□ H11年04月期 A-01  Code:[HA0301] : 2個の並列コンデンサとスイッチ回路。スイッチ切替前後で電荷量保存則を用いた計算
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09/01 08月期問題頁掲載
05/14 04月期問題頁掲載
H1104A01 Counter
無線工学 > 1アマ > H11年04月期 > A-01
A-01 図1に示すように、スイッチSを開いた状態でab端子間に直流電圧200 [V]を加えて静電容量3 [μF]のコンデンサを充電した。次に図2に示すように、電圧を加えずにスイッチSを閉じたとき、ab端子間の直流電圧が100 [V]になった。このときのコンデンサCの静電容量の値として、正しいものを下の番号から選べ。
問題図 H1104A01a
Fig.H1104A01a
問題図 H1104A01b
Fig.H1104A01b
3 [μF]
4 [μF]
5 [μF]
6 [μF]
7 [μF]

 この問題を解くには、電荷量の保存則を使います。最初に充電してから、電源を外した以降は、SをONにする前後で電荷の総量は変わらない、という理屈を使って解きます。

[1]電荷量保存則とは何か?

 「電荷量保存則」と聞くと、「ああ、また物理の難しい法則か。もう『何とかの保存則』と聞くだけで嫌だな」と思われる方も居られるでしょう。大体、言葉が難しくていけません。法律用語みたいです。
 ただ、言っている内容は簡単なので、法則の名前がどうのこうのよりも、その意味するところだけを理解してしまえば、アレルギーも解消すると思います。
 電荷は物理的には、負電荷=電子が(中性状態より)多い状態、正電荷=電子が少ない状態、なので、電子がどこかに消えたり、どこからともなく湧き出したりしない限り、最初に分かっていた電荷量はどこにどう蓄えられようが、変化しないはずです。この問題では、ここに着目します。

[2]電荷量保存則を水の量で考える

 まず、C1を容量が既知のコンデンサ、C2を容量が不明のコンデンサとします。また、最初にC1に印加した電圧をV0とします。
 ここでは、Fig.HA0301_aのように考えます。つまり、底面積(=静電容量)のわかった入れ物C1と、底面積が不明の入れ物C2です。また、電荷量は水の量で、コンデンサの両端の電極の電圧は水位の高さであらわすものとします。(両者を繋ぐ管の中の水の量は無視します。)
 着目すべきなのは、スイッチSを入れたあと、1とC2は、並列接続状態となる、ということと、スイッチSを入れる前後で電荷(=水)の量は変わらない、ということです。この容器の例では、並列接続により底面積が増えたことになります。
 そのような入れ物を繋いで、中央の栓Sを開ければ、両者の水位(=電圧V1)が等しくなるところまでC1からC2へ水が流れ込み、安定します。栓を開けた前後で、水の全体量は変わりません。
 こう考えてくると、電荷が保存されることが容易に以下の式で表されます。
 C1・V0=(C1+C2)・V1 …(1)
となりますから、これを変形して未知の容量C2について解けば、
 C1・(V0/V1)=C1+C2 …(2)

 ∴ C2=(V0/V1−1)・C1 …(3)
Fig.HA0301_a 電荷量保存則
Fig.HA0301_a
電荷量保存則
と求められます。

それでは解答に移ります。
 (3)式に題意の数値(C1=3 [μF]、V0=200 [V]、V1=100 [V])を代入すれば、
 C2=C=3×(200/100−1)=3 [μF]
となりますから、正解はと分かります。
 暗算で出すとすれば、「スイッチSをON後に電圧が半分だから、C1とC2の合成容量がC1の2倍。ということはC2もC1と同じ容量!」ということで、回路をいじったことのある方なら、ここに挙げた計算は不要かもしれません。スイッチON後の電圧が半分でない時は、(3)式のちょっとした計算が必要になりますが。いずれにしても、電気回路の基礎的問題なので、確実に正解したい問題です。