□ H12年08月期 A-08  Code:[HD0103] : 増幅器の電力利得の計算
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2022年
12/31 12月期問題頁掲載
09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1208A08 Counter
無線工学 > 1アマ > H12年08月期 > A-08
A-08 図に示す増幅回路において、増幅器の入力抵抗Riが1 [kΩ]、負荷抵抗RLが50 [Ω]および増幅器の電圧利得(Vo/Vi)の値が20 [dB]のときの増幅器の電力利得の値として、正しいものを下の番号から選べ。
16 [dB]
20 [dB]
33 [dB]
40 [dB]
46 [dB]
問題図 H1208A08a
Fig.H1208A08a

 電圧も電流も与えられておらず、入力抵抗・負荷抵抗・電圧利得だけで電力利得が分かるのか?と思いますが、これらの定義に従って考えれば何とかなります。

[1]利得の問題をオームの法則だけで解く

 問題図のように入出力電流と入力抵抗、それに負荷抵抗が与えられているとして、まず、入力電力Piを考えます。
 Pi=Vi2/Ri …(1)
オームの法則ですから、説明は不要でしょう。同様にして出力電力Poを考えます。
 Po=Vo2/RL …(2)
となります。求めたい電力利得Gpは、(1),(2)より、
 Gp=Po/Pi
   =(Vo2/RL)/(Vi2/Ri)
   =(Vo/Vi)2×(Ri/RL) …(3)
 ここで注意したいのは、(3)式で、入力電圧と出力電圧、入力抵抗と負荷抵抗はそれぞれ絶対値が分からなくても、比率が分かればいい、という点です。

[2]利得がデシベルで求められたら

 もし、利得が対数値(デシベル)で問われていたら、Gpをデシベルに変換する必要があります。真数表記の電力利得をデシベル値に直すには、(3)式の10log(常用対数)を取って、
 10logGp=10{2log(Vo/Vi)+log(Ri/RL)}
     =20log(Vo/Vi)+10log(Ri/RL) …(4)

「電力」利得を問われているので、logの係数は10です。間違えて20にしないようにして下さい。選択肢には必ずと言っていいほど、これを20にした時に「正解」になる選択肢が待っています。
 ここが20になるのは、「電圧利得」や「電流利得」などの「一次変量」の比率を表現する時です。電力は「電圧×電流」であったり、「電流2×抵抗」あるいは「電圧2/抵抗」で、電圧や電流の「二次変量」であるため、同じ利得を表現するのに、係数を電圧や電流の半分にしてやらないと同じ値にならないからです。

それでは、解答に移ります。
 問題文では、電圧利得すなわち(4)式の第1項が20 [dB]だと言っています。また、第2項は、Ri=1000 [Ω], RL=50 [Ω]ですから、
 10log(100/5)=10×(2-0.7)=13 [dB]
pを(4)式からデシベルで示せば、
 10logGp=20+13=33 [dB]
となりますから、正解はと分かります。

 このように、アンプの電圧利得と入力抵抗と負荷抵抗で、電力利得が計算できます。高周波増幅器の場合は、入出力インピーダンスも負荷抵抗も同じインピーダンスであることが多い(電力伝達の最大化のために、マッチングを取る)ので、その場合は(4)式の第2項が0(Ri/RL=1)になるので、電圧利得(の2乗)がそのまま電力利得になります。
 逆に言うと、入力抵抗と負荷抵抗が異なる場合は、(4)式の第2項が0にならないので、この問題のように補正しなければなりません。