の測定レンジの拡大

 ここからは、外部に倍率器の抵抗をつけて、測定範囲を拡大するわけですが、上で求めた「不変量」に着目すれば、これもオームの法則のみです。
 まず、スイッチをa側に倒した時を考えます(Fig.HJ0303_b左)。
 電流がIでフルスケールに振れることには変わりありませんから、下記が成り立ちます。
 Va=Vmax+Imaxa
 ∴ Imax=(Va−Vmax)/Ra …(2)
 次に、スイッチをb側に倒した時(Fig.HJ0303_b右)も同様に考えて、
 Vb=Vmax+Imaxb
 ∴ Imax=(Vb−Vmax)/Rb …(3)
となります。
Fig.HJ0303_b 倍率器の値と電圧計の振れ
Fig.HJ0303_b
倍率器の値と電圧計の振れ
 ここで、(2)=(3)と置いて、Iを消去すれば、
 (Va−Vmax)/Ra=(Vb−Vmax)/Rb
 ∴ Rb(Va−Vmax)=Ra(Vb−Vmax) …(4)
となります。結局(4)式にはImaxやRVは出てきませんでした。後は、問題に与えられている数値を代入して、未知数について解くだけです。もし、ImaxやRVが未知数なら、Imaxは消去せずに残しておかなければなりません。
 上記は計算のテクニック上の問題で、この問題の本質ではありません。この問題の本質は、倍率器をつけてもつけなくても、あるいはその抵抗値が変化しても、計器がフルスケールに振れる、ということはそこに流れている電流が同じだ、ということです。

それでは、解答に移ります。
 この問題の未知数は、Vbですから、(4)式をVbについて解いて、
 Vb=(Rb/Ra)(Va−Vmax)+Vmax …(a)
となります。(a)式にVmax=5 [V]、Va=10 [V]、Ra=100 [kΩ]、Rb=300 [kΩ]、をそれぞれ代入すると、Vb=20 [V]となりますから、正解はと分かります。